愛猫が妊娠し、いよいよ出産となると、楽しみではありますが心配も尽きません。
ねこの出産時、飼い主はいったいどのような準備をすれば良いのでしょうか。
また、トラブルが起きてしまった場合にはどのように対処すれば良いのでしょうか。
今回の記事では、ねこの出産についての基礎知識や注意点をご紹介します。
ねこが妊娠したら、安心して赤ちゃんを出産できるよう、体のケアや出産の準備をしてあげましょう。
特に気をつけるべきポイントをいくつかご紹介します。
妊娠中のねこは普段の2倍程度のエネルギーを必要とします。
食べ慣れたご飯を多めにあげるのでも構いませんが、妊娠期・授乳期用のご飯もありますので、上手に取り入れて必要な栄養を摂れるようにしましょう。
心配だからといって必要以上に構ったり、あれこれ心配し過ぎたりするとねこも神経質になります。
ゆったりと穏やかに過ごせるよう気を配ってあげましょう。
出産前にねこが安心して出産できる環境や道具を整えます。
また、トラブル時の対応について考えておくことも大切です。
特に以下のような準備は必ず行っておきましょう。
静かで明る過ぎない場所に段ボールを置き、清潔なタオルや毛布を入れて産箱を作ります。
お母さんねこが普段使っているものを入れると、においが移るので安心できます。
なるべく人が入らない部屋が理想的ですが、難しい場合はついたてで隠してもOKです。
冬場はペット用のカーペットやヒーターを使って、20℃以上を保つようにしましょう。
出産や赤ちゃんのケアはお母さんねこがするため、飼い主が手出しをする必要はありませんが、念のために以下のような道具を準備しておきましょう。
妊娠の兆候が見られた時点から、病院で検査を受けましょう。
出産間近にはレントゲン検査もできますので、必要に応じて受けると良いでしょう。
また、夜や休診日に出産を迎えた場合対応できるか確認しておくことも忘れてはなりません。
ねこの出産や子猫のケアについてあらかじめ勉強しておくと、いざ出産という時に慌てずに済みます。
ホームページや本で確認しておきましょう。
動画配信サイトでねこの出産の様子を見ておくのも良い予習になります。
ねこは一度の出産で1~8匹、平均5匹の赤ちゃんを産みます。
自分で飼えないのであれば、早めに貰い手探しを始めておきましょう。
出産間近になると、ねこは以下のような兆候を示します。
良く観察して、出産に備えるようにしましょう。
ねこは基本的に安産なので、出産はそっと見守るだけでOKです。
ただし、特別なケアを必要とするケースもありますので、干渉はせず、でもしっかり観察して、トラブル時には適切な対応が取れるように準備しておきましょう。
出産が近づくと先ほどご紹介したような体や行動の変化が起こります。
それに加え、陰部が充血して透明の粘液が出てくるようになると、1~2日後には陣痛が始まると思って良いでしょう。
いよいよ出産という時には、人間と同じく定期的な陣痛が起こり、破水します。大体破水から1時間後には第一子が生まれ、その後、10~40分間隔で次々出産します。
出産中はじろじろのぞいたり騒いだりせず、そっとしておく方がねこも落ち着いて出産にのぞめます。
しかし、中には寝ている飼い主をわざわざ起こして産箱まで連れて行ったり、お腹をさすってほしがったりするなど、サポートを必要とするねこもいます。
ねこの様子を見て、望んでいることをしてあげましょう。
ねこは安産とはいえ、時にはトラブルが起こる場合もあります。
起こりうるトラブルとその対処法についてご紹介します。
お母さんねこが以下のような状態になった場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。
以下のような場合は難産の恐れがあります。
このような状態になったら、獣医師に連絡して判断を仰ぎましょう。
先ほどご紹介した通り、赤ちゃんは基本的に30~40分間隔で生まれてきますが、出産が途中で止まるケースもあります。
1時間程度様子を見て次の出産が始まらなければ、獣医師に相談しましょう。
鼻の中に羊水が入っており、呼吸ができていない場合があります。
赤ちゃんを両手でそっと包み、頭がぐらぐらしないよう支えて優しく手を動かすことで、呼吸を促すことができます。
ぐったりしている場合は、38℃程度のお湯に入れて体を温めてください。
獣医師に相談しながらケアを行いましょう。
赤ちゃんが生まれると、お母さんねこは赤ちゃんの体を舐めて羊膜をとりのぞき、へその緒をかみきります。
しかし、経験や体力の不足から、ケアができない場合があります。
お母さんねこが羊膜を取らない場合は、赤ちゃんを清潔な布やタオルでくるみ、お母さんねこのそばにつれていって舐めるように促しましょう
舐めない時は、布で包んだまま赤ちゃんをなでるようにすると羊膜がはがれます。
へその緒が取れていない時は、体から2~3センチほどの場所を木綿糸で縛り、その上(胎盤側)を清潔なハサミで切ります。
ケアが終わったら、ぬるま湯で絞った布やタオルで赤ちゃんの体を拭いて、お母さんねこのそばに置いてあげましょう。
赤ちゃんが生まれてから72時間以内に飲むお乳を「初乳」といいます。
初乳には免疫を高める成分が含まれているので、できる限り飲ませてあげなくてはなりません。
お母さんねこがお乳をあげない場合は、赤ちゃんをお乳まで誘導し、乳首をくわえさせてあげましょう。
出産が無事に終わり、かわいい赤ちゃんが生まれた後も注意すべきポイントはたくさんあります。
お母さんねこと赤ちゃんを観察し、しっかりケアしてあげましょう。
出産は非常に体力を使うだけではなく、体の中が傷つくこともあります。
そのため、出産後のお母さんねこは病気にかかりやすい状態です。
様子がおかしい場合は獣医師に相談しましょう。
特にかかりやすい病気をご紹介します。
病名 | 症状 | 原因 |
胎児死亡 |
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子宮内に亡くなった胎児が残っている |
子癇 |
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妊娠や授乳によるカルシウム不足 |
産褥熱 | 高熱 | 出産によって子宮や膣の粘膜が傷ついたことによる細菌感染 |
子宮内膜炎 |
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子宮の修復が遅れたことによる細菌感染 |
子宮蓄膿症 |
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子宮内膜炎が悪化し、子宮内に膿が溜まっている |
乳腺炎 |
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乳房に母乳が残り、炎症を起こしている |
ねこは子育てがとても上手な動物ですので、基本的には任せておいて問題ありません。
心配のあまり飼い主が構い過ぎたり、赤ちゃんを触り過ぎたりするとストレスになり、育児放棄をしてしまう恐れがあります。
落ち着いて育児ができる静かで清潔な場所を用意し、妊娠中と同じく高エネルギーのご飯をあげる、飼い主ができるのはそれくらいです。
あとはお母さんねこを信じて見守りましょう。
先ほどご紹介した通り、赤ちゃんのお世話はお母さんねこに任せて問題ありません。
しかし、赤ちゃんの数や栄養状態、お母さんねこの年齢や健康状態によっては、お母さんねこだけで赤ちゃんのお世話をするのが難しいケースもあります。
お母さんねこと赤ちゃんの様子を良く観察し、必要に応じてサポートしてあげましょう。
ねこの出産時の体の変化や行動、また飼い主が気をつけるべきポイントについてご紹介しました。
あまり心配しなくても、ねこは生まれつき備わった力で赤ちゃんを産み、育てることができます。
準備やトラブル対応をしっかり行ったら、後はねこの力を信じてそっと見守りましょう。