ねこはとてもマイペースです。
ねこと一緒に暮らしても、「お構いなく」とばかりに寝てばかり。
お腹がすいたり、気が向いたりした時だけ甘えてくる…そんなねこですが、一緒にいるだけでとても良い影響を私たちに与えてくれます。
ねこが人に与える影響についてご紹介しましょう。
ねこは何といっても癒しをくれる存在です。
何もしていなくても、ねこといるだけで、ねこに触れるだけで心身ともに癒されます。
その理由としては、以下のような点が挙げられます。
ねこに触れると、「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。
オキシトシンは「幸せホルモン」、「愛情ホルモン」とも呼ばれ、心を癒したり、体の痛みを和らげたりする力を持っています。
また、このオキシトシンは、ねこの方にも分泌されています。
ねこと人は触れ合うことで、お互いを癒しあうことができるのです。
ねこはリラックスした時、ゴロゴロと喉を鳴らします。
その落ち着いた単調な響きは、人の耳にも心地よく感じられます。
実際、このゴロゴロ音は25ヘルツという低周波数で、副交感神経に作用し、疲労回復に効果があると言われているのです。
さらに低周波数を聞くと「セロトニン」の分泌が促進されます。
セロトニンもオキシトシンと同じく「幸せホルモン」と呼ばれており、精神を安定させ、頭の回転を良くしてくれる脳内物質のひとつです。
疲れた時や不安な時、考えがまとまらない時は、ねこのゴロゴロ音を聞くと良いかもしれません。
「ねこは液体」という言葉があるように、ねこは体が柔らかく、抱くと体にフィットします。
ねこの骨は人間よりも数が多く、背骨を同時に2方向に曲げられるという特徴があります。
それがねこの体の柔らかさの秘密です。
その柔らかな抱き心地は、まるで「人をダメにするクッション」のよう。とても心地よく、体も心も癒されます。
ねこは癒しだけでなく、人間の身体にもいい影響を与えてくれます。
ねこの動きはとても独特です。
クネクネと変な踊りを見せたり、ジャンプに失敗して落っこちたり…そんなおどけたしぐさを見ていると、ついクスッと笑ってしまいます。
笑えば嫌なことも忘れてしまうはず。ねこは私たちを癒してくれる「セラピスト」でありながら、「お笑い芸人」のように笑わせてくれる存在でもあるのです。
人間は笑うことで、免疫力の向上に繋がるといわれています。
また、笑うと脳への血流が良くなり、血管が詰まる病気の予防にも効果的です。
ねこを抱くとぽかぽかと温かくなります。
ねこの体温は38~39℃と人より少し高めです。
さらに先ほどご紹介したように、柔らかくてぴったりと体にくっつくので、より温かく感じます。
寒い夜は、ねこを抱いてぬくぬく過ごすのも、ねこ飼いさんならではの幸せではないでしょうか。
急にひざから降りてしまったり、寝ていると顔の上に乗って来たり…ちょっぴりわがままな湯たんぽですが、それがまたかわいいところです。
ねこを飼うと健康にも良い影響があります。
1980年に行われたエリカ・フリードマンの調査によると、狭心症や心筋梗塞などの重篤な心疾患で入院後、自宅に戻った人のうち、1年後も生存していた人の割合は動物を飼っていた人の方が飼っていなかった人より4倍以上多かったそうです。
ねこを飼うことで、心身ともに癒され、生活に張りが出ます。
その結果、健康にも良い影響を及ぼすのかもしれません。
特に一人暮らしの方の休日は、好きな時に起きて好きな時に寝るというように、生活リズムが崩れがちです。
しかし、ねこと住むとそうはいきません。
ねこは一日のリズムを大切にして生きている動物です。
同じ時間に起き、同じ時間にご飯を食べ、同じ時間に寝るのを好みます。
「前の日に飲み会があって夜更かしした、今日は休みだしゆっくり寝よう」はねこには通用しません。
同じ時間にご飯をもらおうと、ニャーニャー鳴いたり噛みついたりして起こしてくれます。
その結果、人間も生活リズムが整います。
今ではSNSで気軽に趣味や好きなものが同じ人とつながることができます。
ねこの写真をTwitterやInstagramにアップして、「#ねこ好きさんとつながりたい」とハッシュタグを入れれば、あっという間にねこ友達が増えます。
うちの子自慢をし合ったり、ねこについての悩みを相談し合ったりなどできます。
ねこを通じて、友達と出会い、つながれるのもねこ飼いさんの醍醐味かもしれません。
失敗したり、他の人と自分を比べてしまったりして、「私なんか…」という気持ちになることは誰にでもあります。
そんな時はねこを見ると良いかもしれません。
ねこはとにかくマイペースで、好きな時に食べ、好きな時に遊んで、好きな時に眠ります。
そのダラダラ寝ている姿、糸のように細い目と笑ったような口、見ているとなんだか体の力が抜けていきそうです。
「まあいいか。私は頑張ってる。明日もまた頑張ろう!」と前向きな気持ちになれます。
ねこを好きになることで、自分をも好きになることができるのです。
家族がいる方にもねこは良い影響を及ぼします。
ねこがいるだけで、自然と会話と笑顔が増え、家の中が明るくなります。
ケンカをしたときも、ねこのマイペースなおどけたしぐさに笑ってしまい、なんとなく仲直りができるでしょう。
「子はかすがい」といいますが、ねこも立派なかすがいになるのです。
動物は情操教育に良い、というのは良く聞く話です。
子供は自分より小さく弱い存在と過ごすことで、相手を思いやり、大切にする気持ちを学びます。
また、ねこの世話をすることで、先ほどご紹介した通り責任感を持つことができます。
もちろん、一緒に遊んだり、悲しい時に慰めてもらったり、ねこと過ごす時間が、子供にとって良い思い出になります。
そして、ねこはいつか子供より先に亡くなります。
死の悲しみと命の尊さを知った子供は、誰に対しても優しい、素敵な大人に成長することでしょう。
先ほどご紹介した通り、動物を飼っていると人は健康になる傾向があります。
それは、「自分が健康でいなければ、この子は守れない」という責任感から来るものかもしれません。
ねこは、飼い主がいなければ生きていくことができません。
仕事で嫌なことがあっても、かわいいねこにご飯を食べさせるためにはぐっとこらえて頑張らなくてはなりません。
体調もお金も、ねこを守れるよう整えておく必要があります。
ねこという「扶養家族」がいることで、責任感が生まれ、生活に張りがでるという効果もあるのです。
ねこが人に与える影響についてご紹介しました。
ねこはそこにいるだけで、私たちに癒しや笑い、ぬくもりをくれます。
ねこを飼い、世話をすることで、責任感が生まれ、生活に張りがでます。
かわいいねこの姿は、家族や友達とのつながりを強め、広げてくれるでしょう。
しかし、それには大前提があります。
それは「ねこ自身が幸せであること」です。
自分が癒されたいから、子供の情操教育に良いから…と安易にねこを飼ってはいけません。
ねこは生き物ですから、ご飯をあげ、トイレを掃除し、しつけをして育てなくてはなりません。
飼った後で「こんなはずじゃなかった」「世話をしきれない」と思うことのないよう、ねこを最後まで幸せにする、という覚悟を持ってからお迎えしてください。
そうすれば、ねこはあなたにたくさんのハッピーをくれ、生活を豊かにしてくれることでしょう。