ねこのティディベアと呼ばれるほどおっとりとしていて可愛らしいラガマフィン(Ragamuffin)。
歴史の浅いねこではありますが日本でも絶大なる人気を誇っています。
しかし、そんなラガマフィンの誕生は、他のねことちょっと違って複雑です。
今回は、そんなラガマフィンに惚れ込んでしまった方のために、どんな経緯で誕生したのか、また、どうすればラガマフィンと仲良くなれるのかをご紹介します。
ラガマフィンの歴史を知るためには、まずラグドールについて知る必要があります。
ラガマフィンはラグドールにいくつかの猫種の血が混ざって生まれたねこであるからです。
通常であればとあるブリーダーが「こんな猫種をブリードしたい!」と思って交配するのですが、ラガマフィンはちょっとした一悶着があり生まれた猫種だったのです。
ラグドールも現在人気の高いねこですが、1990年代までは規定が非常に厳しい猫種だったことをご存知だったでしょうか。
ペルシャ猫にバーミーズやバーマンを交配して生まれたラグドールは、世間に出ると瞬く間に人気が出ました。
そこで、ラグドールを誕生させたブリーダーは独自の組織であるIRCAを設立し、ラグドールの繁殖を独占したのです。
ラグドールを繁殖するのであれば、IRCAに登録し、さらには様々な規定を守りながら繁殖させなければ、ラグドールと名乗ることはできなかったのです。
現在ではメジャーになったフランチャイズのような形態ですね。このIRCAがなければ、ラガマフィンの誕生はありませんでした。
一見するとラグドールの権利を独占したというあまり良くない話に感じるかもしれませんが、この一件がなければラガマフィンは誕生していなかったのです。
厳しい規定のあるIRCAだったので、それに不満を持つブリーダー達も少なくありませんでした。
そこで、不満を持った人たちはRFCIという新しい団体を設立します。
通常の猫種であれば、CFAやFIFeなどの団体が認めることにより猫種となり、繁殖もある程度の自由度はあります。
しかし、ラグドールはその名前自体を商標登録されてしまっていたので、別の団体を設立したからと言ってもラグドールという名で売り出すことはできません。
そこでブリーダー達が行ったことは、「だったらもっと可愛い猫種を生み出してやる!」と言わんばかりにヒマラヤンなどと交配させて、ラガマフィンを誕生させたのです。
ラガマフィンの名前の由来は、「いたずらっ子」や「ボロをまとった人」という意味を持っています。
いたずらっ子はねこであれば納得できますが、ボロをまとった人は悪口でしかありません。
しかし、これにも理由があり、ラグドールを名乗れない状態で猫種として登録しようとした時に、あくまでも仮で、メンバーの1人がラグドールと命名しました。
フワフワの毛並みが可愛らしいラガマフィンですが、確かに人間がこれに似た服装をしていると確かにボロを着ているように感じてしまうかもしれません。
当然、仮で名付けたわけですから変更手続きを行おうとしたのですが、この手続きが却下されてしまいます。
結局、ラガマフィンのままで現在も登録されているということだったのです。
ラガマフィンに惚れ込んでしまった人にとって、どんな性格であるかは最も気になるところです。
ねこも人間と同じで自分の好きなことをしてくれる人には懐き、嫌なことをする人は嫌います。
猫種によって性格はバラバラなので、どんな付き合い方をするのかも分かれます。
そこで、ラガマフィンの性格を知り、接し方を知ることでどんどんラガマフィンと仲良くなりましょう。
ラガマフィンは非常に穏やかなねこと言われています。
この穏やかにも様々な種類がありますが、ラガマフィンの場合はとにかく鳴きません。
ねこが鳴く姿に可愛さを感じる方は少し残念かもしれませんが、ラガマフィンの場合は何か要求があるときに少し鳴く程度です。
そのため、鳴き声を聞いたときにはよほど何かを要求しているということなので是非ともその要求を叶えてあげましょう。
最初のうちは判断が難しいかもしれませんが、ごはんが欲しかったりトイレ掃除をして欲しかったり、もしくは構ってほしいなど、ねこと長く一緒にいると気づくことができるようになってきます。
