春・夏・秋・冬、美しい四季の変化は日本の魅力です。
しかし、デリケートなねこにとっては、季節の変化により体調を崩したり、ストレスになってしまったりすることもあります。暑い日も寒い日も、ねこには快適に過ごしてほしいもの。今回は、季節ごとのねこのケアについて解説します。
ぽかぽか温かくなり、花が咲き始める春…ウキウキした気持ちになりますが、人もねこも季節や生活の大きな変化による体調不良が起こりやすい時期です。それに加え、ねこにとっては換毛期や発情期など、体の大きな変化が起こりますので、しっかりケアをしてあげましょう。
春先は暖かくなったかと思えば、急に冬の寒さが戻るというように、寒暖差の大きい季節です。
ねこ風邪などの病気はもちろんのこと、自律神経のバランスが崩れ、血圧の上昇や心拍数の増加、めまいを引き起こす「春ストレス」も気をつけなければなりません。
天気予報を確認してまめに室温を調節してあげましょう。また、ベッドは春用と冬用2つを用意し、気温や体調によってねこが自由に選べるようにする工夫も重要です。
3月頃から換毛期が始まり、毛が抜け始めます。放っておくと毛を自分で舐めて飲み込んでしまい、胃の中でボール状になる「毛球症(もうきゅうしょう)」になってしまうことも。嘔吐や便秘、食欲不振といった症状が見られるだけではなく、腸閉塞や窒息などを引き起こし、命に関わることもあるため注意が必要です。
こまめにブラッシングをして抜け毛を取ることで毛球症を予防できます。毛玉ケア用のフードや猫草を上げるのも良いでしょう。
日が長くなり始める2月~4月は、メスねこの発情期がピークを迎える時期でもあります。びっくりするほどの大きな声で鳴いたり、いつもとは違う場所におしっこをしたりするため、飼い主さんは困ってしまうかもしれません。
また、オスねこは発情したメスねこのにおいやフェロモンに反応して発情します。あちこちにスプレーをしたり、攻撃的になったりと、オスも困った行動を取ることがあります。
また、オスねこもメスねこも相手を探して脱走してしまうこともあるため注意が必要です。
繁殖の予定がない場合は、避妊・去勢手術をすることで発情期はこなくなります。
一方、繁殖を考えるのであれば、まずは獣医師やペットショップ、ブリーダーに相談し、交配相手やタイミングなどを慎重に検討しましょう。
人間にとって春は変化の時期。飼い主さんの引っ越しや転勤、就職、異動など、さまざまな生活の変化を、ねこは鋭敏に感じ取ります。ねこがストレスを感じているようであれば、スキンシップを取ったり、好きなおやつを上げたりしてストレスを和らげてあげましょう。
夏は太陽の光がまぶしいエネルギッシュな季節。しかしその分、気温と湿度が上がり、熱中症やノミ・ダニ、カビなどの繁殖が心配な時期でもあります。適温と清潔を心がけて、ねこが快適に過ごせる環境にしてあげましょう。
気温が上がるとノミ・ダニなどが活発に活動するようになります。室内飼いのねこでも、飼い主さんが外から持ち込んできたノミやダニに寄生されることもありえます。本格的に暑くなる前に、動物病院で駆虫薬を処方してもらいましょう。
梅雨時から温度と湿度が上がり、食中毒が心配な時期になります。ウェットフードや飲み水などをきちんと管理し、腐らせないように気をつけましょう。また、カビも発生しやすくなるため、ねこのおもちゃや毛布をこまめに洗うことも重要です。
ねこが快適に過ごせる室温は26~28℃ほどといわれています。30℃を超えると熱中症のリスクが上がりますので注意が必要です。また、30℃以下でも湿度が高いと熱中症になる恐れがあります。
エアコンや扇風機を使って、室温や湿度が上がり過ぎないよう調節しましょう。ベッドやマットを夏用のひんやり素材のものに変えるとより快適に過ごせます。
また、水分不足も熱中症の原因になります。あちこちに水を置く、自動給水機を使うなど、ねこが水を飲みやすい環境を整えましょう。
