家でのんびり寝ているねこもかわいいですが、ワイルドキャットには普通のねこにはない勇ましさがあり、また別の魅力があります。
そんなワイルドキャットには、動物園で会うことができます。今回の記事では、動物園にいるワイルドキャットについて解説します。
動物園にいるワイルドキャットの中には、体重が10~20㎏ほどもある大きなものもいます。イエネコとは全く違う猛々しささえ感じられる大きなワイルドキャットをご紹介します。
サーバルはサハラ砂漠以南のアフリカ大陸に生息するワイルドキャットです。アニメ「けものフレンズ」の主人公になったことから、一躍有名になりました。
体長は60~100㎝、体重は6~18㎏と大きく、しっぽはやや短めです。顔は小さく、先の丸い大きな耳が印象的です。体毛は短くて柔らかく、黄褐色をベースに小さな黒い斑点があります。
ジャンプが得意で、なんと高さ2m、距離4mも跳ぶことができます。獲物を見つけるとジャンプで飛びかかり、前足で獲物を捕まえます。
他にも地中の獲物を掘りだしたり、蛇をパンチで捕えたりするなど、バリエーションに富んだテクニックを使える狩の名手です。
サーバルに会える動物園
など
カラカルはアフリカの大部分と中東の一部に生息するワイルドキャットです。体長は60~100㎝、体重は6~20㎏と、サーバルとほぼ同じ大きさです。体毛は短くて、赤褐色もしくは黄灰色、あごからのど、おなかは白です。
カラカルの一番の特徴は何といっても耳でしょう。三角にとがった大きな耳の先には房毛があり、まるで王冠をかぶっているように見えます。この房毛は耳に入ってくる音を増幅する働きがあるだけではなく、仲間とのコミュニケーションに役立っているとも考えられています。
耳先と耳裏が黒いことから、「kara kulak」(トルコ語で『黒い耳』)と名付けられました。
大きな前足と良く発達した爪を持ち、顎の力も強いことから、自分より大きな獲物も狩ることができます。
カラカルに会える動物園
など
続いてやや小さめの、かわいいタイプのワイルドキャットをご紹介します。
マヌルネコはイランから中国西部に生息するワイルドキャットです。体長は50~65㎝、体重は2.5~5.3㎏と、イエネコとほぼ同じ大きさで、名前の由来もモンゴル語での「小さなヤマネコ」です。
体の毛は厚く密集していてモフモフしており、赤みがかかった褐色をしています。耳が小さくて足が短く、まるでタヌキのようです。-50℃になることもある寒冷地に住むマヌルネコは、この体毛と体型で寒さから身を守っているのです。
シャープな印象のあるサーバルやカラカルと異なり、マヌルネコは走るのが得意ではありません。獲物を見つけると少しずつ忍び寄って捕まえます。天敵に狙われた際も体を低くして地面に這いつくばり、岩や地面に擬態して身を守ります。
マヌルネコに会える動物園
など
スナドリネコは南~東南アジアに広く生息するワイルドキャットです。生息地によって体の大きさは異なりますが、体長は57~80㎝、体重は5.5~11㎏と、イエネコよりやや大きめです。
アニメにもなった人気漫画「ぼのぼの」にも登場します。
「スナドリ」は「砂取り」ではなく「漁り」を意味します。スナドリネコは沼地や川辺に住み、魚や貝を捕らえて生活しています。前足には水かきがあり、泳ぎや潜水も得意です。小さい耳や幅の細い顔、太く短いしっぽは、カワウソかビーバーのようです。体の毛は灰褐色で、黒い斑点があり、顔から耳にかけて伸びる6~8本の線が特徴的です。
スナドリネコに会える動物園
など
スナネコは中東からアフリカの砂漠地帯に生息するワイルドキャットです。体長39~57㎝、体重1.3~3.4㎏と、イエネコよりかなり小型です。大きな額に三角の耳、毛色は砂漠の砂に近い、銀色かかった黄色です。その可憐な見た目から「砂漠の天使」と呼ばれることもあります。
耳の内側には長い毛が生えており、砂が入るのを防いでいます。また、足の裏にも長い毛があり、熱い砂の上でもやけどをせずに歩くことができます。
非常に耳が良く、野生下ではネズミや鳥類、爬虫類、昆虫などを捕らえて生活しています。
スナネコに会える動物園
など
最後に「ヤマネコ」の仲間たちをご紹介します。複数の種類のヤマネコを飼育している動物園もありますので、特徴を比べてみるのも面白いかもしれません。
※ヤマネコには亜種が多く、分類には諸説あります。
ベンガルヤマネコは東アジア~南アジアの森林地帯に生息するヤマネコです。体長は35~100㎝、体重は3~7㎏と、イエネコと同じくらいの大きさです。毛色はバリエーションに富み、南方や黄褐色、北方は銀白色をしています。胸や口の周りは白で、胸や全身に黒や褐色の斑点が縦に並んでいます。
イエネコと大きさは似ていますが、足はずっと長く、木登りが大得意です。
このベンガルキャットとイエネコが交配されたのが、「ベンガル」のルーツです。ベンガルヤマネコににたシャープな体つきとつやのある被毛が魅力的な猫種です。
※ベンガル
ベンガルヤマネコに会える動物園
アムールヤマネコは東アジア~南アジアに生息するベンガルヤマネコの亜種です。そのうち、対馬にいるヤマネコが「ツシマヤマネコ」です。体長は70~80㎝、体重は3~4㎏と、イエネコとほぼ同じ大きさです。毛色は灰褐色で、ぼんやりと斑点が見えます。耳の後ろに白い斑点があり、尾はイエネコより太めです。
野生のツシマヤマネコは生育環境の悪化や交通事故により減少しており、1971年に国の天然記念物、1994年に国内希少野生動植物種に指定されていますが、害獣のわなにかかってしまう被害が増えており、問題になっています。
ツシマヤマネコ・アムールヤマネコに会える動物園
など
ヨーロッパオオヤマネコはシベリアオオヤマネコともいい、ユーラシア大陸の温帯域以北に生息するヤマネコです。体長は55~130㎝、体重は14~35㎏と、ヤマネコの仲間の中で最大です。体毛は黄褐色もしくは赤褐色で、模様ははっきりしていません。耳の先には長い房毛があり、トラのように頬から長い毛が生えています。
体が大きいため捕らえる獲物も大きく、時には自分の体重よりはるかに重い150㎏程度の獲物を捕まえることもあります。
ヨーロッパオオヤマネコ・シベリアオオヤマネコに会える動物園
ボブキャットは北アメリカに広く生息するヤマネコの仲間です。体長は55~100㎝、体重は5~15㎏程度と、ヤマネコの仲間の中では小さめです。しっぽは短く、「ボブキャット」の名の由来になっています。毛の色は黄褐色、赤褐色、暗褐色などバリエーションに富んでおり、縞のような模様があります。
ネコ科の動物としては持久力があり、長く走れるだけではなく、木登りや泳ぎも得意な万能ハンターで、ウサギをはじめネズミ、シカ、鳥、魚などさまざまな獲物を捕まえます。
ボブキャットに会える動物園
動物園で会えるワイルドキャットをご紹介しました。シャープでカッコイイねこ、もふもふかわいいねこ、みんなそれぞれ魅力があります。
野生の動物であるワイルドキャットを間近で見ると、イエネコと同じ点、違う点が見えてきます。ねこの魅力をもっと良く知るためにも、動物園に行ってワイルドキャットに会ってみてはいかがでしょうか。
※飼育情報は2024年4月のものです。最新情報は各動物園にお問い合わせください。