捨て猫を見つけたら、ねこ好きなら「助けてあげたい!」と思うことでしょう。
しかし、保護やその後のケアの仕方を間違えると、ねこが体調を崩してしまったり、法律上のトラブルになってしまったりすることがあるため注意が必要です。
今回の記事では、捨て猫を見つけた時の対処法をご紹介します。
捨て猫とは、飼い主に飼われていたねこが遺棄されたものを指します。
捨てねこには、生まれたばかりの子猫もいれば大きくなってから遺棄された成猫もいます。
ペットブームの中、安易に飼いねこを求めるペットファンも多くいます。
しかし、ねこに対する知識や責任感が足りず、いたずらをして困るから、避妊手術をせず子猫が生まれてしまったから、という理由で捨て猫にしてしまうケースも多いようです。
捨て猫が多い場所としては、「人が捨てやすい場所」に加え、「ねこが過ごしやすい場所」が挙げられます。
人に捨てられた後、ある程度育ったねこであれば、少しでも安全・快適な場所に逃げるためです。
特に以下のような場所に捨て猫が多いため、ねこの声がしたり、ふんが落ちていたりしたら捨て猫がいないかどうか確認してみましょう。
【1】人通りの少ない場所
ねこを捨てるのは犯罪であり、人から非難される行為です。そのため、ねこを捨てる人は人通りの少ない場所に捨てます。
また、ねこ自身が捨てられた後で身の安全を守るため移動するケースもあります。
捨て猫の多い、人通りの少ない場所としては、以下のようなものが挙げられます。
【2】人が近くにいる場所
逆に、人が近くにいる場所にねこを捨てるひともいます。少しでも早く見つけてほしいという心理の表れかもしれません。
しかし、ねこを捨てているところは見られたくないため、「人が近くにいるけれど、それほど人通りの多くないところ」を選ぶ傾向にあります。
例えば、以下のような場所は捨て猫が多いと考えられます。
【3】人が多く集まる場所
人が多く集まる場所でも捨て猫が多く見られます。
捨てた本人が、早く見つけてもらうことを期待して捨てた場合や、人にごはんをもらえるチャンスが多いためにねこ自身が移動した場合があります。
特に以下のような場所では、捨て猫が多く見られる可能性があるでしょう。
先ほど触れたとおり、飼っていたねこ(動物)を遺棄する行為は、動物愛護管理法違反で「動物遺棄」という犯罪(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)になります。
また、あまり知られていませんが捨て猫を拾うのも犯罪に当たる場合があります。ねこは法律上所有者のいる「物」として扱われます。無断で持ち帰ると、「遺失物等横領罪」に該当する恐れがあるため注意が必要です。
捨て猫を発見した場合は、すぐに最寄りの警察へ連絡しましょう。動物遺棄の犯人が見つかる可能性がありますし、公告後3ヶ月以内に所有者が現れなかった場合は、捨て猫の所有権を取得できます。
なお、物品と異なり、犬やねこには警察署への届け出義務はありません。しかし、届出をしておけば、飼い主が現れた場合のトラブルを防止できる可能性があります。
捨て猫などの身元不明のねこは動物愛護センターで引き取られ、一定期間を経て殺処分されます。
動物愛護センターで引き取られる理由はさまざまですが、直近では引き取り数ならびに殺処分数は減少傾向にあります。
以下は、環境省による、最新の2023年3月31日までのデータです。
逆に、同じく最新の最新の2023年3月31日までのデータによると、返還・譲渡された率は増加傾向にあります。
捨て猫として動物愛護センターに引き取られ、殺処分されるねこが減った理由としては、民間の動物愛護団体やボランティアによる保護活動や譲渡活動が活発化したからであると考えられます。
しかし、令和4年4月1日からの1年間で殺処分されているねこの数は5,878匹にも及びます。
不幸なねこをなくすためには何をすれば良いのか、一人ひとりが考え、行動していかなければなりません。
ねこの殺処分問題については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
捨て猫を見つけたからといって、衝動的に捕まえるのは良くありません。
まずは落ち着いてねこの様子を観察したり、必要な物をそろえたりしてから、保護するようにしましょう。
捨て猫を見つけた時の対処法と注意点を以下にご紹介します。
※耳にV字のカットがあるねこ(さくらねこ)
捨て猫のように見えても、近くに飼い主や親ねこがいる可能性があります。
見分けるポイントとしては以下のようなものがあります。
判断に迷う場合は、数日間様子を見ます。しかし、捨て猫がケガや病気をしており保護の緊急性が高い場合は、すみやかに保護をして、動物愛護センターや市役所に相談しましょう。
また、先ほど触れたとおり、捨て猫を保護した場合は警察署に届出をすることでトラブル防止につながります。あわせて、動物愛護センターやインターネットの迷いねこ情報、近隣の保護ねこボランティアに捨て猫を保護したことを伝え、飼い主や世話をしている人がいないか確認することも重要です。
捨て猫と判断できたら捕獲します。
捨て猫は興奮している場合があります。とくに成猫は力が強く、引っかかれたり噛みつかれたりする恐れがあるため、慎重に捕獲しましょう。