冬毛が残っていると通気性が悪くなり熱がこもりやすいので、ブラッシングをして冬毛を取り除くのも熱中症対策として有効です。
暑い夏が過ぎ、涼しくなるとねこも夏バテから回復して元気になります。
秋の夜長、ねこと一緒にのんびり過ごすのも楽しいものです。
しかし、ねこの体には確実に変化が訪れます。春と同じく、発情期や換毛期を迎えますので、「春のねこケア」を参考に、秋にもケアをしてください。それに加え、冬に向かって寒さや乾燥も厳しくなるため、そのケアも必要です。
秋は空気が乾燥するため、ウイルス性のねこ風邪や肉球の乾燥による擦れやひび割れが心配になる季節です。加湿器を置いて部屋の湿度を上げ、乾燥防止に努めましょう。また、肉球が乾いている時は、ねこ用のクリームを塗るのも一つの対策です。
秋になると夏バテが治り体調が良くなるためか、冬に向けて体力を蓄えるためか、ねこも「食欲の秋」になるようです。
しかし、食べ過ぎると肥り過ぎてしまうだけではなく、胃腸に負担がかかり消化不良になる場合があります。
ごはんの時間と量をきちんと決めてダラダラ食べさせないようにしましょう。
また、おもちゃで遊んであげると肥満対策になり、ねことのコミュニケーションにもなります。ねこと一緒に「スポーツの秋」を楽しむのも良いかもしれませんね。
ねこかぜと呼ばれる「猫ウイルス性鼻気管炎」や「猫カリシウイルス感染症」はワクチン接種で予防できます。ねこの体調も安定している時期であるため、秋に予防接種を済ませておくと良いでしょう。
※ワクチン接種のタイミングや種類に関しては、獣医師と相談して決めてください。
冬になるとねこはふくふくと膨らんで、丸くなって眠ることが多くなります。飼い主のひざに乗ったり、ねこ同士がくっついて「ねこ団子」になったりと、ねこのぬくもりとかわいらしさが感じられる季節です。
しかし、寒さが苦手なねこにとっては辛い季節でもあります。寒さ対策や冬ならではの病気や事故を防いで、ねことぬくぬくの冬ライフを楽しみましょう。
ねこは寒さに弱い動物です。こたつやエアコン、ペット用ヒーターなどを使って、ねこが暖かく快適に過ごせるようにしてあげましょう。ただし、暑くなり過ぎた時に自分で涼しい場所に移動できるような工夫も必要です。
ベッドを置く場所にも工夫が必要です。窓や壁のそばは室温が低く冷えやすいので、少し離して置くと良いでしょう。ベッドの下にカーペットや断熱マットを敷くと底冷えを防げます。
ねこは冬になると水を飲む量が少なくなり、膀胱炎や尿道結石など泌尿器科の病気にかかりやすくなります。ぬるま湯やささみをゆでたスープをあげると喜んで飲んでくれるかもしれません。
また、トイレが寒いと行くのを嫌がり、おしっこを我慢してしまう原因になります。トイレの周りの床にカーペットを敷く、暖かい場所にトイレを移すなど、ねこがトイレに行きやすい環境を整えてあげましょう。
※トイレの場所を移動する際には、毎日少しずつ場所を変えるなど、ねこのストレスにならないようにしましょう。
寒さ対策の必須アイテムである暖房器具ですが、置き方や使い方を誤ると事故の原因になります。例えば、ねこが大好きなこたつ。長時間ねこが入っていると、熱中症や脱水症状を引き起こすことにもなりかねません。
また、暖房器具に長時間接していて低温やけどになる、コードにじゃれたりかみついたりして感電するといった事故も起こりえますので、暖房器具の扱いには十分に注意しましょう。
季節ごとのねこのケアについて解説しました。ねこは季節や環境の変化に弱く、体調を崩したりストレスを感じたりしてしまいます。それに加え、換毛期や発情期、秋の食欲の増加など、季節による体の変化も起こります。季節ごとのケア法や注意点を理解し、ねこの健康と快適な生活を守ってあげましょう。そして、春・夏・秋・冬、愛猫と楽しく幸せな時間をいっぱい過ごしてください。