「ねこにマタタビ」という言葉があるように、ねこはマタタビが大好きです。
マタタビを嗅いだり舐めたりして酔っ払ったようにトロンと幸せそうにしているねこも、かわいくておもしろいですよね。
しかし、マタタビはなぜねこを酔わせるのでしょうか。
また、あげ過ぎても問題はないのでしょうか。
今回の記事では、マタタビの効果と、ねこにあげる時の注意点を解説します。
「マタタビ」とはいったい何でしょうか。
また、ねこはなぜマタタビに反応するのでしょうか。
まずはマタタビの基礎知識をご紹介します。
マタタビ(木天蓼)は、マタタビ科マタタビ属の木です。
マタタビは6~7月頃白い花をつけ、その後どんぐりのような形の実がつきます。
しかし、その前のつぼみの状態の時に「マタタビミタマバエ」というハエが卵を産み付けると、実の形はボコボコしたものになります。
これは「虫えい果」といい、神経痛やリュウマチに効く生薬として利用されています。
ねこが喜ぶ「マタタビ」は、このまたたびの虫えい果です。
ねこがマタタビの虫えい果をかいだり口にしたりすると、多幸感を引き起こし、以下のような行動を取ることがあります。
これは、マタタビに含まれるマタタビラクトンやアクチニジンといった成分が、ねこの上あごにある「ヤコブソン器官」を刺激するためといわれています。
ヤコブソン器官は第二の嗅覚器官ともいわれており、フェロモンを感知することが可能です。
マタタビの成分がヤコブソン器官を通ると中枢神経が麻痺します。
人間で言えばお酒に酔ったような状態になり、先ほどご紹介したような行動を取るのです。
ここまでお読みになり、「うちのねこは全然マタタビに反応しない。どこかおかしいんじゃないか」と心配する飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
しかし、マタタビの反応には個体差があるため、反応しなくても何らおかしいことはありません。
特に子ねこやシニアのねこ、去勢や避妊を済ませたねこ、妊娠中のねこなどはマタタビに反応しない場合が多いようです。
基本的には、ねこにマタタビをあげ過ぎても、健康に害を及ぼすことはないようです。
マタタビをねこにあげると酔っ払ったようになることから、お酒と同じく依存症になるのでは?と心配になるかもしれませんが、マタタビに依存性はありません。
過剰摂取による健康被害に関しても、現在のところ見つかっていません。
ただし、あまりにあげ過ぎると興奮して暴れ、ケガや誤飲をしてしまう恐れはあります。
そのため、老ねこや病気のねこは特に気をつけて与えなくてはなりません。
また、マタタビの実や枝を直接かじらせる場合も注意しましょう。
成分に関係なく、繊維質の多いものを食べ過ぎると体調を崩す恐れがあるからです。
ねこにあげるまたたびのタイプとしては、大きく分けて以下の4つがあります。
目的やねこの好みに合ったものを選びましょう。
マタタビの実を粉末にしたもので、手に入りやすく効果が高いため、最も目にする機会が多いタイプです。
爪とぎ器やおもちゃにかけて、ねこの興味を引くのに役立ちます。
また、フードにかけると食いつきが良くなるため、食欲がない時に利用できるでしょう。
液体タイプはマタタビの虫えい果のエキスを抽出したものです。
おもちゃや爪とぎ器などに吹きかけることで、ねこの注意をひくことができます。
また、飲み水に入れるタイプのものもあります。
水をなかなか飲みたがらないねこには、またたびエキス入りの水をあげると飲んでくれるかもしれません。
虫えい果を丸ごと乾燥させたものです。
粉末と比較すると効果が弱いため、マタタビ初心者のねこにうってつけです。
そのまま与えると飲み込んでしまい、開腹手術をしなければならないこともありますので、細かく削ってあげるようにしましょう。
ねこ用に乾燥させたマタタビの枝が売られていることもあります。
先ほどご紹介したとおり、ねこを興奮状態にするのは「虫えい果」であり、枝にはねこを興奮させる効果はあまりありません。
しかし、中には喜んでかじるねこもいるので、歯ブラシ代わりに与えてみても良いでしょう。
