ヤマネコの血を引いている珍しいねこであるサバンナキャット(Savannah cat)。
風貌も通常のねこには感じることのできない、筋肉質で野生的な容姿をしています。
とても珍しいねこであり、注目を集めているのですが、どのようなねこなのかはあまり知られていません。
野生的と聞くと人間と仲良くなるのは難しく感じますが、一緒に暮らすとなるとどんな様子なのかもご紹介していきます。
サバンナキャットはイエネコとヤマネコのハイブリッドという珍しいねこです。
ブリーダーの中にはイエネコとヤマネコの交配にチャレンジする方もいらっしゃいますが、成功した例はあまりなく、サバンナキャットは奇跡的なねこだとも言えます。
そんなサバンナキャットとはどのようなねこなのでしょうか。
歴史なども併せてご紹介していきます。
初代サバンナキャットが生まれたのは、1980年代にさかのぼります。
当時ベンガル猫のブリーダーが、家にいたシャム猫とヤマネコの交配を試みたのです。
ヤマネコはアフリカンサーバルという種類が選ばれて挑戦が行われ、見事に初代のサバンナキャットが生まれたのです。
その後も別の2人のブリーダーにより研究が行われ、サバンナキャットが猫種として確立していきました。
2001年にTICAにて猫種として認定を受け、2012年にはキャットショーに出演できる権利であるチャンピオンシップステータスの承認も受けることとなります。
試みから長い時間が経過しましたが、猫種として正式にヤマネコとのハイブリッド種が認められたのです。
サバンナキャットと一言で言っても、サーバルとねこのハーフを1代目とし、何代目かでランク分けがされています。
F1からF7までの階層があり、F1のほうがサーバルの血が濃いということになります。
サーバルの血が濃い方がヤマネコに近い容姿となりますので、顔立ち以外にも大きさや筋肉量などが異なるのです。
体重も平均すると10kgを超えることから、サーバルの血が濃いほうがねこと暮らしているというよりもヤマネコと暮らしている感覚になるかもしれません。
また、価格もF1に近づくほど高くなっていき、一定ではないものの数百万円が相場のようです。
猫種とは認められているもののまだまだブリーダーも少ないため数が少なく、一緒に暮らすためには一苦労というところですね。
通常のねことは異なり、F2以下のサバンナキャットと暮らすためには特定動物の指定が降りているため許可が必要です。
許可というのは、動物愛護保護管理法上の話なので、特定外来生物の許可とは異なり手続を踏み、条件を満たせば比較的簡単に許可を得ることができます。
しかしながら、何の許可も必要なく一緒に暮らせるねこと比較すると少々手間になってしまいますね。
ちなみに、サバンナキャットの祖先に当たるサーバルは、2020年6月より愛玩目的での飼育が禁止されているため、F1のサバンナキャットをブリーディングすることも不可能となりました。
理由は、人に危害を加える恐れがあるためとのことです。
日本でも珍しいサバンナキャットですが、一体どのような性格なのか気になるところです。
祖先に当たるサーバルは獰猛で、最初にサバンナキャットをブリーディングした際にもとても苦労したことが容易に想像できるほど野生的です。
こう考えると、サバンナキャットも獰猛なのではないかという予想ができてしまいますね。
では、実際にどのような性格をしているのか、また、もし一緒に生活する際にはどんなことに注意すべきなのかをご紹介していきます。
サバンナキャットの性格は、先祖のサーバルとは比較にならないくらい人懐っこくて社交的です。
この意外性に驚くかもしれませんが、日本でブリーディングされているサバンナキャットのほとんどがF4以上であり、サーバルの血よりもねこの血が多く混ざっているのです。
とはいえ、サーバルゆずりの力は健在なのでねこがじゃれているつもりでも怪我をしてしまう可能性もあることは覚えておきましょう。
性格はねこ譲りのサバンナキャットではありますが、水を怖がらないという特徴もあります。
個体差はあるものの、水遊びをするほど水が好きという個体も多く、通常のねことは少し変わった特徴もあります。
さらにいたずら好きであることも人間を困らせる要因になりますが、そのほとんどが何か要求があるときの不満の表れなので、サバンナキャットが何を求めているか考えることで解決することがほとんどです。
サバンナキャットは運動も大好きなのですが、運動能力はねこをはるかに上回ります。
サバンナキャットがジャンプすると、およそ2.5mにも到達するため、本気で飛ぶと日本の家の天井付近までは飛べてしまう計算になります。
この規格外の運動能力を満足させるためには、それなりの環境が必要になります。
ある程度広い場所を用意し、思いっきり遊べる環境を提供してあげることでサバンナキャットと仲良くなることは可能です。
また、体重も通常のねこよりも重いため、キャットタワーなどを選ぶ際は注意してください。
基本的にはその重みと運動の際にかかる負荷に耐えられないことから、壊れてしまい危険です。
サバンナキャットが遊べる空間を用意するのであれば、様々な補強が必要ですのであらかじめ準備をしておきましょう。
サバンナキャットと暮らす際に、通常のねこでは通用しないのが脱走対策です。
F3以上になると特別な許可は不要とされていますが、F2以下となると許可を得るためにおり型施設などの特別な環境が必要となります。
さらに、サバンナキャットは非常にかしこいため、自分で扉を開けることも可能な個体もいます。
そのため、通常の扉ではなく鍵付きにするなどの工夫も必要となります。
運動能力の高さから、一瞬の隙を見つけて脱走することもあるため、窓を開ける際などは特に注意が必要なことも覚えておきましょう。
サバンナキャットと暮らす際に注意したいことは、健康に対しての対策を行うことです。
人間のことが大好きなサバンナキャットですが、体調が悪いときに状態を訴えてくれるわけではありません。
そのため、人間が注意深くねこを観察し、異常があればすぐに病院へ連れて行くということも必要です。
日本では珍しいサバンナキャットならではの、健康上注意したいポイントについてご紹介していきます。
サバンナキャットは日本で珍しいこともあり、病院においての症例が多いわけではありません。
ねこには違いありませんが、ヤマネコの血が混じっているだけに通常の治療では思ったほど効果が出ない可能性もあります。
そこで、信頼できる獣医師を見つけることも重要となります。
症例はゼロではありませんので、もしかすると二人三脚の治療となるかもしれませんが、一緒にサバンナキャットについて調べてくれる獣医師を探しましょう。
サバンナキャットについて情報を集めてくれる獣医師であれば、体調に異変が起きた際にも安心して診てもらうことができます。
定期検診やワクチンを通して、獣医師との信頼関係を構築していくのも良いでしょう。
サバンナキャットの寿命は普通のねこと比較しても長いです。
当然個体差はあるものの、普通のねこであれば20年生きれば大往生ですが、サバンナキャットは20年くらいが寿命だと言われています。
サーバルの寿命が30年ほどということと比較すると少し短くなってはいますがそれだけ長生きするねこなのです。
もちろん、寿命があるので若くして亡くなってしまうこともありますが、通常のねこよりも長生きするということを覚えておきましょう。
長く一緒にいるためにも、異変を感じたらすぐに動物病院を受診することを習慣にしてください。
日本はおろか、世界中でもまだまだ数の少ないサバンナキャットです。
もし運良く一緒に暮らすことができた場合は、とても幸運だと言えるでしょう。
環境を整えたり信頼できる獣医師を見つけるなど苦労があるかもしれませんが、賢くて人間好きなサバンナキャットとの時間は何物にも変えられません。