長毛種で尻尾がないことが特徴のキムリック(Cymric)。
その不思議な存在に現在世界でも人気の高い猫種として注目されています。
マンクスの長毛種版とも言えるキムリックですが、その存在自体がマンクス以上に希少であることも特徴です。
今回は、そんなキムリックについての歴史や、もし一緒に暮らす際にはどんなことに注意すべきかをご紹介します。
マン島出身のマンクスの中に、低い確率ではありますが長毛種が生まれることがあります。
それがキムリックです。
マン島で自然のねことしてマンクスと一緒に暮らしていたキムリックは、マンクスと同じく世界に広まっていくことになります。
それでは、キムリックとはどのようなねこなのかをご紹介していきます。
別名「ロングヘア・マンクス」と呼ばれることもあるキムリックの歴史は、マンクスと同様に1920年代に アメリカのブリーダーが持ち帰って広めたことに由来します。
砂漠地帯発祥のねこが突然島に現れることはなく、マン島でねこが住み始めたのはバイキングたちの住処として使用されていた頃に持ち込まれたという説と、17世紀に貿易商が持ち込んだという説があります。
いずれにしても、そこから数百年の時を経てマン島に生息してきたキムリックです。
特徴としては尻尾が極端に短かったり全くないことで、その姿は海外を中心に人気を誇っている猫種です。
ちなみにキムリックという名前の語源は、ウェールズ地方を指す「キムルー」に由来するものです。
マンクスの長毛種バージョンがキムリックと言われていますが、実は毛以外の特徴の違いはないとされています。
また、マンクスの遺伝子の中に長毛種の遺伝子があった場合はマンクスからキムリックが生まれるという、なんともややこしい状況となってしまいます。
このことは猫種を認定する協会でも意見が分かれており、キムリックをマンクスとは別の種類とする協会と、同じ種類の猫種であるとする協会に分かれます。
キムリックに関しても、長毛種同士で交配した場合にもキムリックが生まれる割合が1/4であることにも関連してくるのです。
難しい問題ではありますが、毛の長さで全く違うねこにも見えることから別のねこだと認識してしまいそうですね。
キムリックは尻尾がないとされていますが、これにはいくつか種類があります。
全く尻尾のない「ランピー」と呼ばれる種類から、「ランピライザー」「スタンピー」さらには「ロンギー」という順番で、徐々に尻尾が長くなっていきます。
ロンギーとなると、日本猫にも多い、ちょっと短い尻尾程度になるので外見も大きく異なりますね。
ランピー同士での交配は出産がうまくいかないこともあるため禁じられており、ランピーが生まれる確率は非常に低いことも特徴です。
ランピーと一緒に住める確率はかなり低いとも言えます。
キムリックはかなり希少なねこであり、その中でもランピーはごく一部となっていますので、一緒に暮らすことはかなり苦労するかもしれません。
しかし、幸運にも一緒に暮らすことが決まった場合、仲良くなるためにどうすれば良いのか気になってしまいますね。
そこで、キムリックの性格を知り、その性格に合わせてキムリックと接することによって良好な関係性を構築しましょう。
キムリックの性格は心を許すまでに時間を要しますが、一度慣れてしまえば甘えてきたり活発に遊ぶ姿を見せます。
また、賢いねこなので一度心を許した相手をいつまでも覚えていますし、しつけもあまり必要ない猫種です。
来客などの知らない人がいると表には出てこないという引っ込み思案な面もあるため、信頼した人にだけ見せる姿は他のねことは違ってさらに可愛さが倍増して感じます。
仲良くなる前にはそっけない姿を見せ、懐いてくれないのではないかと不安になるかもしれませんが、根気よく付き合っていけば必ずねこから寄ってくるシーンがあります。
ひたすら身の回りの世話をすることで信頼関係が構築できるので、それまではあまり追わずに1人の時間を過ごしてもらうようにしましょう。
キムリックは自立心の強いねこであるため、どこか違う部屋に行ったときなどは放置しておくことをお勧めします。
これは、ねこ自身が1人で過ごしたいと思っているケースがあるため追ってしまうと嫌がられることが多いです。
お互いに信頼関係が構築できない期間では嫌われたのではないかと心配になるかもしれませんが、追うことで信頼関係が崩れるケースが多くあります。
1人で落ち着きたいと思っているときに他の部屋へ行くので、その時間を尊重してあげることも大切です。
お互いの時間を大切にすることがキムリックと仲良くなるカギになるので注意しましょう。
キムリックは長毛種なのでこまめなブラッシングが必要になりますが、本来尻尾がある場所には注意してください。
本来のねこでも尻尾の周辺には神経が多く通っているので扱いには注意しなければなりませんが、尻尾があるべき場所にはより多くの神経が通っています。
あまり強くブラッシングしてしまうとキムリックがびっくりしてしまうことも多いため、扱いには十分注意しましょう。
軽く撫でる程度であれば問題ありませんし、なにより抜けた毛が溜まってしまうリスクを考えると、軽く撫でてあげるようにするのがベストと言えます。
ねこと暮らすためにはねこの健康面にも気をつける必要があります。
キムリックは、尻尾がないという突然変異的に生まれたねこであるがために、病気には弱い傾向にあります。
人間であれば大したことはない症状に見えても、ねこにすると命に関わる病気であるケースもあります。
早期発見が重要ですので異常にすぐ気づけるように注意しながらねこと接することと、異常が見られた際にはすぐに動物病院へ連れていくことが大切です。
根治できる病気であれば短時間で回復することができますし、根治しない病気でも進行を食い止めることが可能です。
近縁種のキムリックも発症しやすい、脊髄の奇形により様々な障害が起こる恐ろしい病気です。
ひどい症状であれば、後ろ足の麻痺なども起こる先天的な病気であり、生まれた時には症状がなくても、歳を重ねてその症状が出てくることもあります。
内臓にも影響することがあり、排泄がうまくいかないケースも存在しま202す。
尻尾がないという特性がもたらす病気であり、全てのキムリックがこの病気に該当するわけではありませんが注意することは必要です。
症状が出た際には獣医師と相談の上、病気とうまく付き合っていくしかありません。
キムリックは長毛種であることから、毛球症には注意してください。
毛球症はねこが毛繕いを行った際に大量に毛を飲み込んでしまい、うまく消化できずに体内に残ってしまう病気です。
消化不良を引き起こしてしまうので、日頃から注意して回避しなければなりません。
ごはんを毛玉対策のものを選ぶことも重要ですが、飲み込ませる量をできる限り減らすように、小まめにブラッシングすることが一番の対策方法です。
ブラッシングはねこにとっての毛繕いにあたるので、ブラッシングさせてもらえるようになれば仲良くなる方法の一つとしても効果的です。
ねこの持病として腎臓の病気にかかりやすいということもありますが、マンクス症候群の兆候に気づくためにもトイレの管理には十分注意しましょう。
トイレの回数が減っていると内臓に異常が出ているケースもあるため、トイレ掃除の際などに量を確認してください。
極端に減った場合は内臓の異常が考えられるため、かかりつけの動物病院を受診するようにすれば早期対策もできるため、良いことだらけです。
日本ではあまり知られていないキムリックですが、尻尾がないことと長毛種であるという他のねこには見られない変わった特徴を持っています。
そのため、世界的には人気のある猫種です。
ただ、持病も持っているケースが多いため、もし一緒に暮らすことになった際には、健康に気をつけつつキムリックと幸せな時間をたくさん過ごせるように生活していきましょう。