愛猫が頭を振っている、口をくちゃくちゃさせている…「おもしろい癖だな」と思っていたら、実は思わぬ病気や異常が隠れていたということもあります。
また、普通に食べて、トイレをして、寝ているように見えても、実はいつもと違うところがあるかもしれません。それもまた、ねこからのSOSのサインなのです。
ねこは我慢強い生き物で、苦痛をあまり表現しません。そのため飼い主は、ちょっとした変化でも素早く見つけねこが出してくれているSOSのサインの意味を読み取らなければなりません。
今回の記事では、要注意のねこの行動についてご紹介します。
ねこは時々頭をブルブルと振ります。これは視点を定めるために行う行動で、異常ではありません。特に遊んでいる時は、獲物(おもちゃ)をしっかり見ようとして頭を振ることが多いようです。
しかし、頻繁に頭を振っている場合、体に何らかの異常があるかもしれません。考えられる原因としては以下のようなものがあります。
耳に異物が入っていたり、ダニがついていたりすると違和感があり頭を振ることがあります。
特に耳ダニは中耳炎や外耳炎を引き起こすことがあるため注意が必要です。ねこが耳をかゆがっていないか、耳の中が汚れていたり臭ったりしていないか確認しましょう。
また、前庭性失調症症候群になっている恐れもあります。前庭とは、耳の内部にある器官で、バランスを保つ役割を持っています。その前庭に異常があるため、フラフラと歩いたり同じ場所を回ったりといった症状が出ます。
ずっと強く頭を振っている場合は、脳炎や脳腫瘍といった脳の異常が隠れている危険性があります。
脳に異常があるとバランス感覚を崩し、ふらついたりくるくる回ったり、首をかしげたままの状態になったりとさまざまな異常が見られます。
MRIやレントゲン検査、血液検査など専門的な検査によって病気を特定できる可能性がありますので、異常を見つけたら早めに動物病院へ連れて行きましょう。
緑内障や白内障といった目の病気になった場合、頭を振る動作をすることがあります。
まばたきを頻繁にする、目が濁ったり目やにがたまったりする、歩く時にふらつくといった症状が見られたら、眼病かもしれません。
ネギや観葉植物、薬など、ねこにとって有毒なものを食べて中毒症になると、その症状として頭を振る行動が見られることもあります。
心当たりがある場合は診察の際に獣医師に伝えましょう。
ごはんを食べているわけでもないのにねこが口をくちゃくちゃさせている時は、体の調子が悪い場合があります。特に考えられるケースとしては以下のようなものがあります。
まず考えられるのは口内の異常です。
このような場合、口の中に違和感や痛み、かゆみを感じて口をくちゃくちゃさせるのです。
そっとねこの口を開いて、口内を確認しましょう。
何か挟まっている場合は取り除くだけでくちゃくちゃが収まる場合があります。
ただし、無理にねこの口を触るとねこのストレスになったり、ねこに噛まれたりしてしまう恐れがあります。特に以下のような場合は獣医師に相談しましょう。
病気が原因で口をくちゃくちゃさせているケースもあります。代表的な例としては食道炎と腎不全が上げられます。
食道炎になると胃酸が逆流し、よだれが増えて口の中が気持ち悪くなります。また、吐き気もするためそれを抑えようとして口をくちゃくちゃさせることもあるようです。
また、腎不全になるとおしっこの量が増え、体が常に水分不足になるため口内が乾き、粘つくようになります。それが気持ち悪いので、口をくちゃくちゃさせてつばを出そうとするのです。
人が吐き気を感じると口や胸を押さえるのと同じように、ねこは吐き気を感じると口をくちゃくちゃさせることがあります。よだれを垂らしたり、お腹の筋肉が上下したりしている場合は、吐き気を感じているのかもしれません。
若いねこが元気良く走り回っているのを見るのは楽しいものですが、さっきまでのんびりしていたねこが急に走り出すのは要注意です。
急に体に痛みやかゆみを感じて驚き、何とかその苦痛から逃れようとして走っていることがあるためです。
特に良くある原因としては以下の2点が上げられます。
ノミや蚊に噛まれると急にかゆくなるため、びっくりして走ります。走った後ぴたっと止まって、体を掻いたりかんだりしていたり、体の一部がぴくぴくと痙攣したりしている場合は、ノミや蚊が原因かもしれません。
他にも急な腹痛や吐き気といった違和感が生じた時も急に走り出す場合があります。
急に走り出す行動を頻繁に繰り返す場合は、ねこの様子を良く確認し、心配な点があれば獣医師に相談しましょう。
ねこのまばたきは愛情表現の一つです。飼い主の顔を見ながらゆっくりまばたきをするのは、「あなたが大好き」、「敵意はありません」というねこの気持ちの現れです。
しかし、何度も目をパチパチさせている、片目だけまばたきしているなど、明らかにおかしな行動を取っている場合は目に異常がある場合があります。特に良くある以上としては、以下のようなものが上げられます。
目の病気によりまばたきの回数が増えることがあります。ねこの眼病として代表的なのは結膜炎や角膜炎です。ねこの目をチェックして、以下のような症状がある場合は動物病院に連れて行きましょう。
片目だけまばたきしている場合は、まばたきしている方の目にゴミや抜け毛などの異物が入っている可能性があります。
細い毛や小さなゴミであれば、湿ったコットンを目のふちに当てて優しく拭ってあげても良いでしょう。しかし、深追いすると角膜を傷つける危険性があります。うまく取れない場合は、必ず動物病院で処置を受けましょう。
要注意のねこの行動についてご紹介しました。ごく普通に行っているような行動でも、実は苦痛や違和感が原因になっていることもあるため注意が必要です。
ねこは「痛い」、「気持ち悪い」と言葉で訴えることができません。また、非常に我慢強く、苦痛を隠そうとする動物です。そのため、気づいた時にはすでに病気が進んでしまっていた…ということにもなりかねません。
そのような悲しいことにならないためにも、飼い主が普段からねこの様子を良く観察し、いつもと違う行動をした場合にはすぐに気づくことが重要です。
また、ねこがおかしな行動をした場合は、食欲や元気はいつも通りあるか、体や耳、口の中に異常はないかをチェックして、気になる点があれば動物病院で診察を受けましょう。
ねこの行動に隠されたSOSを読み取り、病気や異常を早く見つけて、ねこの健康と快適な生活を守ってあげましょう。