マタタビは害のあるものではありませんが、あげ方を間違えるとねこの健康や安全を損なう恐れがあります。
マタタビをあげる際に、特に注意したいポイントをいくつかご紹介します。
小さな子ねこは脳や体内の器官が未発達であるため、またたびの強い刺激によりパニックを起こしてしまうことがあります。
ある程度体がしっかりしてくる生後半年~1年を超えてからあげるようにしましょう。
マタタビはいわばお菓子やお酒のような「嗜好品」ですから、いつでもあげるのではなく、ポイントを押さえてあげると効果的です。
おすすめのタイミングを以下にご紹介します。
【1】ご褒美としてあげる
爪切りやシャンプーなど嫌なことを頑張った、トレーニングがうまくいったなど、ご褒美としてマタタビをあげると効果的です。
マタタビはねこに多幸感を与えるため、爪切りやシャンプーをして落ち込んだねこの気持ちを持ち直させることもできます。
おやつと違って肥る心配がないのもまたたびのメリットです。
【2】遊びの時にあげる
運動やコミュニケーションのためにねこを遊ばせたいと思っても、思うように遊びに乗ってくれない時があります。
その時には、おもちゃにマタタビの粉やスプレーをかけると、興味を持って遊んでくれるかもしれません。
マタタビの入ったおもちゃもありますので、試してみるのも良いでしょう。
【3】食欲がないときにあげる
食欲が落ちた時には、ごはんにマタタビの粉をふりかけると食べてくれることがあります。
また、水を飲まない場合にもマタタビは使えます。またたびのエキスを水に落とすと、飲んでくれるかもしれません。
【4】元気がない時、機嫌の悪い時にあげる
マタタビは人間のお酒と同じように、ストレスを解消し活力を呼び起こす効果があります。
ねこの元気がない時や機嫌の悪い時にあげると、心身をリフレッシュさせてくれるでしょう。
ただし、病気の時にマタタビをあげると、体に負担がかかる場合があります。
明らかに調子が悪い時はマタタビを無理に与えず、まずは病院へ連れて行きましょう。
先ほどご紹介したとおり、マタタビへの反応は個体差があります。
なかには激しく反応してしまうねこもいますので、まずは少しかがせるだけにしましょう。
その後少しずつ量を増やすなどして、そのねこの適量を探ると良いでしょう。
ねこにマタタビをあげる方法としては、においをかがせる(鼻から取り込む)、もしくはなめさせたり食べさせたりする(口から取り込む)の2種類が挙げられます。
【1】においをかがせる
においをかがせる方法は、効果は弱いですが長続きします。
おもちゃなどに粉をふりかけて与えると、においをかぎながらスリスリゴロゴロするなど、長く楽しむ様子が見られます。
【2】なめさせる・食べさせる
またたびの粉をなめたり、実をかじったりするのを好むねこもいます。
味が好きなのかもしれませんし、口の中にまたたびを入れることで、よりヤコブソン器官ににおいを届かせようとしているのかもしれません。
直接マタタビを口にすると、においをかぐ時よりも効果が強く現れますが、長続きしません。
マタタビの成分がすぐにヤコブソン器官を通り過ぎてしまうためです。
また、食べ過ぎておなかを壊してしまったり、体質に合わず体調を崩してしまったりすることもあるかもしれませんので、様子を見ながら与えるようにしましょう。
マタタビをねこにあげる時は、必ずそばで見守るようにしましょう。
先ほどご紹介したとおり、またたびを摂取することで興奮状態になり、暴れてケガをする恐れがあるためです。
特に、おもちゃにマタタビの粉を振りかけて遊ばせた場合、おもちゃをかみ破って飲みこんでしまうことがありますので、気をつけましょう。
また、シニアねこや病気のねこにマタタビをあげる時には、念のために獣医師に相談しましょう。
マタタビがねこに与える効果と、あげ方について解説しました。
マタタビは人間でいうお菓子やお酒のようなもので、ねこにあげると気持ちがリフレッシュし、元気になる効果があります。
依存症や肥満の心配もないため、トレーニングやコミュニケーションに使いやすい点も大きなメリットです。
あげる量やタイミングに気をつけて、安全にマタタビを楽しめるようにしてあげましょう。