静かなねこでもありますので、マンションなどで一緒に暮らす場合はもってこいの猫種だとも言えます。
ねこと言えば自由が好きで拘束を嫌う生き物だと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ラガマフィンに関しては甘えるのが大好きで、抱っこも好きというねこの中でも貴重な性格の持ち主です。
慣れてくると寄ってきて、撫でると膝の上に乗り、さらに抱っこされると気持ちよさそうな顔をするねこはあまりいません。
そのため、通常のねこのように自由にすることも大切ですが、しっかりと甘えさせてあげることも大切です。
甘えるのが好きなため、あまりお留守番は得意ではないという面もあります。
もし一緒に暮らす場合、仕事などで家を空けてしまうことは仕方ないですが、できる限り一緒にいてあげる時間を増やしましょう。
一緒にいることが、ラガマフィンにとっての幸せにつながります。
前述した通りですが、ラガマフィンの名前の意味に含まれている「いたずらっ子」であるということを忘れてはいけません。
静かなねこでああり、甘えん坊ではありますがいたずらも大好きなのです。
とはいえ、ねこも悪気があっていたずらをしているわけではありません。
ねこは肉食動物であり、興味を持つのは獲物である可能性があるからこそ手を出してしまうのです。
いたずらは止めようと思ってもなかなか難しい部分はありますが、ねこが危険になるものを遠ざけるのは人間の義務です。
興味津々のねこが誤って小さなものを飲み込んでしまうという事故が後を絶ちません。
飲みこんで危険に当たるものは絶対に遠ざけてください。
また、興味を持つことから遊ぶことも好きな猫種なので、できるだけ遊んであげることも大切になりますね。
猫種によって発症率の高い病気があることも忘れてはいけません。
ラガマフィンは遺伝的な突然変異から生まれたわけでもなく、さらにはラグドールからさらに混血することによって他のねこより遺伝的に強い猫種になっています。
とはいえ、純血の猫種はどうしても遺伝的な病気に悩まされることも事実です。
そこで、ラガマフィンがかかりやすい病気を知り、日頃から注意することで少しでも一緒に暮らせる時間を長くすることも私たち人間の役目であることを忘れてはなりません。
心臓の筋肉が大きくなりすぎてしまう肥大性心筋症は、実はねこのメジャーな病気なのです。
発症しているにも関わらずあまり悪化せずに気づかず生涯を終えるねこもいるので、どれくらいの発症率か、正確な数はわかりません。
しかし、悪化してしまうと最悪の場合は突然死に至るケースもあります。
また、急に末期症状が現れることも少なくありませんので、危険な病気です。
呼吸困難になったり、舌や歯茎が青紫になっているような貧血状態になれば動物病院を受診することはもちろんですが、定期検診などの機会を設けて、病気の早期発見に努めることも大切です。
ラガマフィンは長い毛を身に纏っています。
寒さに強いというメリットもありますが、皮膚病や毛球症のリスクもあります。
毛球症とは、毛繕いにより自分の毛を大量に食べてしまい、お腹に溜まって消化不良を起こす病気です。
食事で対策はできますが、それ以上にこまめなブラッシングを行うことを心がけてください。
ノミやダニによる皮膚病も起こりやすいので、ブラッシングは必須となります。
シャワーは個体差があり、水を怖がらないねこであれば大丈夫ですが、頻繁に体を濡らすことは体力を奪われることにもつながりますのでお勧めはできません。
まずは小まめにブラッシングを行い、どうしても必要になった際にはシャワーという方法が最善です。
人間の利権争いによって生まれたラガマフィンですが、ラグドールとは違った可愛さがあり、愛おしい存在になることは間違いありません。
少々いたずらっ子ではありますが、一緒に暮らしていても仲良くなれる確率も高いため、ねことのんびり寄り添いながら暮らしたい方にとってはうってつけの猫種です。
ねこと人間、どちらも幸せに生きられるように、ラガマフィンのことをよく知り、適切な接し方で生活を送ってください。