一緒に暮らしているねこを見て、ふと「最近太ってきたのではないか」と思う方もいらっしゃると思います。
実は、家で暮らすねこは気をつけなければどんどん太っていくのです。
人間同様に、万病の元にもなるねこの肥満。
絶対に避けたいところではありますが、そのためにはねこが肥満になりやすい原因を探る必要があります。
そこで今回は、ねこはなぜ肥満になってしまうのかということにスポットを当ててご紹介していきます。
ねこの肥満の原因となることの一つに、去勢というものがあります。
去勢することで病気を避けられたり大人しくなったり、さらには多頭飼いの場合はねこの数が予想以上に増えることもなくなるため、家で暮らすねこは去勢することが多いです。
実際に去勢をすることで平均的な寿命も伸びるため良いことと言えますが、去勢することで太りやすい体質になってしまうのです。
肥満になる確率は去勢前と比較して2倍にまで数が跳ね上がるほと高リスクになります。
そこで、まずは去勢したねこがなぜ太りやすい体質になるのかをご紹介していきます。
「基礎代謝」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
この基礎代謝とは、寝ている間にも生命活動を維持するために消費されるカロリーのことを言います。
じっとしている状態でも、呼吸をしたり身体中に血液を巡らせるため、様々な臓器が活動を行うことによって生命が維持されています。
そこで消費されるカロリーのことを基礎代謝と呼ぶのですが、去勢されたねこはこの基礎代謝が著しく低下してしまうのです。
基礎代謝が落ちる原因は、ホルモンの分泌や生殖活動に必要であった機能を、維持するために使用されていたカロリーがそのまま使われなくなることによるものです。
そのため、去勢したねこは特に生活習慣に変化のない場合でも太りやすくなっていると言えます。
発情期以外でも、去勢していないねこは活発に動きます。
走り回る、飛び回るなどは日常であり、さらにはたくさん鳴く姿も見られます。
去勢後のねこを見ると、個体差はありますが基本的にはホルモンの関係によって大人しくなってしまうことがほとんどです。
動き回ることでカロリー消費が行われることはもちろんですが、鳴くことによってもカロリーが消費されます。
動かないことによってさらに筋肉が衰えるので、消費カロリーも低くなってしまって太りやすい体質となってしまうのです。
人間に例えると、今まで毎日部活で汗を流していた高校生が引退し、冬ごろに太り始める現象に似ています。
去勢後は分泌されるホルモン量が変化することによって、狩猟本能も衰えてしまうケースがあります。
個体差がありますが、以前のように周囲をそこまで気にしなくなるねこが多くいます。
そのため、人間が工夫しておもちゃで遊んだ場合は飛びつきますが、実際に虫やネズミを見ても、目で追うだけで体を動かさないケースも存在します。
運動の機会が減ってしまうことで、結果的に運動量も減ってしまい肥満につながるケースが多く見受けられます。
ねこを家から一歩も出さないという方針は、ねこの寿命を飛躍的に向上させます。
病気リスクを大きく下げるとともに、交通事故などの危険から回避することができるため寿命が伸びるのです。
しかし、外に出ているねこと比較すると運動量が減ってしまうことも肥満につながります。
では、どれくらい外を散歩するねこと家で暮らすねこでは違いがあるのかを見てみましょう。
外に出ているねこの移動距離は、ねこによって大きく異なります。
これは、ねこ自身が持つ縄張りの広さや習慣によって異なるため、一概には言えません。
縄張りが狭く、さらに縄張りに対してそこまで執着していないねことなると何と60mほどで家に帰ってきます。
縄張り意識が強くなると、たとえ家から100mも離れていない場所を行ったり来たりするねこもいるのです。
さらに、縄張りが広くなると4kmを超える距離を歩き回るねこもいます。
人間でもダイエットのためにウォーキングされる方もいらっしゃる通り、家の中で歩かないねこは、外に出て歩くねこより太りやすいということが言えます。
60mしか歩かないねこと聞くと、家の中で暮らすねことあまり変わらないのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、60mもただ平坦な道を歩いているわけではなく、塀の上に飛び乗ったりして上下運動を行なっていることがほとんどです。
ねこのジャンプ力は非常に高く、ジャンプという行為はねこにとって大きな運動になっているのです。
運動不足のストレスからいたずらを頻繁に繰り返している家で暮らすねこが、キャットタワーを置くだけでいたずらをしなくなる理由はこのことによります。
あまり外を移動していないように見えても、実は多くのカロリーを消費しているということなのです。
ねこが緊張していると、それがストレスに変わって寿命を短くしてしまうケースがあります。
しかし、ねこは外に出ている間基本的に緊張状態で過ごしているのです。
完全に力を抜くことはほとんどなく、足を地面から離すことも稀です。
筋肉が緊張状態になっているときは、その分カロリーも消費されます。
また、足を地面から離さないことで、人間で言う立っていると同じ状態になるためここでもカロリーが消費されます。
結果として、あまり動かなくても外にいるだけである程度のカロリーが消費されるので、家でリラックスしているねこに比べると太りにくいと言えるのです。
消費カロリーが減ってしまうことで肥満につながることはもちろんですが、食べる量も肥満に大きく関係しています。
個体差もありますが、食べ過ぎてしまうねこも多くいるため、肥満につながりやすい状況ができてしまいます。
人間と同様に、できるだけ多く食料を食べ、できるだけのんびり暮らして筋肉を減らすことで消費カロリーを抑えようとしているのがねこの体です。
そのため、どうしても太りやすい状況が生まれてしまいます。
留守の際などは給餌機があるとねこのごはんがなくなってしまうことがないため、非常に重宝している方も多いのではないでしょうか。
しかし、注意が必要なのはいつまでも食べてしまうねこの場合、必要以上にごはんを食べてしまいます。
人間と同様にねこにも満腹中枢がありますが、ストレスやちょっと小腹がすいた際に必要以上にごはんを食べてしまうこともあります。
そうしていることで、胃がどんどん大きくなってしまって大量に食べてしまうようになるのです。
ねこが本当にお腹が空いている状態でごはんがないときにはストレスに感じることもありますが、必要以上にごはんを与えないことも一緒に暮らす人間の役目なのです。
ねこ専用のおやつを与え過ぎてしまうことで太りやすくなるケースも多々あります。
たしかに、おやつを持ってくるとねこが一目散にやってきて、一心不乱に食べてくれるのでついついおやすを与えたくなる気持ちもわかります。
しかし、おやつといってもカロリーになるので、肥満の元になることは言うまでもありません。
最近では水分を補給することを目的としたものや、サプリメントのような栄養価が多く含まれているものもあるため、全く悪いものとは言いません。
しかし、適度な量を与えるということは忘れないでください。
家で暮らすねこにとって、肥満は大敵です。
肥満になる理由は、運動不足とごはんをあげすぎることによるものです。
適度にごはんを与えながら、たくさん運動させることが肥満対策に必要なこととなります。
あまり動かないねこであっても、ねこが気に入るおもちゃを見つけてきて、人間がうまく動かすことによって運動してくれるようになります。
ねことのコミュニケーションにもつながり、関係性も向上するのでたくさん遊んで肥満を回避しましょう。