「ねこは高いところから落ちても大丈夫」という話を聞いたことがあると思います。
実際ねこの体の特性を生かし、本当にある程度高い場所から落ちても助かるケースがあります。
ただし、状況によっては怪我をしたり、最悪命に関わることもあります。
なぜねこが高い場所から落ちても平気なのか、ねこの体の秘密に迫ります。
ねこと一緒に暮らしていると、意外にも高い場所へ飛んだり落ちてくる様子を見かけることがあるかもしれません。
しかし、ねこが高いところから落ちると、不安を感じた方もいらっしゃるでしょう。
実は、ねこの体に秘密があり、高い場所から飛んでもある程度の高さなら平気でいられるのです。
自分の身長より、はるかに高い場所から飛んでも無事であるというのは、人間である私たちからすると考えられませんね。
一体なぜねこは高い場所から飛んでも平気でいられるのか、その体の構造に迫ります。
ねこの三半規管は動物の中でもかなり優れている部類に入ります。
この優れた三半規管があることから、空中で体勢を整えて足から着地することを可能にしているのです。
また、三半規管だけではなくねこのひげにも秘密があります。
ねこのひげと呼ばれる場所は、口の周りだけではなく目の上や足にもあり、空気を察知できる機能があります。
ねこの目はそれほど良くありませんが、三半規管とひげを使うことによって平衡感覚を研ぎ澄まし、地面からの距離を性格に把握することによって絶妙なタイミングで着地できるのです。
特にトレーニングを行わなくても、ねこは空中で自分の体がどんな状態であるのかを把握する能力に長けていると言えます。
スキーやスノーボードの選手で、何度も空中で色々な方向に回った後に綺麗に着地できるのは練習の賜物ですが、ねこは生まれながらにそれが可能なのです。
自分の体がどんな状態にあるのか把握できたとしても、高い場所から飛び降りると着地の際に大きな衝撃が体を襲います。
その衝撃をねこはしっかり吸収しているのです。これは、しなやかな関節と強い筋肉があることで可能になります。
ねこはリラックスしなければ、ずっと足を地面につけているほど、常に足を使用しています。
ねこの足の付け根を触ってみると、寝てばかりのはずなのに筋肉が多いことに気づくはずです。
ただ硬いだけの筋肉ではなく、しなやかさも兼ね備えていることも特徴の一つです。
この特殊な筋肉と関節から、高いところから飛び降りた際のショックを吸収することを可能にしています。
落下時間が長くなると、ねこはムササビのように体を広げて空気抵抗を増やし、落下速度を下げます。
体の重さと体の表面積から、ムササビのようにまるで飛んでいるようにはなりませんが、確実に減速しているのです。
ねこの体の皮を引っ張ると、意外に伸びることに驚いた方もいるかもしれません。
この皮は、体が通常時よりも伸ばすことが可能なため皮が伸びるのですが、実は高いところから飛び降りた際に有効に働くのです。
ねこは高いところから飛び降りる際に体を広げて空気抵抗を増やすことを本能的に理解しています。
何もしなければ高い場所から飛び降りるとどんどん落下速度は上がってしまいますが、それを阻止する機能もねこには身についていたのです。
高いところから飛び降りるのが大丈夫とはいえ、ねこにも限界があります。
この限界はねこによってさまざまで、高い場所から飛び降りても大丈夫だと思っていたのに怪我をしてしまうこともあります。
いくら高いところから飛び降りるのが得意なねこであっても、関節などの体への負担がないとは言い切れません。
できれば回避させたいところですが、まずはどんな場合は危険であるのかをご紹介します。
人間である私たちも、しばらく運動していない状態で突然走ると思わぬ怪我をしてしまうことがあります。
ねこも同様で、運動不足や体重が増えてしまったねこが高いとこから飛び降りると怪我をする可能性が高くなります。
人間と同様に、ねこも「これくらいの高さなら大丈夫だ」と思って運動不足のことを考えずに飛ぶので、怪我をしてしまう可能性が高くなるのです。
