ねこは、元来、気分屋でクールな生き物と言われていますが、飼い主さんにグルーミングをしてくれたり、傍で一緒に寝てくれたりと思いがけない優しい面も持っていたりします。
そんなときは、飼い主さんにとっても至福の時でしょう。
ここでは、ねこが飼い主さんと寝たがる心理と、一緒に寝るときに注意しなければならないことについて、経験を交えて解説します。
飼い主さんにとっては、目に入れても痛くない愛猫でも気分屋でクールなねこですから必ず一緒に寝てくれるとはかぎりません。
そんな性分のねこですから、飼い猫が飼い主さんと一緒に寝てくれるということは何か心理的な理由がありそうです。
その心理的な理由には次のようなものが考えられます。
ねこは人との暮らしの中で、この人は「ご飯をくれる人」、「優しい人」、「安心できる人」といったことをいつの間にか学習しています。
ご飯もくれて、優しくて、安心できるという心理が働いて、この人の傍にいたら、いつでも守ってもらえると感じることが一緒に寝てもよいという気持ちにつながっているのでしょう。
布団の中は暖かくて心地よい場所です。
ねこも布団の中は、心地よくて眠りにつきやすいと感じているのでしょう。
特に、冬の寒い夜には、ねこは率先して布団の中にもぐりこみたがります。一方、暑い夜には、ねこも飼い主さんの傍ではなかなか寝てくれようとはしません。
寒い夜は、母猫の暖かさを感じさせてくれる布団が恋しいので飼い主さんと寝たがるのかもしれません。
部屋の中のベッドや布団に、飼い猫がしきりに体をこすりつけているところを見たことはありませんか。
ねこはベッドや布団にからだをこすりつけてフェロモンを出し、自分の縄張りを誇示しているのです。
愛猫が飼い主さんのベッド布団で寝るのは、単なる自分の縄張りで寝たいという心理がねこに働いているためなのかもしれません。
雷や物音など大きな音に驚いて飼い主さんの寝ている場所に飛び込んで来ることはよくあります。
こんなときは、怖いから飼い主さんに守ってもらいたいという心理が働いているのかもしれません。
また、多投飼育など他のねこと暮らしているときなどは、ストレスを感じて飼い主さんの近くにいて安心したいと感じているときもあるようです。
ねこが飼い主さんと寝たがる心理については、これまで述べてきたようなものがありました。
一方、ねこが飼い主さんと一緒に寝てくれることによる飼い主さんにとってのメリット・デメリットもあります。
まず飼い主さんにとってのメリットには次のようなものがあげられるでしょう。
飼い主さんにとっての最大のメリットは、心が癒されることでしょう。きっと幸せな気分になることは間違いありません。
もちろん心が癒されるということは、暮らしの中で抱えているストレスの解消にもつながります。
ねこが、飼い主さんと一緒に寝てくれるということは、よほど飼い主さんのことを信用しているという証でもあります。
一緒に寝ることによりお互いの親密度はさらに上がり、強い信頼関係を築けることでしょう。
飼い猫が傍で寝ていることによって、日頃は気付かなかった飼い猫の病気やケガなどの異変に気付きます。
たとえば、口臭が強い場合は、歯槽膿漏なのではとか疑ったり、脇の下やおなかの下にしこりがあるとか、普段接していても気がつきにくいことでも、間近で見たり触ってみてはじめて異変にも気付くことがあります。
メリットがある一方で、ねこと一緒に寝ることでデメリットも生じてしまいます。
ねこは人間とは異なった習性を持っています。
朝早くから活動を始めるために、人間の生活サイクルが狂わされます。そのためにまだ眠たい時間でも起こされることがあります。
たとえば、夜中にトイレに起きたり、寝室の周りを駆け出したりして睡眠を妨げたりします。
そのために飼い主さんの眠りがどうしても浅くなってしまいます。
ねこは、清潔なことが好きとして知られていますが、見た目よりもずっと体は汚れています。
特に換毛期などは体に抜けてしまった毛がいっぱい付着しています。抜け毛が寝具についてしまうので不清潔になりがちです。
また、室内で飼っているねこでも、外に出ることを許しているねこには、ノミやダニが付着していることが多いために、一緒に寝るとノミやダニに人間に付着する恐れがあります。
これは、飼い猫にとっても、飼い主さんにとってもデメリットというよりも危険と言った方がいいかもしれません。
寝返りを打った瞬間や足を延ばしたり、折り曲げたりしたときに誤ってねこを押しつぶして圧迫し窒息させたり、骨折させたりする恐れもあります。
飼い主さんが、安心して飼い猫と一緒に寝るためには、注意することがいくつかあります。
そのために着目するポイントとは次のようなものです。
子猫は、特に小さなかわいいので一緒に寝たいと思う気持ちは分かります。
ただ、生後間もない子猫と一緒に寝るのは止めましょう。
心配なのは、気付かないままで寝ている間に、誤って子猫を圧死させたり、骨折させたりする場合があります。
せめて、生後半年が過ぎたぐらいから寝るようにした方が、圧死や骨折などの事故は少なくなるでしょう。
病気だからとか、ケガをしていて可哀そうだからと考えていっしょに寝るのは絶対に止めましょう。
病気やケガがさらに悪化してしまう恐れもあります。
ねこの病気の中には、人獣共通感染症という人間も動物もかかってしまう病気もあります。
そのためにもワクチンを接種していないねこと一緒に寝るのは止めてください。
飼い猫が飼い主さんの布団の中で出産したという話はよく耳にしますが、妊娠しているねことは一緒に寝るのは止めましょう。
飼い主さんの布団の中で出産することはリスクも高くなりますし、衛生的にも悪いので避けるべきです。
そうならないためにも、飼い猫に妊娠を望まないならば、避妊手術を行いましょう。
ねこと一緒に寝るようになると、寝具も汚れてしまいます。
寝具の布団や毛布、シーツはこまめに洗濯をして清潔な状態で使用しましょう。
また、寝具を清潔に保つのと同じように、ねこにブラッシングをしてあげて、抜け毛やダニ、ホコリは掃除機などを使ってできる限り除去しましょう。
ねこと寝るときに注意することは、上記で触れましたが、ねこが飼い主さんと寝ることは、あくまでもねこの気持ちに任せましょう。
ねこに対して無理強いして寝させることは絶対やめてください。
無理強いすると、ねこにストレスがたまるばかりでなく、ねことの気持ちが離れてしまいます。
飼い猫が自分から進んで飼い主さんのもとを訪れて、寝てくれるのを待ちましょう。
そうすることが、お互いの信頼関係がさらに高めてくれるはずです。
飼い主さんにとってかけがえのない愛猫が、傍で一緒に寝てくれることは飼い主さんにとっては何よりも癒しになるでしょう。