ねこを病院に連れて行く、引越しする、ドライブする・・・など、ねこを飼っていると、ねこを車に乗せる機会も訪れます。
でも、ねこは環境の変化を嫌うもの。
車に乗るのがストレスになったり、車酔いを起こしてしまったりすることもあります。
ねこを車に乗せる時は、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
車酔い対策や準備すべきものをご紹介します。
ねこは変化に弱い生き物です。
急に車に乗せると、慣れない環境にパニックになったり、体調を崩したりしてしまいます。
本格的なドライブの前に、以下のような準備をしておきましょう。
十分に気をつけていても、何らかのアクシデントで車からねこが逃げ出してしまうこともあります。
車に乗せる前に、迷子札をつける、マイクロチップを装填するなど、脱走した場合の対策をしておきましょう。
ねこは感覚が鋭い動物です。
人間にとっては快適な匂いや音でも、ねこには刺激が強過ぎる場合があります。
タバコはもちろんのことカーフレグランスでも、ねこにとっては不快になる場合がありますので注意が必要です。
また、車内のBGMも騒々しいものはNGです。
さらに、車内温度が高過ぎると車酔いの原因になります。
20℃程度をキープして、ねこが快適に過ごせるようにしましょう。
本格的なドライブをする前に、まずは少しずつ変化に慣らしていくことが大切です。
先ほどご紹介したように車内の環境を整えたうえで、焦らずゆっくりねこを車になじませていきましょう。
【1】キャリーバッグに慣らしておく
まずはキャリーバッグに入ることから慣れてもらいましょう。
普段からキャリーバッグを部屋に置いておき、ねこが入れるようにしておくと良いでしょう。
キャリーバッグの存在に慣れますし、自分の匂いもつくので安心できます。
【2】車に乗せてみる
キャリーバッグに慣れたら、バッグごと車に乗せてみましょう。
まだ車は動かさず、においや雰囲気を感じてもらいます。
慣れてきたらエンジンをかけて、エンジン音や振動に慣れてもらいます。
【3】短距離のドライブをしてみる
車に乗るのがOKだったら、次は少しだけ車を走らせます。
動く車に慣れてもらうとともに、車酔いしやすい体質かどうかを確認することもできます。
車酔いしやすいねこは、薬を処方するなど対策を考えておく必要があります。
ねこの車酔いに関しては、後ほど詳しくご説明します。
上記でご紹介したいずれの段階でも、なでたりおやつをあげたりして褒めてあげましょう。
「車に乗ると楽しいことがある」と覚えてもらえれば、車への恐怖もやわらぎます。
ねこも人間と同じように車酔いを起こします。
原因も人間とほぼ同じで、耳の奥にある三半規管が車の揺れで刺激を受けて車酔いが起こるのです。
また、「車に乗せられ、病院に連れて行かれて嫌だった」「家から離されて怖かった」「車がうるさい、臭いが気に入らない」というようなストレスにより、車酔いが酷くなるとも考えられています。
ねこの車酔いの症状としては、以下のようなものが挙げられます。
【1】軽度の車酔いに見られる症状
【2】重度の車酔いに見られる症状
上記のような症状が見られた場合、ドライブを中止する、休憩を挟むといった対処をして、ねこを休ませてあげましょう。
車酔いをするかしないかはねこの体質にもよりますが、ストレスや体調不良により車酔いがひどくなる場合もあります。
車酔いを最小限に抑えるためには、以下のような点に気をつける必要があります。
【1】ご飯をあげる時間に注意する
人間と同様、ねこもお腹がいっぱいだと車酔いしやすくなります。
車に乗せる直前にご飯をあげるのは良くありません。
しかし、あまりにお腹が空いていても車酔いを起こすことがありますので、ご飯をあげる時間や量を工夫することが重要です。
【2】ストレスのない環境を作る
先ほどご紹介した通り、ストレスも車酔いの原因になります。
車がうるさい、臭い、暑い、嫌なところに連れていかれた…というような、不快な経験により車酔いは起こりやすくなります。
中には車を見ただけで車酔いの症状を起こすねこもいるほどです。
先ほどご紹介した通り、車内の環境を整え、ねこを車に慣れさせて、「車に乗るのは楽しい」と覚えてもらうことで車酔いを抑えられます。
【3】薬を処方してもらう
車酔いをしやすいねこの場合は、動物病院で酔い止めの薬を処方してもらうのも有効な対策のひとつです。
特に車酔いをしやすい、車内で興奮しやすいというねこの場合は、最後の手段として鎮静剤が使われることもあります。
獣医師の指示を守り、適量を与えるようにしましょう。
ねこを車に乗せる際には、以下のようなものを準備します。
いずれもねこが普段から使っているなじみのあるもの、ねこのにおいがついているものにしましょう。
