ねこは犬と比べてしつけるのが難しいといいます。
たしかに、ねこをしつけるのは簡単ではありません。
しかし、ちょっとしたコツとねこの習性を理解することで、最低限のしつけは可能です。
今回は、ねこのしつけ方の基本と絶対に覚えてほしい、しつけの方法についてご紹介します。
ねこと人間がいっしょに暮らしていくためには、お互いに違いを認めて尊重しあい…というのは幻想です。
ねこの場合、どちらかというと人間がねこに歩み寄ることになります。
しかし、だからといって人間がすべてねこに合わせることは不可能ですよね。
そこかしこで、爪とぎされたら困るでしょうし、トイレ以外の場所で粗相をされたらたまったもんじゃないと思うでしょう。
そこで、必要になるのがしつけです。
しつけは、ねこに「ここで爪とぎをしてね」「おしっこはここでするのよ」というルールを教えることです。
ねこと人間が共存していくために必要な最低限のルールだと考えましょう。
ねこのしつけでは、基本的に罰を与えることはおすすめしません。
ねこに罰をあたえるのは大変難しく、デメリットが大きいといわれています。
ねこに間違った罰を与えると、あなたに対して警戒心を強めたり、信頼関係を失うばかりか、いっしょに暮らしていくことが困難になることもあります。
ねこのしつけの基本は条件付けを行うことです。
特定の行動をしたときによいことが起きた、悪いことが起きたという経験をくり返しさせるのです。
そうすることで、ねこは自然としてほしい行動をし、してほしくない行動をしないようになります。
その、よい経験にごほうびを使うのです。
ねこへのごほうびは、以下のようなことをしてあげてください。
ねこにもしつけは必要ですが、同時に叱らなくてもよい環境を整えましょう。
ねこはとても好奇心旺盛な動物です。
気になるものがあれば、噛んだり触ったりして確認せずにはいられないのです。
ねこを叱らなくてもよい環境は、ねこにとって安全で快適な環境であるともいえます。
たとえば、次のような対策があります。
ねこのトイレのしつけで大事なのは、ねこにとって快適なトイレ環境を用意することです。
ねこは、トイレが気に入らないとトイレを我慢したり、失敗の原因になったりします。
逆にいえば、ねこにとって快適なトイレ環境を用意できれば、トイレのしつけは成功したようなものです。
ねこにとって快適なトイレ環境とは。
※1)販売されているトイレは小さめのサイズが多いです。
大型のねこは衣装ケースを利用するのもおすすめです。
子猫のトイレのしつけでは、トイレサインを見逃さないことが大事です。
このようなトイレサインが見られたら、そっと抱っこしてトイレに連れていきます。
上手に排泄ができたら優しく撫でてあげましょう。
トイレのタイミングとしては、寝起きやご飯、運動のあとに排泄することが多いので注意深く様子を見てください。
トイレで上手におしっこができたら、汚れた猫砂を少し残しておきます。
床で粗相をした場合は、ティッシュにおしっこを染みこませてトイレに入れておきましょう。
自分の排泄物の匂いがするのでトイレだと認識しやすくなります。
ねこは猫砂が気に入らないとトイレに入るのを嫌がることがあります。
猫砂には紙製や木製、鉱物系、おからなど種類がありますので、愛猫の好みにあったものを用意してあげましょう。
一般的には、自然の砂に近い粒の細かいものを好むといわれています。
ねこはきれい好きです。
トイレが汚れていると失敗の原因になることがあります。
排泄をしたら都度お掃除をするのが理想ですが、最低でも朝と夜の1日2回はきれいにしてあげてください。
また、1ヶ月に1度はトイレを丸洗いし、猫砂を取り換えましょう。
トイレを失敗したときは絶対に叱ったり、大きな声を出してはいけません。
排泄するのは悪いことだと勘違いし、トイレを我慢したり、飼い主に隠れて排泄をする原因になります。
トイレを我慢することは健康にも影響します。
ねこは匂いが残っていると、トイレだと勘違いして同じ場所で排泄をする可能性があります。
ペット用の消臭剤などを使用してしっかりとにおいを消すようにしてください。
