2023.10.15
ねこの身体
ねこの社会化期って何?育て方のポイントと注意点

ねこの社会化期って何?育て方のポイントと注意点をくわしく紹介します

子猫ってとってもかわいいですよね。あまりのかわいさについつい甘やかしているという飼い主さんも多いのではないでしょうか?

でもちょっと待ってくださいね。生後2週〜9週くらい(もしくは生後2週〜16週)はねこの社会性を決める大事な時期「社会化期」でもあるのです。

甘やかしてばかりではいけません。

今回は、社会化期のねこの育て方について詳しく解説していきます。

 

目次

1.ねこの社会化期とは
∟1-1.ねこの社会化期ってどんな時期?
∟1-2.ねこの社会化期はいつ?
∟1-3.社会化期のねこの成長
2.社会化期のねこの育て方
∟2-1.ほかのねこや人間と触れ合う
∟2-2.生活音やいろんな環境に慣らす
∟2-3.お手入れに慣らす
∟2-4.いっしょに暮らしていくためのルールを教える
∟2-5.キャリーバッグに慣らす
3.ねこの社会化期に注意すること
4.社会化期を過ぎたねこと暮らす
まとめ

 

1.ねこの社会化期とは

社会化期とは、飼い主さんや同居する先住動物、家の中の環境などに対して適切な行動ができるように、いろいろなことを学び、覚える時期のことです。

飼い猫として人と暮らすうえではとても大切な時期で、この時期の過ごし方が、あとあとの生涯を大きく左右することになります。子猫にとってはもちろんですが、飼い主さんにとっても大切な時期です。


 

1-1.ねこの社会化期ってどんな時期?

社会化期は感受期とも呼ばれ、情動や記憶にかかわる脳の機能や感覚機能、運動機能が大きく発達する大切な時期です。そのため、周囲の環境を受け入れやすく、この時期にどんな体験をするかでねこの性格や行動などにも大きく影響します。

この頃になると、子猫は積極的なじゃれ合いなどの社会的な(追いかけっこなどの相手がいないとできない遊び)遊びをするようになります。母猫や兄弟猫との遊びをとおしてボディランゲージや相手の行動の意味、猫同士のコミュニケーションを学ぶのです。

また、自分と自分のまわりのほかの生き物(家族、飼い主、先住の動物など)や、自分がいる環境について学習し、適応していく時期でもあります。


 

1-2.ねこの社会化期はいつ?

ねこの社会化期は、生後2週〜9週までとされていますが、厳密な期間ははっきりしていません。個体差はもちろんですが、猫種による差もあるとされています。

また、生後2週〜16週までとする考え方もあり、その場合は9週までを「社会化期前期」、9週以降を「社会化期後期」と呼びます。

前期のほうがものごとを覚えるにはより適した時期ですが、後期にも社会化はつづきますので、暮らしの中でいろんなことを覚えていきます。この時期は、人と暮らすうえでふさわしい行動を学ぶのにもぴったりの時期です。爪とぎやトイレなどの基本ルールをしっかりと教えるようにしましょう。

後期は恐怖や葛藤を感じやすい時期にもあたりますので、怖がらせたり、いやがることをしないように注意してください。この時期に人間に対して負の感情を植え付けてしまうと、人間嫌いなねこに育ってしまう可能性もあります。

ただし、現在ペットショップでは、8週をすぎてからでないと生態の販売ができないため、迎え入れた時点でほぼ社会化期は終わっています。この時点までのあいだにブリーダーやショップでどういう経験をしてきたかがあとあと影響する可能性もあることを理解しておきましょう。


 

1-3.社会化期のねこの成長

ねこは生後約10日〜3週までのあいだに、目が開き、音に反応できるようになります。そして、母猫が食べているものに興味を持ち、その味を覚えます。このころに離乳がはじまります。

子猫は、母猫から母乳をもらえなくなることで、欲求不満や葛藤にさらされる時期です。それを乗り越えることで自立心やストレスに耐える力を身につけ成長します。

7週目に入ったころに離乳が完了し、母猫の行動を真似しながら獲物を捕らえるスキルを身につけていきます。

さらに、この時期には身体能力が急速に発達。視覚や聴覚も発達し、距離感やものの動きに対し適切に反応できるようになります。バランスを取りながら走ったり、高い場所にジャンプして移動したりできるようになるのもこのころです。

そして、14週ぐらいまでは社会的な遊びをとおして猫同士のコミュニケーションを学びます。

 

2.社会化期のねこの育て方

ねこは社会化期に環境や生きていくためのルールなどを学びます。この時期にほかのねこや人間に会わせたり、爪とぎやトイレなどの基本的なルールを教える(しつけ)とすんなりと覚えてくれます。

また、ほかのねこや人間に馴れるかどうかもこの時期の育て方が影響します。


 

2-1.ほかのねこや人間と触れ合う

社会化期には母猫や兄弟猫とじゃれ合ったりしながら多くのものごとを学ぶ時期です。

たとえば、兄弟との遊びをとおして噛む加減やコミュニケーションの能力を学びます。この時期にねこ同士で遊ぶ経験をすることで、臨機応変に対応する力が身につきます。

また、この時期はほかのねこや先住の動物にも馴れやすく、血のつながりのないねこや動物と接することで、攻撃性が低く社会性の高いねこに育つと言われています。

ほかのねこや動物と対面させる前には、動物病院でワクチン接種をすませておきましょう。

また、この時期に多くの人間と触れ合うようにすると、人見知りをしない社交的なねこになると言われています。もし、可能であれば友人など家族以外の人間とも触れ合う機会を設けると良いでしょう。