・キャリーケース、ハーネス
ねこを車内に固定し、車酔いや脱走、ねこが暴れることによる事故を防ぐために重要です。
・毛布かタオル
キャリーケースに敷きます。普段から使い、ねこのにおいをつけておきましょう。
・水、おやつ
休憩時に与えます。水を飲まない場合はシリンジやスポイトも準備しておくと良いでしょう。
・ねこ用トイレ
長距離のドライブをする際には、ねこ用トイレや砂、汚れた物を入れる袋も持って行きましょう。
・ウェットシート
ねこの体やキャリーケースが汚れた時に使います。ねこに優しいものを選びましょう。
・清掃用品
車内が汚れた時のために、携帯用のホウキやカーペットクリーナー(コロコロ)を持って行きましょう。
準備ができたらいよいよねことのドライブです。
ねこが快適に車に乗り続けることができるよう、注意すべきことをご紹介します。
キャリーバッグはシートベルトを使ってしっかり固定しましょう。
不安定だと車酔いの原因になったり、急ブレーキを踏んだ際にバッグが飛び出して、ねこがけがをしてしまったりする恐れがあります。
声をかけやすい助手席か、車内で最も安全といわれている運転席の後ろに固定すると良いでしょう。
ねこを車に乗せたら、いつも以上に安全運転を心がけましょう。
急発進や急ブレーキはねこを怖がらせる原因になりますし、車酔いを引き起こすこともあります。
また、ねこが気になるからといって何度もねこのほうを見ているとわき見運転になり、事故を起こしてしまう原因になります。
特にねこのけがや病気などで病院へ向かう時は、早く行かなければと気が焦ってしまいます。
しかし、注意散漫な運転は体調不良や事故を引き起こし、ねこにとっても飼い主にとってもより不幸な結果になってしまいます。
大切な命を乗せていることを自覚し、普段以上に運転に気をつけることが重要です。
長距離のドライブでは、30分~1時間程度を目安に休憩を取るようにしましょう。
ハーネスをつけてねこをキャリーバッグから出し、伸びをさせるとリフレッシュします。
もちろん、脱走しないように十分に気をつけてください。
それから水を飲ませます。
飲みたがらないねこは様子を見ながら、シリンジを使って少量与えると良いでしょう。
ねこと一緒に車に乗る時、最も重要なのは安全性に気を配ることです。
特に以下のような行動は、ねこや自分自身の命にもかかわることですので、絶対にしてはいけません。
ねこが怖がるからといって、ひざの上に乗せて運転するのは絶対にNGです。
単純に危険だからという理由だけではなく、運転手の視野や運転操作を妨げる行為とされ、道路交通法における「乗車積載方法違反」に該当するからです。
違反行為を行うと、5万円以下の罰金、6,000円反則金(普通車の場合)、1点の加点が課せられます。
それだけではなく、運転中にねこがひざから下りてアクセルの下にもぐってしまったり、ねこに気を取られてわき見運転をしてしまったりと、事故の原因になります。
ねこは必ず運転席以外の場所に固定し、運転の妨げにならないようにしましょう。
同じ理由で、ねこを車内で自由にさせておくことも危険です。
基本的には、車内ではキャリーバッグに入れておきましょう。
ドライブに慣れている、あるいは付き添いをしてくれる人がいるのであればバッグから出せる場合もありますが、必ずハーネスをつけ、あちこち歩き回れないようにしておきましょう。
ねこを車の中に放置して出かけることも絶対にしてはいけません。
例えば、気温35℃の炎天下に窓を閉め切り、エンジンを止めた車を置くと、15分で人体にとって危険な暑さ指数に達します。
特にねこは体が毛に覆われていること、汗腺が足の裏などにしかないことから、人間よりも暑さに弱い生き物です。
たとえエアコンをつけたとしても、停止時は運転時よりもエアコンの効きが悪く、車内が充分に冷えないことがあります。
それに加え、バッテリー上がりや燃料切れによりエアコンが停止する恐れがあります。
「少しの間だから」「エアコンをつけているから」とねこを車内に残して車を離れるのは大変危険です。
大切なねこの命を守るために、絶対にしてはいけない行為だと覚えておきましょう。
ねこを車に乗せる時の注意点についてご紹介しました。
ねこは静かな環境を好む生き物であり、騒音や振動、臭いのする車は基本的に好きではありません。
しかし、診察や引っ越しなど、どうしてもねこを車に乗せないといけない場合もあります。
あらかじめ車の環境や準備物を整えておき、ねこを車に慣れさせておくことで、車に乗る時のストレスを軽減できます。
また、ねこを車に乗せた時は、いつも以上に運転に気をつけ、ねこを安全で快適に目的地まで届けるという意識を持つことも重要です。