もしも、あなたが公園や空き地の近くを歩いていて、捨て猫を見つけたらどうしますか。
そのまま見ぬふりをして通り過ぎますか。
それとも捨て猫の方へと近づいて行って保護しますか。
こういう場面に遭遇したらとっさの判断に迷うでしょう。
今回は、捨て猫を見つけたときの対処法などについて詳しく解説します。
捨て猫とは、これまで飼い主の元で育てられていたねこが、飼い主によって遺棄されたものを言います。
遺棄されたねこには、生まれたばかりの子猫もいれば大きくなってから遺棄された成猫もいます。
ペットブームの中、安易な気持ちのまま、飼い猫を求めるペットフアンも多くいますが、最期まで面倒を見切れないとなると、簡単に飼い主から遺棄され捨て猫となってしまうのです。
犬や猫など飼っていた動物を捨てることは動物愛護管理法違反で「動物遺棄」という犯罪(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)になります。
ですので、捨て猫を発見した場合は、すぐに最寄りの警察への連絡が必要になります。
つまり、捨てられたねこは、遺失物に当たり無断で飼うことはできません。
もし、遺棄した飼い主が心変わりして、警察へ遺失届をした場合には、飼い主に返さなければなりません。
警察へ連絡をし届け出をしておけば、3ケ月過ぎても飼い主が現れない場合に、発見者の飼い猫とすることができます。
発見したねこが、捨て猫か、迷子猫か、野良猫の判断が難しい場合があります。
そんな時は、警察への連絡とともに最寄りの保健所、愛護動物センターなどへの連絡もしておきましょう。
首輪を付けているねこなら近くに飼い主がいるかもしれません。
また、マイクロチップを埋め込んでいるようであったら動物病院で見てもらいましょう。
飼い主の住所等が分かるはずです。
発見したねこが捨て猫だと判断でき保護したい場合でも、それが子猫か成猫かによっても対処法が違ってきます。
・保温と食事
生まれてすぐのよちよち歩きの子猫が捨てられていた場合は、命にかかわる危険な状態です。
すぐに保護しましょう。
触ってみて、体温が低下していると感じた場合は、ハンカチでも何でもいいですから包んで保温します。
栄養失調も考えられますので、おうちへと一旦連れ帰って栄養を補給してください。
キャットフードを受け付けないようでしたら、ペット用の粉ミルクを溶かして飲ませましょう。
・診察と診断
保護して、すぐにでも構いませが、かかりつけの動物病院があるなら保護した捨て猫の容体を診てもらいましょう。
かかりつけの病院がなくてもネットで調べれば診察してくれる動物病院はいくらでも探し出せます。
必ず診てもらってください。
捨て猫の容体を詳しく診てもらうことでウイルスなどの感染症の他にノミ、ダニ、条虫といった寄生虫の発見にもつながります。
なお、捨て猫を発見したときに見るからに命の危険にさらされていると感じたら、お家へ連れ帰る前にただちに動物病院で診てもらいましょう。
・捕獲の危険性
成猫を保護するために、捕獲しようとうっかり手を出してしまうと危険です。
鋭い爪で引っかかれたり、噛みつかれたりしますから注意が必要です。
まず、捨て猫の気持ちを落ち着かせることが大切です。
その場から逃げないで落ち着いてきたら、キャットフードやミルクをあげましょう。
しばらく様子を見ていて、落ち着いて、慣れてきたと思えたらゆっくりとやさしく保護しましょう。
どうしても、捕獲が難しいときには警察へ相談してください。
また、ねこは「動物の愛護及び管理に関する法律」により瀕死等の保護が必要な場合を除いて、捕獲や排除してはいけません。
・診察と診断
動物病院での診察・診断は子猫の発見と同じような要領で行ってもらいましょう。
成猫の場合は、感染症などで重篤な症状もありますから丁寧に診てもらってください。
繰り返しになりますが、子猫も成猫も捨て猫の疑いがある場合には、警察への連絡は忘れずにしましょう。
保護した捨て猫をおうちへ引き取るか、引き取らないかは発見者の判断になります。
ただし、捨て猫の場合は、遺失物扱いのために飼い主が現れることも考えられます。
その間、発見者に引き取る意思があれば、警察で預かってくれないとなると3ケ月を過ぎるまでは、発見者の一時預かりの状態です。
