若い時は元気に走り回っていたねこも、いずれはシニア期を迎え、これまでできていたことができなくなっていきます。
そんなねこのために飼い主ができることの一つに、介護グッズでねこの生活をサポートすることが挙げられます。
今回の記事では、シニア期のねこを介護するためのねこグッズをご紹介しましょう。
ねこは7~11歳頃から老化が始まり、体のさまざまな機能が衰えます。
そのため、若いうちは問題なくできていたトイレや食事、移動ができなくなることもあります。
そうした変化はけがや病気の原因になるほか、ねこのQOL(生活の質)を下げてしまうことにもなりかねません。
年を取ったねこが最後まで安全、快適な生活を送るためには、介護グッズの利用が不可欠です。
ねこの健康状態や行動パターンをしっかり観察し、その時々に適した介護グッズを取り入れるようにしましょう。
それでは、シニア期を迎えたねこに必要な介護グッズを、食事や排泄といったシーンごとに解説します。
食事は生きていくために必要なものであり、また楽しみの一つでもあります。
特に生活が単調になりがちなシニアねこにとって、おいしくご飯を食べることは精神的な刺激やストレス解消にもなります。
介護グッズを上手に取り入れ、シニアねこが楽しく食事でき、健康を保てるようにしてあげましょう。
【1】食器、食器台
ねこにご飯をあげるときは、床に食器を置くのが一般的です。
しかし、床に置かれたごはんを食べる時、ねこの姿勢は前かがみになります。
関節に負担がかかり関節の病気を引き起こす恐れがあるほか、吐き戻しの原因にもなります。
シニアねこはもちろんのこと、若いねこに関しても、やや高めの食器もしくは食器台に食器を置いてご飯をあげるのがおすすめです。
また、食器や食器台の下には滑り止めシートを敷くと、食器をひっくり返したり、食器を動かして食べづらくなったりといった問題を防げます。
【2】介護食
シニアになると歯や消化能力も衰えます。
ねこの状態によっては、シニア向けの消化の良い、柔らかめのフードに切り替えていく必要があります。
腎臓病や糖尿病も増えますので、定期検診を受け、必要であれば獣医の指導を受けながら介護食を取り入れていきましょう。
「うちのねこ、シニアになってからトイレの失敗が多くなった…」という悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
シニアねこがトイレを失敗する理由はさまざまですが、関節炎や筋力の低下によりトイレに入れなくなっているというケースが多いようです。
さらに加齢により腎臓の機能が低下すると頻尿になりやすいため、トイレに間に合わないことも増えます。
排泄は食事と並んで重要な、生きていくための行動です。
ねこが快適に排泄できるよう、介護グッズをそろえてあげましょう。
【1】トイレ
スタンダードなねこのトイレは箱のような形をしていますが、シニアねこはそのへりをまたげず、トイレに入れないことがあります。
シニア用の段差の低いトイレに変える、もしくはスロープを付けて入りやすくすると良いでしょう。
また、トイレの周りにペットシーツを敷くと、おそそうがあっても掃除が楽です。
【2】ねこ用おむつ
認知症や寝たきりでトイレに行けないねこはおむつを使うのも一つの手段です。
ねこ専用のおむつを買えば間違いないですが、愛猫に合ったサイズを選ぶようにしましょう。
歩き回るねこの場合は、おむつカバーも一緒に着けるとおむつが脱げたりズレたりすることが少なくなります。
ねこは良く眠る生き物ですが、シニアになるとさらに睡眠時間が延び、20時間程度眠るといわれています。
快適に眠れる介護グッズを用意してあげましょう。
シニアねこの睡眠で、特に気をつけなければならないことは床ずれです。
床ずれは同じ姿勢で寝ることにより皮膚の同じ箇所が圧迫され、潰瘍を起こしてしまうことを指します。
ねこは体重が軽いため床ずれは起きにくいですが、寝たきりの老猫では頬や肩、腰、後ろ足のかかとなどが床ずれになることがあります。
床ずれを防止する介護グッズとしては、床ずれ防止マットがあります。
高反発の素材などでできており、体の圧迫を緩和する効果があります。
ねこも年を取ると足腰が衰え、歩いたり跳んだりといった動作が難しくなる場合があります。
できるだけ家の中を自由に行き来できるよう、必要な場所に介護グッズを置いてあげましょう。