まずは優しく声をかけたり、ごはんをあげたりしてねこの気持ちを落ち着かせてから保護します。
軍手や洗濯ネット、キャリーボックスなどを準備しておくとスムーズです。
どうしても捕獲が難しい場合は警察に相談しましょう。
捨て猫を保護したら、可能な限り早く動物病院へ連れていきましょう。
特に生まれて数日の赤ちゃんねこは、すぐに弱ってしまう恐れがありますので、病院で適切な処置を受けなければなりません。
また、与える食事やケアの方法なども併せて聞いておくと安心です。
健康そうに見えても、感染症にかかっていたり、けがを隠していたりする場合があるため、必ず診察を受けましょう。ノミやダニ、寄生虫の駆除もしてもらうことも重要です。
家に連れ帰って適切なケアをします。子ねこの場合は、まず保温が必要です。
段ボールにタオルや柔らかい布をしき、湯たんぽやカイロなどで温めます。湯たんぽやカイロはタオルで包み、子ねこに直接触れないようにしましょう。
元気になったらごはんをあげます。成猫は普通のキャットフードで構いません。子ねこは成長に応じてミルクや離乳食をあげます。
捨て猫は汚れていることが多いため、シャンプーをしたくなるかもしれませんが、まずは医師の指示に従いましょう。ねこにとってシャンプーは大きなストレスになるだけではなく、体温を奪い、体を弱らせる原因になるためです。
捨て猫(特に赤ちゃんのねこ)のケア方法については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
捨て猫を自分で飼える場合は、ねこを飼うための準備をします。また、飼い主が現れた時の対処法についても押さえておきましょう。
捨て猫を引き取ることになったら、ねこを飼うための環境を整えます。
必要な物品としては以下のようなものが挙げられます。
キャットフード、食器(ごはん・水)、トイレ、トイレの砂、爪とぎ、爪切り、ブラシ、キャリーバック、ケージ、ベッド、おもちゃ |
また、静かで風通しの良い環境を整え、ねこが快適に過ごせるようにしましょう。
先住猫がいる場合は、まずはケージ越しで合わせて少しずつ慣れさせるとスムーズに仲良くなれる可能性が高くなります。
避妊手術や定期健診、ワクチン接種を受けさせ、ねこの健康を守るのも飼い主の大切な役目です。
ねこを飼うときの準備物や注意点については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
捨て猫と思っていても飼い主が現れる場合があります。
たとえ警察署に届出を出していても、届出から3ヶ月以内であれば所有権は飼い主にあります。飼い主に求められたら、ねこを返さなくてはなりません。
ただし、ねこにかかった病院代や物品代は飼い主に請求可能です。
届出から3ヶ月を超えている場合は所有権を主張できます。また、届出をしていなくても、野良猫(捨て猫)と思って飼っていた場合は10年、飼い主がいると知っていた、もしくはいるかもしれないと思っていた場合は20年飼っている場合は所有権を取得できます。
捨て猫を保護したものの引き取れない場合は、飼ってくれる人を探す必要があります。
探し方としては、自分で探す方法と、人に探してもらう方法があります。
以下に詳しくご紹介しましょう。
知人や親戚の中に、ねこを飼ってくれる人はいないか聞いてみましょう。自分の知り合いであれば、安心してねこを任せられます。
フリーペーパーやインターネット、またチラシなどで里親を募集する方法もありますが、虐待目的でねこを引き取る人もいるため注意が必要です。自分自身で里親希望者と話をして、信頼できる人かどうかを見極めましょう。
特に以下のような里親希望者には注意が必要です。
自分で飼い主を探すのが難しい場合は、施設や保護団体などに捨て猫を引き取ってもらい、里親を探すことも検討しましょう。
捨て猫の引き取りや里親募集を相談できる場所としては以下のようなものがあります。
メリット | デメリット | |
動物愛護センター | ・飼い主からの届け出がある場合はすぐに引き渡せる
・協力している動物保護団体に引き渡してくれる可能性がある |
・引き取り手が見つからない場合、殺処分される恐れがある |
動物保護団体 | ・専門家としてねこのケア、里親探しを請け負ってくれる | ・一般からのねこの受け入れをしていない団体もある
・しっかり管理や飼育ができていない団体もある ・引き取り料がかかる場合がある |
動物病院 | ・適切な医療ケアを受けられる | ・引き取りを断られる場合がある
・治療費は実費となる場合が多い |
捨て猫を見つけた時の対処法をご紹介しました。捨て猫はもともと人に飼われていたねこであり、人のお世話なしには生きていくことができません。特に赤ちゃんねこや、ケガや病気で弱っているねこはすぐに保護をして、適切にケアをしてあげる必要があります。
並行して、トラブルに発展しないよう、警察署への届け出をはじめとした手続きを行うことも重要です。
自身で引き取れない場合は、団体や施設と相談しながら里親を探すこともできます。
自分自身ができる方法で、捨て猫の小さな命を守ってあげてください。