同時に、人に触られることにも慣らしておくとコミュニケーションやお手入れがしやすくなります。


 

2-2.生活音やいろんな環境に慣らす

ねこの聴覚は人間の4〜5倍とも言われています。そのため、突然大きな音がする家電を稼働させると驚いてしまうことがあります。ねこが安心して暮らすためには、洗濯機や掃除機、エアコン、テレビなど大きな音がする家電にならしておく必要があります。

最初は小さい音(遠くで)で聞かせて、少しずつ大きな音に慣らしていきましょう。

また、この時期に車や電車、動物病院など生活に必要なさまざまな音や場所に慣らしておくといいですね。


 

2-3.お手入れに慣らす

愛猫が爪切りや歯磨き、ブラッシングをさせてくれないとお嘆きの飼い主さんは、思いの外多いようです。

被毛のブラッシングや歯磨きは健康にも影響しますし、爪切りは怪我を防止するためにも必要です。

お手入れに慣らすためのトレーニングもありますが、できれば社会化期に習慣づけておくほうがストレスなく受け入れてくれます。

お手入れに慣らすコツは「嫌がったら無理強いしない」です。ねこによっては嫌なことをされると、そのあとは絶対にやらせないということもあります。

お手入れをするときに嫌がるようでしたら、おもちゃで気を惹いたり、おやつを食べさせたりしながらおこない、「お手入れ=良いこと」というイメージを持たせましょう。


 

2-4.いっしょに暮らしていくためのルールを教える

社会化期は良いことも悪いことも素直に吸収して覚えますから、しつけに最適な時期でもあります。

ねこと人間が仲良く暮らしていくためには、いくつか覚えてもらわなければいけないルールがあります。

たとえば、

  •  ・爪とぎは決まった場所でのみする
  •  ・トイレで排泄する
  •  ・噛んでもいいもの、だめなものを覚える

といったことがあります。

壁や家具で爪とぎをされたり、トイレ以外で排泄されたら困りますよね。ねこに噛まれるとパスツレラ症などの病気にかかる危険性もあります。

人間の都合を一方的に押しつけてばかりではいけませんが、なにもルールがないのも問題です。必要最低限のルールはしっかりと教えるようにしましょう。


 

2-5.キャリーバッグに慣らす

ねこを動物病院に連れていく際に必要になるキャリーバッグですが、入ることに慣れていないとかなり手こずってしまうことがあります。そうならないためにも、ねこを迎えたらなるべく早い段階で慣らしておくことをおすすめします。

大体の場合、キャリーバッグを使うのは動物病院に行くときだと思います。しかも、使うときに出してくることが多いですよね。大抵のねこは動物病院が嫌いですから、そうなるとキャリーバッグを出してきただけで逃げるようになります。

キャリーバッグに慣らすには、日頃からバッグを出しっ放しにし、中に入ったらおやつをあげるなどして「キャリーバッグ=良いもの」というイメージを持たせるようにしましょう。

中にいることに慣れてきたら、数秒間だけ扉を締めて開けるということをくり返し、少しずつ扉を閉める時間を延ばしていきます。次第に嫌がらずに入ってくれるようになるでしょう。

 

3.ねこの社会化期に注意すること

社会化期にはいろんなことをスポンジのように吸収していきます。もちろん、良いことだけでなく悪いことも簡単に覚えてしまいます。

しつけが上手くいかなくてイライラすることもあるかもしれませんが、怒ったり大声を出したりすると人間を怖がるようになるかもしれません。

ねこに体罰を与えるようなしつけをしていると、恐怖心や警戒心から攻撃的になってしまう可能性もあります。そうなると、人間自体を警戒するようになるでしょう。

また、この時期に悪い癖をつけてしまうと習慣化して直らなくなってしまうかもしれません。登ってほしくない場所に登ったらすぐに下ろす、登れないようにするなど、好ましくない行動はなるべくさせないようにしましょう。

 

4.社会化期を過ぎたねこと暮らす

大人の保護猫の里親になるなど社会化期を過ぎたねこを家族に向かえるケースもあるでしょう。そのような場合もねこのペースを尊重し愛情を持って接することで共同生活は可能です。

社会化期の子猫のようになんでもすぐに覚えるというのは、さすがに無理ですが、無理強いをせずに根気よく教えれば、爪とぎやトイレも覚えてくれます。

ただし、ねこにもいろんな性格の子がいますから、最初からフレンドリーなねこもいます。一方で、慣れるまでに年単位で時間のかかるねこもいます。

社会化期を過ぎたねこと上手に暮らせるかどうかは、飼い主さんの根気強さにかかっていると言えるかもしれません。

 

まとめ

友好的で社会性のあるねこに育つかどうかは社会化期に決まると言っても過言ではありません。社会化期になにを学び、どんな経験をしてきたかは、そのねこの性格や個性をかたどる大事な要素になります。

ですから、ねこの社会化期をいっしょに過ごす飼い主さんは、1日1日を大切にし、ねこと真剣に向き合ってください。

 

 

 

   
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