ねこの鳴き癖に悩んでいるという飼い主さんはいませんか。
しかし、ねこが鳴くのにも理由があります。
「おなかが空いたよ」「トイレが汚いよ」「遊んでよ」など、飼い主さんにどうにかしてほしいと鳴いている場合もありますが、「おなかが痛い」「足が痛い」など病気やケガによる不調を訴えている場合もあります。
それでも、病気やケガを除いて、鳴き癖がついてしまうと困ってしまいますよね。
ここでは、ねこが鳴き癖のつく理由と解決法について紹介します。
犬が吠えるのは、人との暮らしの中で身に付けた番犬や猟犬としての習性が身に付いているのが理由の一つでしょう。
一方、ねこの場合は狩猟動物の本能と縄張りを守るために敵を威嚇する行動の一つとして鳴くことを覚えたのかもしれません。
こうして見ると、犬やねこが吠えたり、鳴いたりすることは生き物の本能として、ごく自然に身に付いたものと言えるでしょう。
狩猟動物として森や林の中で暮らしていた頃のねこは本能をむき出しに生きていたことでしょう。
その名残からときには激しく威嚇するために声を発することもありますが、ほとんどのねこはペットとして人間に飼われることによって鳴き癖がついてしまったといえるかもしれません。
それでは、ペットとして飼われるようになってどのような形で鳴き癖として表れてきたでしょうか。
たしかに、ねこが野生として暮らしていたときも母猫にお乳を要求するときや母猫を探して鳴くようなことはあったでしょう。
ただ、ペットとして飼われるようになって、鳴くことによって人間の注意を引き要求を叶えるために鳴くようになったと考えられます。
たとえば「ご飯をちょうだい」「水が飲みたい」「遊んで」「外に出して」など鳴いて要求を満たすことを覚えてしまったのです。
また、飼い主に甘えたいという感情を鳴き声で表したら、飼い主が優しくなでてくれたとか、気持ちの良いことをしてくれたことをいつの間にか学習してしまって鳴くことを覚えたのでしょう。
こうした要求や甘えが自然と鳴き癖につながったと考えても少しも不自然ではありません。
ねこは怖いものを見たときや大きな物音に驚いたときも鳴くことがあります。
そんなときは、大きなストレスを感じてしまって落ち着くまではなかなか鳴きやみません。
または、自分の体調が悪いときに、あるいはケガなどで痛がっているときにも自分の周りで起きた異変を報せようと鳴くこともあります。
ねこが体の異変を感じて鳴くことは、よほどのこと辛い状態で、症状もかなり重い場合になります。
このようなときは、鳴くと同時に、必要以上に毛づくろいをはじめたり、ソファーやベッドの下に身を隠したりする行動も見られます。
いくらペットとして飼われていても、ねこは本能までは失っていません。
縄張りを守るために、外から近づくねこを威嚇して鳴くこともあります。
または、鳥や小動物を見つけて、狩りをする本能が芽生えて鳴くこともあります。
そんな中で一番困るのが、発情期を迎えて鳴くことです。
特に、メス猫は発情するとなかなか鳴きやみません。それに誘われるようにオス猫も鳴きだします。
これは、もう本能ですから仕方がありません。
ねこの本能からくる鳴き癖を止めさせるのは、難しいでしょう。
しかし、ペットとして飼い始めてから身に付いた鳴き癖を少しでも軽くすることは可能です。
次のようなことが効果的ですから試してみてください。
ねこは学習してしまったことをなかなか止めようとしません。
飼い猫がかわいいからと、ねこの要求のままに何でも叶えてやると「言うことを聞いてくれる」と認識されてしまって、鳴くことで要求を通そうとします。
よほどのことがない限り無視をしましょう。
無視を繰り返すことで、ねこはまた新たな学習をします。
「鳴いても主人は相手にしてくれない」ことが分かりだすと要求や甘えのための無駄な鳴き声や鳴き癖も軽減されます。
少々、荒っぽい方法ですが、要求や甘えのための鳴き癖が止まらないようであれば霧吹きを使って水をかけるのも効果があります。
ねこは体が濡(ぬ)れてしまうことを嫌います。
甘えや要求のために鳴くと、水が飛んできて嫌な気分を味わわなければならないことをねこが学習してしまう鳴き癖が止まることもあります。
しかし、これはあくまでしつけのための方法です。
水をかけられたねこがショックを受けたり、ストレスを感じてしまったりすると飼い主さんに対して心を閉ざしてしまう恐れもありますから注意しましょう。
無視を決め込んで相手にしないことも大切ですが、こればかりではねこにも大きなストレスとなってしまいます。
ときには、一緒になって遊んであげましょう。
遊ぶときには、ねこじゃらしや、けりぐるみなどの猫専用のおもちゃを使って遊んであげるとより効果が上がります。
発情期を迎えたねこの鳴き癖は、日頃の生活の中で身に付いた鳴き癖とは異なります。
この場合の鳴き癖を止めさせるには、避妊や去勢手術を行うしかありません。
飼い猫に出産を望まないのであれば、避妊や去勢手術は必ず行うべきです。
多頭飼いをしているのであれば、全てのねこに手術は行いましょう。
ねこの鳴き癖には暮らしの中で生じるストレスから来るものもあります。
飼い猫の鳴き癖がなかなかやまない場合は、強いストレスを感じているのかもしれません。
そのためには、ねこが暮らしやすいように、また満足して遊べるように家の中の環境を変えてあげましょう。
ねこは高いところを登ったり、降りたり、歩いたりするのが好きな生き物です。
家の中に、ねこ専用のキャットウォークやキャットタワーを設置して遊ばさせてやるだけでも、ストレスの解消にもなりますし鳴き癖が止むことにもつながります。
ねこが飼い主さんに対する要求や甘えから鳴いているのと、病気やケガをしていて苦しくて、痛くて鳴いているとでは全然、緊急度が違います。
要求や甘えの場合は、正直、ほっておいても構いません。
このようにねこがどんな様子で鳴いているかを見極めることは、飼い主さんにとっては重要な問題ですから、ねことの暮らしの中でよく観察して判断しましょう。
ねこは自分の病気やケガについては、隠したがる習性があります。
もしも、ねこが病気やケガが原因で鳴いているときには、すでに深刻な事態に陥っていることも考えられますから、早急に病院へ連れていき適切な処置を施してもらいましょう。
ねこを飼っていると、飼い主さんとしてはついつい甘やかしたくなるという気持ちは分かります。
しかし、鳴いたら「ご飯をあげる」、鳴いたら「抱っこしてあげる」、鳴いたら「おやつをあげる」というようなことを毎日、繰り返していたらねこは鳴けば要求が満たされることを学習して、鳴き癖がついてしまいます。
このように鳴き癖がついてしまうと、ねことの楽しい暮らしにも支障がでたり、ストレスを感じたりと悩みの種へと発展しかねません。
ときには、思いきって無視することも、ペットとして躾けることも大切です。