また、認知症になり徘徊が見られるようになった場合は、ねこの安全を守るためのグッズを取り入れることも必要です。
【1】ステップやスロープ
ベッドやトイレなどの段差を上るのが難しくなった場合は、ステップやペットスロープを置くと移動がスムーズになります。
捻挫や脱臼、骨折といったけがのリスクを軽減できるほか、椎間板ヘルニアの予防にもなります。
スロープの場合は傾斜が15~20°程度のもの、ステップの場合は段が高過ぎたり狭すぎたりしないものを選びましょう。
また、安定性も重要です。ねこが上る箇所はもちろんのこと、底にも滑り止めがついているものが良いでしょう。
【2】シート、マット
フローリングや階段など滑りやすい箇所には滑り止めマットを敷き、ねこが転ばないようにしましょう。
また、段差の下には衝撃吸収マットを敷くと、飛び降りた際の体への負担を軽減できます。
若いねこも滑ったり飛び降りに失敗したりしてけがをすることがありますので、ねこが若いうちから準備しておくのも良いでしょう。
【3】サークル
認知症になり徘徊することが増えると、壁にぶつかったり隙間に入って出られなくなったりするなど、けがの原因になることがあります。
そのような場合はペットサークルに入れておくとけがを防げます。
ねこの体の変化に合わせて介護グッズを取り入れていくのは非常に重要ですが、肝心のねこが使ってくれなかったり、メンテナンスが大変で飼い主に負担がかかったりするのでは意味がありません。
介護グッズを選ぶ時や使う時に気をつけるべき主な点を以下にご紹介します。
介護グッズを使う主役はなんといってもねこです。
飼い主が気に入っても、口コミで良い評価があっても、実際に使うねこが使いづらければ意味はありません。
ねこの健康状態や好みを考えて、適切な介護グッズを選ぶようにしましょう。
ねこがグッズを使っている様子を確認し、ストレスなく使えているか、安全性は問題ないかを確認することも重要です。
せっかく買った介護グッズが愛猫に取って使いづらいということもありえます。
残念ですが、その時は割り切って別のグッズを試しましょう。
介護グッズによってはペット用品のレンタルショップや病院などでレンタルできるものもありますので、利用するのも一つの手です。
介護グッズはねこの生活の質を上げるだけではなく、飼い主の介護負担を軽減させる役割もあります。
ねこにとってはもちろんのこと、人間にとっても使いやすいかを考えましょう。
【1】持ち運びはしやすいか
ねこの介護グッズは安定性のためある程度の重さは必要ですが、あまりに重いと持ち運びがしづらくなります。
特にトイレやスロープ、ステップなど、持ち運びをする機会の多いグッズは重量もしっかりチェックしておきましょう。
また、大きさも持ち運びに不自由がない大きさを選んでください。
【2】洗いやすいか(清潔を保ちやすいか)
介護グッズは洗いやすいかどうかも確認しましょう。
洗うのが難しいと飼い主の負担になりますし、洗う頻度が減って清潔を保てないこともあります。
例えば、以下のような特徴のある介護グッズがおすすめです。
ねこは新しいものに警戒心を抱く動物です。
特にシニアになると新しいものにはなかなか慣れづらく、新しく買った介護グッズを使ってくれないということもあります
。新しいグッズを取り入れる時には、以下の点に注意すると良いでしょう。
【1】愛用品をなるべく生かす
愛用品はなるべくそのまま使ってもらい、それに介護グッズを加えるという形にすると受け入れてもらいやすいかもしれません。
例えば、以下のような方法で介護グッズを取り入れてみるのも一つの手段です。
【2】少しずつ慣らしていく
いきなり新しいものを与えると、例え好奇心旺盛の若いねこでも戸惑ってしまうものです。
以下のような方法で少しずつ慣らしていくと良いでしょう。
ねこの介護グッズとその選び方についてご紹介しました。
元気いっぱいの子猫の時から見ている愛猫がだんだんと年老いていくのは悲しく、受け入れがたいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、生き物は必ず年を取り、体が衰えていきます。
まずはその事実を受け入れ、愛猫が快適に過ごせるよう工夫するのがねこへの愛情であり、飼い主の義務です。
介護グッズを上手に取り入れて、シニアねことののんびりライフを楽しんでください。