捨て猫を保護したが、発見者がどうしても引き取れないと言う事情もあるでしょう。
命を預かるわけですから、何かを犠牲にしてまで、無理して引き取ることはありません。
例えば、ペットを飼ってはいけない借家、マンションに住んでい場合や、家族の中で、ねこアレルギーの人がいる場合は、ねこの引き取りが困難ではないでしょうか。
発見者が引き取らず、捨て猫の可能性が高い場合は、一般的に動物愛護センターの収容対象になります。
譲渡会などで里親がうまく見つかればいいのですが、行政機関では一定期間、里親が見つからないと殺処分の対象となってしまいます。
そのため発見者が引き取り出来ない場合は、里親探しをしているボランティア団体もありますので、相談されてもいいでしょう。
中には、里親が見つかるまで一時、預かりのボランティアの登録を実施しているところもあります。
発見者が捨て猫を引き取る形が一番、自然な流れかもしれません。
しかし、例え一匹でもねこを、引き取るといっても、そんなに簡単なものではありません。
それまでの暮らしが一変することを覚悟しなければなりませんよ。
これまで、数匹の捨て猫を発見し、保護した後で全て引き取ってきた経験からお話しします。
捨て猫を引き取ることで生ずる精神的、経済的な負担が飼い主にかかってきます。
それは、次のようなものです。
ねこを飼い始めると、それまで自由に行ってきた行動が制限されるようになります。
たとえば、遠出の外出が出来なくなることや旅行なども自由に行けなくなります。
保護したての頃は、出来る限り家を開けたくなかったため、買い物も近場で済ませていました。
ねこと一緒に暮らし始めると、ストレスがたまるのも事実です。
例えば、ねこは夜行性の動物※ですから、夜中でも泣き声を挙げたり部屋の中を走り回ったりします。
また、夜中の爪とぎもあります。
更に粗相や、マーキング行為にも悩まされます。
※正しくは、「薄明薄暮性」です。 薄明薄暮性とは、明け方と日没直後である薄暮の時間帯に活発に活動する動物です。
ねこを飼うことになって、これまでとは異なった支出が大きく増え、経済的な負担になります。
たとえば、毎日、欠かせないフードや猫砂、それにおやつ、その他にも猫グッズやおもちゃ、猫タワーなどの経費が倍増していくので、馬鹿になりません。
特に、ワクチンを始め、病気やけがによる治療費などは大きな負担となります。
捨て猫を引き取ることになったら、ねこが住みやすくなるようにお部屋の環境を変えましょう。
ねこは繊細でストレスのたまりやすい動物ですからいろいろと配慮が必要です。
餌用と水用の食器やトイレは、引き取ると決めたら真っ先に用意してください。
キャットフードや猫砂は好みはありますので、一気に大量に購入するのではなく、色々試すことを前提に選ぶことをおすすめします。
ねこは高い所に登ることや狭くて暗い所に隠れるのが大好きな動物です。
キャットウォークやキャットタワーを設置することでストレス解消や運動不足の解決にもつながります。
ねこは夏の暑さよりも冬の寒さに弱い動物です。
ねこの健康を考えて空調管理をしましょう。
また、冬場に、石油ストーブなどを使用する場合は、転倒防止や火傷の防止策も必要です。
ねこは遊ぶのが大好きな動物です。
自分だけでも遊びますが、飼い主と一緒ならきっと喜びます。
猫じゃらし、けりぐるみなどの猫グッズを準備してやってください。
できれば一緒に遊べる環境を作りましょう。
もしも、新しくねこを引き取ることになった場合には、避妊については確実に行いましょう。
雌猫は避妊手術を、雄猫は去勢することで避妊ができるだけでなく、マーキング防止やストレスを緩和することにもつながります。
心もとないペットの飼い主により大切な命が捨てられています。
捨て猫もその悲しい一つの事実です。
せっかくこの世に生を受けたねこが飼い主から捨てられるなんて想像したくもありません。
もしも、あなたが偶然にも捨て猫を見つけたらどうしたら良いのかを自分でよく考えてみてください。
ねこはあなたに助けてほしいとサインを送っているはずです。
引き取れない場合でも、そのまま放置はしないでください。