カーペットなどの布製品は洗えるものは洗濯をしましょう。
ねこに絶対に覚えてほしいしつけの一つが爪とぎです。
家具や壁で爪とぎをされる事態だけは、なんとしても避けたいですよね。
ねこは生後5週齢ごろから爪をとぐようになります。
ねこにとって爪は大切な武器です。
狩をしたり、木に登ったりといろんな場面で活躍しています。
その爪をメンテナンスするために欠かせないのが爪とぎなのです。
爪とぎにはメンテナンスのほかにも、マーキングやストレス発散といった意味もあり、完全にやめさせるのは不可能です。
お気に入りの爪とぎを用意してあげましょう。
飼い主さんが爪とぎ器で爪をとぐようにバリバリと引っ掻いて見せるとまねをしてくれることもあります。
特に、子猫は母猫やほかのねこのまねをして、物事を覚えていくので効果が高いといわれています。
まねをしない場合は、ねこの前脚を持って爪とぎをするような動作で足を動かしてみましょう。
これを爪とぎで上手にできるようになるまでくり返します。
ねこの爪とぎのしつけ方は簡単ですが、ねこによっては少し根気がいるかもしれません。
爪とぎ器には段ボール、麻や綿などの縄を巻いたもの、じゅうたん生地を貼り付けたものがあります。
また、壁に立て掛けるタイプや床に置くタイプなど置き方や形状もさまざまなです。
最初は複数の素材とタイプのものを用意しねこの好みを把握しましょう。
野生のねこは木などの爪が刺さりやすいもので爪とぎをしていました。
そのため、爪が引っかからないツルツルした場所では爪をとぎません。
もし、ねこが家具や壁などしてほしくない場所で爪とぎをしていたら、爪とぎ防止用のシートなどツルツルしたものを張りつけ、近くに爪とぎ器を置いてみてください。
ねこの問題行動のなかでもとくに困るのが噛み癖。親兄弟との遊びや暮らしを通して、噛む力加減や他のねことの接し方を学びます。
しかし、生後2〜9週齢までの社会化期に親兄弟から引き離されたねこは、これらを学ぶ機会がないまま成長します。
そうすると、噛む加減がわからずに噛み癖がついてしまうのです。
ほかにも、狩猟本能が刺激された、歯の生え変わり時期、もっと遊びたいなどの理由で噛みついてくることがあります。
痛いだけなら我慢もできるかもしれませんが、ねこに噛まれると感染症にかかってしまうこともあります。
まれではありますが、命にかかわることもあるので、噛み癖はつけないようにしましょう。
ねこの噛み癖のしつけ方で、噛み返したという驚くような話しを聞いたことがあります。
この方法は、失敗するとデメリットも大きいのでおすすめしません。
ここでは、なるべくストレスなく、噛み癖を治す方法をご紹介します。
噛み癖をやめさせるには、噛みついてきた瞬間に、落ち着いた声で「ダメ」と一言だけいいます。
名前を呼ぶのは絶対にやめてください。
名前にマイナスイメージを持ってしまう可能性があります。
もし、遊んでいる最中にかまれたら、すぐに叱りその場を立ち去り無視をしましょう。
無視をする時間はほんの20秒ほどで十分です。
そのあとは、何事もなかったかのように接してください。
もし、どうしても噛み癖が治らないという場合は、噛み癖対策用のスプレーの使用を検討してもよいでしょう。
ねこと遊ぶさいは必ずおもちゃを使うようにしましょう。
手を使って遊んでいると、手を獲物だと認識して噛みつくようになります。
歯の生え変わる時期は歯茎がむず痒く感じられます。
コードなどの噛まれると危険なものを噛んでしまう可能性があるため、噛んでもよいおもちゃを与えましょう。
デンタルケア用のおもちゃやぬいぐるみがおすすめです。
ねこの遊びは狩です。
遊んでいる最中に興奮しすぎて噛みついてくることがあります。
ねこが攻撃的になってきたときは、一旦落ち着かせるようにしましょう。
今回はねこのしつけ方の基本についてご紹介しました。
ねこが人間と暮らしていくためには、最低限のしつけが必要不可欠です。
お互いのためにも、してほしくないことはしっかりと教えなくてはいけません。
それと同時にねこを叱らなくてもよい環境を整えるようにしましょう。