何もしていないのに突然ねこに攻撃をされて驚いた。そんな経験を持つ飼い主さんも多いのではないでしょうか?
そんなときのねこは、相手が大好きな飼い主さんでも本気で攻撃してきます。しかも、鋭い爪と牙を持っているため、大怪我につながる可能性もあり大変危険です。
今回は、ねこの突然の攻撃から身を守るための対処法と日頃の対策について紹介します。
同じ攻撃でも攻撃行動と遊びはまったくの別物です。どちらなのかによって対処方法が異なりますので、簡単ではありますがそれぞれの特徴について紹介します。
ほかの動物や人間に危害を加えたり、威嚇したりする攻撃行動には次の2種類があります。
攻勢的な攻撃行動は、嫌悪や欲求不満、自己主張のため相手を積極的に攻撃します。相手を追いつめて攻撃してくることもあり大変危険です。
防御的な攻撃行動は恐怖や不安、葛藤などからくる攻撃行動で、追いつめられて仕方なく攻撃するという消極的な行動です。そのため、いきなり攻撃するのではなく「ウー」「シャー」と声で威嚇する行動が見られることもあります。
どちらのケースも本気で攻撃をしてくるため大怪我をする恐れがあります。攻撃が軽いうちに対処することが大切です。獣医師に相談することをおすすめします。
ねこにとって遊びは狩りです。獲物を捕まえて食べるという本能に基づいた行動です。遊びの狩では通常は、攻撃行動のように声を出して威嚇することはありません。
遊びの狩では、獲物を捕まえて食べると言う一連の流れを行なうねこもいれば、狩の一部だけを行なうねこもいます。
狩の対象がおもちゃであれば、食べないようにだけ注意すればとくに大きな問題になることはないでしょう。
ところが、人間が狩の対象(獲物)になってしまうといろいろと問題が生じる場合があります。通常は、大怪我をするほどのことはありませんが、ねこが、獲物の息の根を止める、解体するといった行動を人間相手に行うようになると大怪我をする危険性がありますので注意が必要です。
ねこが突然攻撃的になる理由にはさまざまなことが考えられます。そのなかでも、よくあるのが以下のケースです。
もちろん、攻撃行動の引き金がすべて「音」というわけではありません。飼い主さんの何気ない行動やできごとがきっかけになることもあります。
ねこが攻撃をしてくるときは興奮状態になっています。ですから、なるべく刺激しない、怖がらせない、脅かさないようにすることが重要です。
では、具体的にはどのように対処するのがよいのでしょうか。注意点と合わせて紹介します。
ねこに限らず動物と目を合わすという行為は敵意をあらわすことが一般的です。そのため、目をじっと見られると落ち着かない気持ちになります。ねこの興奮を鎮めるためには、視線をさらすようにしましょう。
ねこに攻撃されると思わず、手で押し返したり、声が出てしまったりという飼い主さんも多いと思います。ですが、ここはグッと我慢しましょう。攻撃の理由や反応の仕方によっては攻撃行動がエスカレートする原因になる可能性があります。
ねこは臆病な動物ですから、大きな声で叱ったり、音で脅かしたりすると、「人間=怖い存在」と認識してしまうことがあります。そうなると恐怖心から身を守るために攻撃行動に転じる場合も。
そもそも、ねこは悪いことをしてから0.5秒以内に叱らないとなぜ叱られているか分からないとも言われています。しかも、毎回、同じタイミングで叱らなければいけないのです。かなり無理があるように思います。
どんなに対策をおこなってもねこの攻撃がおさまらない場合は、体を丸めて床に伏せ防御の態勢をとります。ねこが落ち着いてきたら這って隣の部屋に避難してください。しばらくするとねこは物陰に隠れておとなしくなります。そのあと1日はねこのいる部屋に入らないようにします。
ねこが興奮している間は回りの人も猫を刺激しないように「叱る、大きな声や音を出す」といったことがないように注意しましょう。ねこの恐怖心を煽りさらに攻撃的になる可能性があります。
ねこの攻撃行動を防ぐいちばんの対策は、攻撃のきっかけとなる要因を排除することです。しかし、すべての原因を完全に排除するのは、無理があると思われます。まずは、以下を参考に対策をすることからはじめましょう。
ねこは1度怖いと感じた音に対して敏感になっています。大抵はすぐに平常心を取り戻しますが、強い恐怖心やストレスを感じると、近くにいる飼い主さんや同居の動物に攻撃をすることがあります。
ねこが驚く音には、
など何気ない生活音が多いようです。なるべく大きな音を出さないように注意して行動しましょう。
ねこは、ストレスを感じやすく影響を受けやすい動物です。大きな音、同居ねことの不仲、環境の変化など私たちには何気ないことが大きなストレスになると言われています。
ねこが常にストレスにさらされていると、精神状態が安定せず些細な物音やできごとに過敏になります。そのような状態で暮らしていると、何気ない音や行動がきっかけで、ある日突然スイッチが入ったように攻撃的な行動に出ることがあります。
もし、特定のことに対して過敏になっているようならば、できる限り排除するように努めましょう。
ねこのストレスを減らすことは、攻撃行動だけでなくさまざまな体の不調や病気の予防にもつながります。
痛みや体の不調から攻撃的になることもあります。特定の場所を触ろうとすると攻撃をしてくる場合はその可能性が高いです。念のため、動物病院を受診し問題がないか確認してもらいましょう。
もし、ねこが興奮してすぐに連れていけない場合は、落ち着くのを待って後日連れていくようにしてください。受診の際は安全のため洗濯ネットに入れていくことをおすすめします。
原因がわからない、対策をしても解決しないといった場合は、動物病院で相談することをおすすめします。精神的なことが原因ならば、気持ちを落ち着かせる薬を使って治療をすることもできます。
また、場合によっては獣医行動診療科認定医などの動物の問題行動に詳しい獣医師を紹介してもらうとよいでしょう。
ねこがなんの前触れもなく突然飼い主さんや同居のねこに襲いかかってきた!そんなときは、「激怒症候群(特発性攻撃行動)」の可能性も考えなければいけません。
激怒症候群のねこは、普段おとなしくても突然制御できないほどの激しい攻撃行動を繰り返すようになります。
ねこの激怒症候群が認められたのはごく最近で、まだ詳しいことは解明されていません。いぬの研究では、てんかん発作が原因になっているのではないかと考えられているようで、状況からねこも同様の可能性があるようです。
もし、激怒症候群が疑われるならば、獣医師に相談しましょう。
ねこの突然の攻撃行動は原因を知り、しっかりと対処をすることで解決する可能性もあります。一方で、激怒症候群などの深刻な病気が隠れている場合も。
もし、自分では対処できないと感じたら攻撃が深刻化する前に獣医師に相談するようにしましょう。また、場合によっては、獣医行動診療科認定医などの動物の問題行動に詳しい獣医師を紹介してもらうことをおすすめします。