室内で飼っているねこが、最近、怒りっぽい、前よりも凶暴になったような気がするけどどうしたのかしら?と、このような悩みを抱えている飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
それは、室内飼いからくるストレスのせいかもしれません。
もともと、ねこの祖先は自由に外の世界で生きてきた生き物で、数十年までは日本でも室外で飼われているねこも多くいました。
そのような習性を持った、ねこのDNAを引き継ぐねこですから室内だけで飼っているとどうしてもストレスも溜まってしまいます
今回は、そんな室内飼いのねこのストレス解消法について経験も交えながら解説します。
ねこがストレスを感じる原因にはいろいろなことがあります。
ストレスが一過性のものなのか、連続性のものなのかによってもストレスの度合いも異なってくるでしょう。
たとえば、室内飼いでねこが、ストレスを感じるのは、大きな音に驚いたとか、大きな声で叱られたとか、見知らぬ人が突然家の中に入ってきてパニックになったとかいろいろなケースが考えられます。
また、家の中での変化のない暮らしに飽きてきたとか、多頭飼いで他のねことのケンカが絶えず嫌な思いばかりしているとか、発情期を迎えて外に出たいが出られないときも大きなストレスを感じているはずです。
冒頭でも述べましたが、ねこは本来、外の世界で自由に暮らしていました。そして、大切なことは、ねこは元々縄張り意識が強く、ハンターとして生きてきたことです。
そのようなねこが、室内という抑圧された空間で暮らしているわけですからストレスが溜まってしまうのは当然のことです。
ねこのストレスを解消させるためには、ハンターとしての習性を踏まえて環境を見直すことが大切と言えるでしょう。
飼い猫がストレスを感じるようになったときには、いろいろな形でストレスのサインを出してきます。
サインを出す相手は、飼い主さんであったり、一緒に暮らす同僚猫だったりします。
そのときに、出してくるサインは次のようなものです。
ある日、突然に飼い猫が凶暴になることはありませんか。
ストレスが高まると、そのはけ口としてねこが凶暴になるのです。飼い主さんや同僚猫に対する威嚇や横暴な行為がその典型的な例でしょう。
はげしい威嚇の次に出てくるのが、噛みつきや猫パンチといった実行動です。
飼い主さんや同僚猫に噛みついたり、激しい猫パンチを繰り出したりします。こうなったら危険な状況です。
うっかり手を出したり、むやみに触ったりするのは止めましょう。
ねこはもともと清潔好きですからねこが体を舐めまわすことはよく見られる光景です。
しかし、それが過剰と思えるほど、手足やおなかやなどを舐めまわしたり、しっぽを強くかんだりするなどの自傷のための行為が見られたら大きなストレスを感じている証拠といえるでしょう。
逆に、まったくねこが身体を舐めまわさなくなったときも、何らかのストレスを感じている可能でもあります。
イライラとして落ち着きがなくなったり、家の中を走り回ったり、大声で鳴いたり、壁や柱で激しく爪とぎをしたりと、いつもとは違う行為が見られたらストレスを大きく感じている証拠かもしれません。
このように衝動的な行動が続くようであれば、相当にストレスが溜まっていると考えられます。
落ち着きのなさは、ねこのストレスを見極めるための大きなポイントでもありますから注意が必要です。
ねこはストレスを感じると食欲も減退します。
いつもとは違って、食事の時間にもなかなか姿を見せないようでしたらストレスが原因かもしれません。
また、ストレス以外でも食欲が落ちることもあります。
もし、元気がなく食欲もない場合は、ストレスよりも病気かケガを疑ったほうがいいでしょう。
飼い猫は、決まった場所でしか排せつはしません。
しかし、ストレスがたまるとトイレ以外の場所で排せつをすることがあります。
また、スプレー行為といって、柱や壁などにお尻を高くあげてオシッコをかけることがあります。
スプレー行為は、異性の気を引くための行動と言われますが、ストレスが原因の行動とも考えられます。
飼い猫がストレスを抱えたままですと、精神的にも落ち着かなくなり異常行動を取ることにもつながります。
注意したいのは、ストレスが一過性のものなのか、連続性なものかをしっかりと見極めることです。見極めた上で、ストレスの解消を考えてあげてください。
飼い猫のストレス解消には次のような方法を試してみましょう。
ねこがハンターであったという習性を考慮して、部屋の環境を整えることがストレス解消につながります。
ねこはハンターですから、獲物を狙うために平面な空間よりも高低に富んだ空間を好みます。
つまり、部屋の中に高低差を設けてやることにより、ねこの習性であるハンター魂に火をつけてやることができるのです。
たとえば、キャットウォークやキャットタワーを備え付けるだけでもねこは狩りをする気分を味わえます。
ねこの好む環境を作ってあげることが飼い猫のストレスの解消に大いに役立ちます。
これもねこの習性の一つですが、ねこは静かな環境を好みます。
大きな物音や人間が大声を挙げることには、非常に敏感に反応し、嫌がってその場から逃げ出します。
つまり、私たち人間と暮らす飼い猫たちにとっては、雷の音や車の音、人のしゃべり声やテレビ、スマホ、インターフォンの音などは、ねこにとっては不愉快でとても嫌なものなのです。
そうならないためにも、部屋の防音はもとより、しゃべり声や、テレビ、スマートフォン、インターフォンの音量は極力、小さくし飼い猫にストレスが溜まらないように気を付けましょう。
飼い猫も遊び相手もなく、いつも一匹でいると退屈して飽きてしまうでしょう。
そんなときは、飼い主さんが一緒に遊んであげてください。工夫をすれば、飼い猫といっぱい遊んでストレス発散にも繋がります。
たとえば、猫じゃらしを使ったり、けぐるみなどのおもちゃを使ったりして遊んであげることもストレスの解消につながります。
気を付けたいのは、糸やひもなどの細いものを使って遊ばせているときは誤って糸やひもを飲み込んでしまうことや絡まってしまうこともあるので気を付けましょう。
ねこには発情期があります。これは避けては通れません。
発情期が始まると、性的興奮やストレスが高まります。
飼い猫の避妊や去勢手術は、ねこの性的興奮やストレスを解消するためには非常に有効な手段です。
飼い猫の妊娠を望まないのなら、避妊や去勢はおすすめです。
もし手術を行う場合は、最初の発情期が訪れる前に行うのがいいでしょう。かかりつけの病院とよく相談して決めてください。
飼い猫の元気がなくなったり、食欲がなくなったり、怒ったり、かみついたりするのは、何もストレスが原因だけではありません。
飼い猫は、病気やケガの場合も、ストレスによる症状とよく似た変化や行動が表れます。
症状や行動がストレスによるものか、病気やケガによるものかを見分ける必要があります。
病気やケガの場合は、早急な対応が必要な場合がほとんどですから、普段からよく注意して観察しましょう。
飼い猫がストレスを感じているどうかについては、一見しただけでは判断するのは難しいでしょう。
ただ、外とは隔絶した環境で飼っているわけですから飼い主さんでも分からないストレスを抱えていることは理解してあげましょう。
もし、飼い猫がストレスを感じていることが分かったら、ストレスを解消するために、「何をしてあげられるか」をよく考えて対処してあげて、愛猫が心身ともに健やかに暮らせるようにしください。