すらっとした容姿が特徴なアラビアンマウ(Arabian Mau)は日本はおろか、世界中でもまだ珍しい猫種です。
野生的な容姿ではあるものの、人間と一緒に暮らすにはもってこいの性格をしているため人気が出るのも時間の問題でしょう。
今回は、そんなアラビアンマウの魅力についてたっぷりとご紹介します。
「マウ」と聞くと、猫種に詳しい方であればエジプシャンマウを思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、アラビアンマウは猫種として認められたのは最近ですが、古くから中東に生息していた伝統的なねこなのです。
アラビアで長い間生きてきたねことは、一体どんなねこなのでしょうか。
では、そんなアラビアンマウがどんなねこであるのかを知りましょう。
元々砂漠で誕生したねこですが、アラビアンマウはずっとアラビアの砂漠で生活してきました。
1000年以上前にもアラビアンマウが生息していた記述があることも、その伝統の深さを物語っています。
古くからアラビアに住んでいたアラビアンマウですが、世界から注目されることもなく土着ねことして生きてきました。
しかし近年、人間が砂漠にも生活圏内を広げることにより注目を集めることにより、アラビアンマウと一緒に暮らすケースが増えてきました。
この背景には、アラビアンマウが交通事故に遭遇してしまうことが増えてしまい、保護の動きが働いたことにより野良猫からいえねこに変わっていったのです。
2008年にWCFで登録され、2009年には国際ショーに参加できる権利を得た新しい猫種です。
アラビアンマウの生活は完全な夜行性です。
ねこは基本的に夜行性ではありますが、アラビアンマウが自然界で昼間に行動することはほとんどありません。
これは、砂漠の昼間の暑さを避けるためという理由が最も大きいところです。
砂漠は日較差が激しく、昼間の暑さが信じられないほど日が落ちると気温が下がります。
そこでアラビアンマウは行動を開始し、過ごしやすい環境で生活していたのです。
ちなみに、他の猫種が夜に行動する理由は、昼夜問わずものを見る能力に長けており、耳と感覚が良いために他の動物が身動きの取りにくい夜を選んで狩りを行うためです。
そのため砂漠の夜に行動するアラビアンマウは、涼しいことと狩りを行いやすいという条件が揃っていたために夜行性が確立していたのですね。
アラビアンマウが毛繕いを行う理由は、他のねこ以上の意味を成します。
毛繕いによって唾液が毛に付着しますが、砂漠では高温であることと乾燥していることですぐに水分が蒸発してしまいます。
水分は蒸発する際に熱を奪って蒸発していきます。この原理を利用し、暑い砂漠で自分の体温を下げているのです。
また、アラビアンマウは他のねこの毛がダブルコートに対してシングルコート、つまりアンダーコートがありません。
毛量が少ないことによって体の熱を逃しやすくしているのです。
砂漠に長く暮らしてきたアラビアンマウならではの環境に適した体なのです。
現在日本でも数少ないアラビアンマウですが、運良く一緒に暮らした際に注意したいポイントをご紹介していきます。
ねこと一緒に暮らしていると、少しでも長く健康でいてもらいたいことはもちろんです。
しかしそれだけではなく、ねこと良好な関係を構築したいというのが私たち人間のねこに対する願いです。
そのために、アラビアンマウと暮らすためにはどのようなことに注意し、どのような振る舞いを行えば仲良くなれるのかを知りましょう。
アラビアンマウの性格は自然発生的に生まれたねこにも関わらず、人間に忠実です。
そのため、一度認めた相手にはベッタリになるというなんとも夢のような性格を持っています。
さらに筋肉質な外見で想像できるように、動き回ることが大好きです。
身の回りの世話はもちろんですが、毎日少しでも遊ぶ時間を設けるとねことの距離もグッと縮まります。
ただし、高い運動能力を持っているため遊び場所には注意してください。
ある程度広い場所を用意することと、上下運動をさせる工夫をしてください。
ねこは飛ぶことによって爆発的な瞬発力を生み出します。そのため、使用する筋肉は走る運動量の非になりません。
キャットタワーなどの上下運動を行えるための環境を整え、たくさん遊んであげましょう。
夜行性が確立しているアラビアンマウは人間の生活に順応できるように早いうちから慣らしていく必要があります。
留守番が多い家庭であれば、通常のねこでも人間と共に起きて留守番中は寝ている生活がほとんどです。
アラビアンマウもその生活にはなりますが、人間が寝ている夜に活動的に動く危険性があります。
そのため、朝に少し遊んで体を動かすなどを行なって、昼型の生活に慣れてもらう必要があります。
ねこは環境に順応しやすい動物であるため、もし夜に騒いでいる様子が確認できた場合は朝に少しでも遊んで体を動かすように心がけてください。
忠誠心が強く運動が大好きなアラビアンマウとの生活はたくさんの思い出を構築できることは間違いありません。
そこで思うことは、いつまでも元気に遊んでいてほしいという願いが生まれるはずです。
ねこの健康は人間の心がけ次第で大きく変化しますので、アラビアンマウとの生活でも気をつけなえればならない点をおさえておく必要があります。
新しいねこであるが故に、アラビアンマウが発症しやすい遺伝性の病気はあまりわかっていません。
しかし、健康に気をつけることには変わりませんので、アラビアンマウと生活するために気をつけたいポイントを知りましょう。
アラビアンマウが生活する居住空間の温度管理は適切に行なってください。
砂漠出身ということもあり、寒さに弱いことはもちろんです。
冬は留守番をさせる際にも、火事の心配がない暖房器具をつけっぱなしにしておく必要があります。
トイレや水飲み場などの空間は最低でも温かくしておく必要があります。
また、暑さに強いかと思われるアラビアンマウですが、日本の暑さとはまた別のようです。
日本の夏と砂漠の大きな違いは湿度です。
湿度によって体調を崩すこもあるかもしれませんが、アラビアンマウは体温を下げるために毛繕いを行います。
しかし、日本の湿度では思うように唾液が蒸発しないため、体温調節がうまく行えずに熱中症を引き起こす場合があります。
砂漠と同じ環境を部屋に作る必要はありませんが、気温調節を適切に行なって過ごしやすい環境づくりを心がけてください。
個体差はあるものの、基本的にねこはあまり水を飲みません。
これはねこが砂漠で暮らしていた時に、あまり水を飲まなくても生きていける体に進化したためです。
少量の水でも生活できるねこでも、歳をとると体内の老廃物を排出することが困難になり、腎臓に関わる病気にかかりやすくなります。
そこで水を飲んでもらうことを工夫するのはどのねこでも同じですが、アラビアンマウは特に注意が必要です。
砂漠に住んでいた世代からさほど経っていないため、通常のねこ以上に水を飲む習慣が身についていません。
水に流れをつけることによりたくさんの水を飲んでもらう方法もありますが、一番飲む機会が増えるのは水のみ場所を複数用意することです。
ねこが水に気付きやすく、手軽に水を飲める環境を構築してください。
若い頃から水を飲む習慣を身につけさせることによって、歳を取ってからの健康を左右するので手は抜けません。
水の減り具合、おしっこの量などを確認することで水をどれほど飲んでいるかが分かりますので、注意して観察することで健康面に配慮していきましょう。
「マウ」というのは古代エジプト語で「ねこ」という意味です。
つまり、アラビアンマウとはアラビアのねこを表します。
一見普通の名前に見えますが、アラビアを代表するねこがアラビアンマウなのです。
伝統あるねこと長く一緒に暮らすためにも、ねこの健康に留意して末長く仲良く暮らしましょう。