ねこが熱中症にかかることはけっして珍しいことではありません。
人間と同じように、ねこも熱中症が原因で亡くなることもあります。
ねこの熱中症のリスクが高まるのは、高温多湿の時期、つまり初夏から初秋にかけての気候がそのピークだそうです。
愛猫を熱中症から守るために飼い主さんができることはいったい何でしょうか。
ねこは熱中症にかかりやすいと言われています。
もちろん、室内と室外で暮らしているものでは違いがあります。
室外で暮らしているねこは、涼しい場所を求めて居場所をかえますから、室内で飼われている猫よりもかかるリスクは少ないでしょう。
問題なのは、室内で飼われているねこです。
室内で飼われているねこは、外で暮らすねこのように涼しい物陰に身をひそめることができませんから熱中症にかかりやすくなります。
ねこは元来、体温調節の苦手な生き物と言われていますから、暑くて湿度の高い家の中で暮らしていると、熱中症にかかるリスクは高まるでしょう。
元来、ねこは体温調節が苦手な生き物と言われています。
ねこが体内にたまった熱を放出するためには、汗をかかなければなりません。
しかし、ねこは肉球や鼻の限られた部分でしか汗をかけないので、たまった熱を放出することが難しいと言われています。
ねこが熱中症にかかりやすいのも、体温調節が苦手ということに理由がありそうです。
ねこが熱中症にかかりやすい季節は夏場がほとんどです。
気温が30度を超え、湿度が60~80%にねこの熱中症にかかるリスクは急激に高まります。
これは、季節としては5月下旬から9月下旬に当たります。
毎年、5月を過ぎると熱中症で病院に運ばれるねこが多いのはそのためです。
飼い猫が熱中症にかかりやすいのは、閉め切った部屋や車の中など急激に温度が高くなる場所です。
とくに、ジメジメとした蒸し暑い環境下では熱中症のリスクが高まります。
ねこの個体により違いはありますが、ねこが熱中症にかかってしまったら次のような症状が表れます。
見た目にもいつもとは違った変化があらわれますから、その変化に気づいたら熱中症と疑ってください。
熱中症にかかると普段のような元気さがなくなります。
ぐったりとしてなかなか動こうとはしません。
なかには、熱中症にかかるとよだれを流すねこもいます。
歩いたとしても、足元がふらついてなかなかまっすぐに歩けなくなります。
手で触れてみて、飼い猫の体温が異常に高いと感じたら熱中症の症状です。
首の下や、脇の下、足の付け根などが熱を帯びているのでいつもよりも熱く感じます。
熱中症が激化すると体温が40度を超えることもあります。
むくみも一緒に感じられたら、熱中症の疑いはさらに高くなります。
人間でもそうですが体温が高くなり、熱を体内から逃がそうとするときは口呼吸が激しくなります。
ねこも同じように体内に熱がこもってくるとハァハァと口で息をするようになってきます。
これは「パンティング」と言われるもので、息を吐くことによって体内の熱を外へと逃がしているのです。
このように、口で盛んに息を吐くようになるのは熱中症の症状の一つです。
ねこが熱中症にかかると、口呼吸とともに心拍数が増加してきます。
また嘔吐や下痢をすることもあります。
心拍数の増加や嘔吐・下痢の始まりは、熱中症がかなりに進んだ状態だと言えるでしょう。
発作がはじまったり、痙攣を起こしたり、意識がなくなっている状態はかなり重症と言えます。
このようなときは、中枢神経が侵され循環不全による臓器障害も出ていることが考えられ非常に危険な状態です。
愛猫が熱中症にかかったときに飼い主さんが知っておきたい応急処置があります。
ただこれは、初期の段階での応急処置ですから、症状が重篤の場合はかかりつけの病院で本格的な処置を行ってもらうことをすすめます。
応急処置には次のようなものがあります。
ねこが熱中症にかかると体温が急激に上昇しています。
体内にたまった熱を放出させるために体温を下げてやりましょう。
冷やす方法は、保冷剤や氷をタオルで包んで首、脇の下、足の付け根など太い血管の周りを冷やします。
濡れタオルで全身を包んで冷やしたり、軽く霧吹きで全身を濡らしてやったりして体温を下げるのも効果があります。
ねこの発散する熱気を拡散させるために、扇風機や冷風扇を使って周りの熱気を取り除いてやるのも有効です。
ねこの意識がはっきりしているようでしたら水を飲ませてやりましょう。
飲まないようなときには、水で濡らしたタオルやハンカチを口元で絞って与えてやりましょう。
また錠剤を溶かしてねこに飲ませる注射器を使って、少しずつ与える方法もあります。
ただ、無理をして水を与えるようなことは止めましょう。
意識がないときには喉に水を詰まらせて窒息することあります。
応急処置で意識が回復したり、熱が下がったりしたら涼しい部屋に移して安静にさせましょう。
ただ応急処置で症状が軽くなったと安心してはいけません。
熱中症に侵されて、循環不全による臓器障害の恐れもあります。
応急処置後は必ずかかりつけの病院で診察をしてもらって、異常の有無を確認しましょう。
症状の程度によっては、長期の入院も考えておいてください。
愛猫を熱中症から守るには、飼い主さんが予防法を考えてあげなければなりません。
飼い主さんがしっかりとした対策を取って、愛猫を熱中症から守ってあげましょう。
ねこの熱中症の予防には次のようなことが考えられます。
エアコンは夏場には必要な冷房用機器です。
ねこがよくいる部屋には、必ずエアコンを設置し、温度管理をしっかりとしてあげましょう。
とくに、熱帯夜と言われるようなときは、人間と同じようにねこも熱中症のリスクが高まりますから積極的にエアコンを活用しましょう。
サンルームは室内で飼われている猫にとってはお気に入りの部屋です。
しかし、サンルームは夏場には灼熱地獄です。
もし、こんな部屋に誤って閉じ込められていたら危険です。
日頃から愛猫がいるかどうかについて注意して確認しましょう。
できるなら熱中症予防のためにも、夏場のサンルームへの出入りについては鍵をかけて禁止しましょう。
ねこの熱中症予防には水分補給は大切です。
いつでもどこでも新鮮な水が飲めるように、複数の水飲み用容器を設置しましょう。
できれば、各部屋に一つずつ設置が望ましいです。
また、こまめに容器の水は新鮮で冷たい水に交換して上げましょう。
愛猫のことがよくわかるのは飼い主さん本人です。
愛猫のちょっとした変化に気付いてあげるためにもよく観察することです。
忙しいかもしれませんが、注意深く観察することで愛猫の異変を察知して、病気や熱中症の早期な発見につながります。
ねこの熱中症の意外な落とし穴と言えば、車への置き去りです。
かかりつけの病院からの帰りがけにちょっと寄り道して買い物をと考える飼い主さんは多いでしょう。
しかし、夏場の車の中は灼熱の地獄です。
そのような場所に、4、5分のつもりで、愛猫を車のなかに置いたままの買い物は危険です。
取り返しのつかない重度の熱中症にかかる恐れもあります。注意しましょう。
これまでねこの熱中症について、その症状や応急処置、予防のために飼い主さんが注意しなければならないことについて解説してきました。
室内で飼われている愛猫は、熱中症にかからないために環境を変えることはできません。
飼い主さんの与えた環境でしか暮らしていけません。
ねこが病気や熱中症などかからないためにも、飼い主さんは環境を整え、愛猫をよく観察してあげましょう。