とは言え、高い場所に登るのが好きでそこから飛び降りるわけですから、部屋の中では防止することは難しいです。
さらに、ねこは上下運動が大好きなので、高い場所に登れないようにしてしまうとそれもストレスに変わる可能性が高いです。
怪我を防止するために、適度な運動と適正体重を保持することは大切だと言えます。
ねこの飛び降りる限界はどれくらいなのか定かではありません。
しかし、3階以上の建物から飛び降りることは怪我をする可能性が高く、しかし、7階以上になると無事である可能性が高くなるという話もあります。
これは、前述したムササビ効果が出るかどうかに関わってきます。
7階より下から飛び降りた場合、空気抵抗を減らすことができずに衝撃を減らすことができないという見解があります。
ただし、必ず助かると言うわけではありませんのでわざと落とすなどは絶対にしないでください。
事実、命は助かったものの後遺症が残ってしまい車椅子生活になってしまったねこもいます。
高いところから飛び降りるのは普通に行えることではなく、ねこも命懸けであることを忘れないでください。
ねこはパニックになりやすい生き物です。
飛び降りた際に、滑ったり追い込まれて落ちた場合は怪我のリスクが高くなります。
これは、いくら自分が空中でどんな体勢か把握できたとしても、パニックになって落ちているので体勢を整えられないということです。
積み重なっている本の上に飛び乗ったはいいが崩れて落ちてしまった場合など、ケースは色々考えられます。
不安定な場所をなるべく作らないようにしてください。
ねこが高いところから飛び降りた際、着地に失敗して「ゴン」という想像もしない音がするケースがあります。
この場合は着地に失敗してしまい、怪我をしてしまった可能性が高いです。
慌てずにねこの安否を確認してください。
もしかすると無事であることもありますが、怪我をしているとその後の生活に支障が出ることがあります。
では、もし高い場所から落ちた際に着地を失敗した場合のチェックポイントをご紹介します。
まずは正常に歩けているかを確認してください。
これは人間と同様に、どこか怪我をすると歩き方がぎこちなくなることが多いです。
他にも、うずくまったり運動量が減った場合は痛みを抱えている場合があります。
これらの症状が出ている場合、早急に動物病院を受診しましょう。
骨折などの怪我の場合、早急に処置しなければ骨がおかしなつき方をしたり、患部を庇おうとして他の関節に負担がかかるなどの大事に至るケースがあります。
受診は早いほど後遺症になりにくいので、できるだけ早い行動が求められます。
落下の怪我は骨折などの外傷ばかりではありません。
口の中や肛門、内臓が損傷してしまうケースもあります。
この場合は、口や肛門を確認して血が出ていないかを確認する必要があります。着地に失敗しパニックになっている場合などは確認しにくいですが、なんとか確認しましょう。
また、頭を打って脳震盪を起こしている場合はフラフラする、吐くなどの現象が起こります。
怪我を確認した場合や異変に気づいた際も動物病院を受診しましょう。
早期対応が命の明暗を分けることもあります。
着地に失敗した後に、何も異変が見られない場合もしばらくの間は注意して観察してください。
その時は興奮状態で痛みを感じなくても、後々痛みが出てくることがあります。
異変がなくても動物病院へ連れて行くことは悪いことではありません。レントゲンなどを撮影し、何も異常がなければ安心できます。
基本的に動物は痛みを隠す傾向にあるため、怪我に気づかずねこにストレスを抱えさせてしまっているケースも少なくありません。
不安を感じた際には病院を受診しましょう。
ねこが高い場所から飛び降りることに長けているのは、その恵まれた体の構造に秘密があったのです。
しかし、高いところから飛び降りるのはねこも命懸けであることは忘れてはいけません。
体に負担がかかっていることもあるため、なるべく飛び降りることはさせない。
そして、異常が見られた際には動物病院を受診することを忘れないでください。