メスねこを飼ったら避けては通れない「妊娠」の問題。
妊娠を望む場合も望まない場合も、大切なねこの体を守るため、妊娠について知っておく必要があります。
今回の記事では、ねこの妊娠に関する基礎知識や、飼い主が気をつけるべき点について解説します。
まずはねこの妊娠に関する基礎知識からご紹介します。
正しく知って、いざという時に適切な対応ができるようにしておきましょう。
メスねこは発情期を迎えれば妊娠可能です。
個体差はありますが、大体生後6~10ヶ月頃に最初の発情期を迎えます。
オス猫も同様に、6~10ヶ月頃には、メスを妊娠させられる体の仕組みが整います。
なお、何歳まで妊娠できるかという点についても個体差はありますが、12歳程度までは妊娠、出産が可能であると考えられています。
しかし、高齢出産となり体に大きな負担がかかりますので、母猫の健康を考えると、7~8歳くらいで妊娠させないようにした方が良いでしょう。
オス猫は生涯にわたり発情し続け、生殖能力を持ち続けるといわれています。
初春の季語として、「猫の恋」がありますが、実際は春にとどまりません。
日本においてはねこの発情期は1~8月とされており、特に日照期間が比較的長く、暖かい時期である2~4月、6~8月にピークを迎えます。
ただし、室内飼いの場合は家の照明の影響を受け、季節に関わらず発情期を迎えることがあります。発情する回数は年に2~3回程度です。
なお、オスは発情の時期が決まっておらず、発情したメスの鳴き声やにおいに誘発されて発情します。
発情した場合、ねこはメス、オスともに独特の行動を取ります。
また、パートナーを探すために家を出たがるようになります。
脱走して迷子になったり、望まない妊娠をしたりしないよう、行動を注意深く見守り、発情のサインを逃さないようにしましょう。
メスの場合
オスの場合
ねこは非常に繁殖力の強い動物として知られています。
その繁殖力の秘密は「多排卵」と「交尾排卵」という二つのキーワードから読み解くことができます。
・多排卵
ねこは多排卵動物で、一度に5~6個の卵子を排卵します。
また、発情中に複数のオス猫と交尾することで、父親の違う子猫を一度に産むことができます。
全く毛色の違う子猫が生まれたら、もしかしたら父親が違うのかもしれません。
・交尾排卵
ねこは交尾をした刺激で排卵します。
交尾の際に必ず排卵されますので、受精のタイミングを逃すことなく妊娠することが可能です。
そのため、交尾をしたねこが妊娠する確率はほぼ100%ともいわれています。
ねこの妊娠期間は品種や年齢、赤ちゃんの数によっても変わりますが、平均して62~67日程度です。
先ほどご紹介した通り、ねこの発情のピークは2~4月、6~8月であるため、4~6月、8~10月生まれのねこが多くなります。
一度に産む赤ちゃんの数は年齢や栄養状態によって差があり、1~8頭程度です。
平均で5頭程度生みます。
ギネスブックでは、なんと19匹の子猫を一度に産んだ母猫の記録が残されています。
基礎知識を押さえたところで、今度はねこが妊娠するまでに飼い主がすべきことをご紹介します。
純血種のメスねこを飼っており、妊娠・出産を望んでいる場合は、大切なねこと赤ちゃんの命を守るため、しっかり準備しましょう。
純血種同士で交配を望んでいる場合は、パートナーとなるオス猫を探す必要があります。
相談先としてはペットショップ、キャットクラブ、動物病院、ブリーダーなどが挙げられます。
いずれにせよ実績と経験があり、信頼できる相手かどうかを良く見きわめるようにしましょう。
交配をする際にはさまざまな下準備をして、あらゆるトラブルを防止する必要があります。
特に注意すべき点は以下の通りです。
・交配料について契約を交わしておく
純血種同士で交配をする時、基本的にはメスの飼い主がオスの飼い主に交配料を払います。
交尾しなかった場合や、交尾しても妊娠しなかった場合は複数回交配を試みられるのか、交配料の返金はあるのかなど、細かい点もしっかり話し合って契約を交わしておくようにしましょう。
そうすることで、金銭的なトラブルを防ぐことができます。
・ねこの体調を整える
交配をする前にねこの体調を整え、蚤の駆除やワクチン接種、健康診断を受けておきます。
また、相手のオスねこの健康状態も確認しましょう。
・様子を見て慎重に交配させる
メスとオスを会わせれば必ず交配が成功するわけではありません。
無理に近づけようとするとケンカをして怪我をするなど、トラブルのもとになりますので、ねこの様子を見ながら、焦らず慎重に進めていきましょう。
妊娠の兆候は、早くて10日後から、ご飯の好みの変化や嘔吐といった形で現れます。
20日を過ぎると乳首がピンク色になり、膨らんでくるので分かりやすいかもしれません。
兆候が現れたら、病院に行って検査を受けましょう。
妊娠の検査法には触診や超音波検査、レントゲン検査などがあります。
レントゲン検査は赤ちゃんへの影響があるため、基本的には1回のみ、妊娠後期に行います。
ねこが妊娠したら、2ヶ月後にはかわいい赤ちゃんが生まれます。
それまでのお母さんねこの体の変化と、飼い主がすべきことについてご紹介します。
妊娠したねこの体は以下のように変化します(日数は目安であり、個体により差があります)
大切なねこが妊娠したら、飼い主はねこが安心して出産できるよう環境を整えてあげなくてはなりません。
そのためにすべきことをご紹介します。
・栄養管理
妊娠期は赤ちゃんに栄養を送るため、通常時の2倍程度のエネルギーが必要になります。
しっかりご飯を食べさせてあげましょう。
妊娠・授乳期用のキャットフードに切り替えるのも良い方法です。
・出産場所を作る
出産直前になると、ねこは出産場所を探してウロウロするようになります。
薄暗く静かな場所に箱を置き、タオルや毛布を敷いて産箱を準備しておきましょう。
・病院に相談する
ねこは基本的に安産ですが、出産時にトラブルに見舞われる恐れもあります。
行きつけの病院に相談し、トラブルに備えておきましょう。
夜間や休診中の出産でも対応できるかどうかの確認も忘れてはなりません。
・子猫の行く先を考える
多くの場合、子猫は複数匹生まれてきます。
その全てを飼うのか、それとも誰かに飼ってもらうのかを考えておきます。
生まれてくる赤ちゃんを不幸な目に遭わせないためにも、飼い主が責任を持って行く先を決めておきましょう。
ねこの妊娠を望まない場合は、避妊手術をするのも一つの選択肢です。
多頭飼いではなく、完全室内飼い以外の場合は、気をつけていても妊娠してしまう可能性があります。
避妊手術により妊娠を防げるだけではなく、性感染症や子宮蓄膿症などの病気を避けることもできます。
また、ねこは1回の出産で複数生みますので、貰い手がいない場合や心当たりがない場合は、妊娠させることをやめた方がいいでしょう。
避妊手術をするのには、発情が始まる6ヶ月前後が良いタイミングとされています。
手術をするかどうか迷っている、手術が心配という場合は、獣医師に相談しましょう。
ねこの妊娠の基礎知識と、飼い主が注意する点についてご紹介しました。
愛猫が新しい命を宿し、かわいい子猫たちが生まれてくるというのは飼い主にとってもすばらしい経験です。
ねこの妊娠について知り、ねこの体のケアや出産の準備をしっかり行って、妊娠期間をサポートしてあげてください。