ねこのオスとメスの違いについて考えたことはあるでしょうか。
どちらももちろんかわいいですが、初めて飼うならどちらが飼いやすいのか悩んでしまうかもしれません。
今回は、ねこのオスとメスの見分け方や発情時の行動、性格、毛色、かかりやすい病気などの違いをご紹介します。
まずはねこのオスとメスを見分けるポイントをご紹介します。
わかりやすいのが、生殖器で見分ける方法です。
しっぽのつけね、肛門の上を見てみましょう。
オスであれば、こんもりした丸い毛の玉のようなものが2つついています。これがねこの睾丸です。
ねこのペニスは1センチ程度と小さく、普段は皮に包まれているため見るのは困難ですが、睾丸の有無でオス、メスを見分けるのが最も簡単です。
生殖器でオス、メスを見分けようとする際には、優しくそっと見るようにしましょう。
しっぽを無理に持ち上げたり、乱暴に触ったりするとねこのストレスになります。
なお、子ねこの場合は睾丸が成長していないため、上記の見分け方は使えません。
オスの子猫のほうが肛門と生殖器が離れており、生殖器のまわりがこんもりと膨らんでいるのである程度見分けられます。
区別がつかない場合は、獣医師に判断してもらうのが確実です。
大人のねこであれば、顔の形である程度オス・メスの違いを見分けられます。
オスねこは成熟すると、エラが張ったかのように顔が膨らみます。
これは男性ホルモンの影響によるもので、けんかの際にダメージが少なくなるよう顔の皮や顔の内部が厚くなるためといわれています。
また、大きい顔は威圧感があり、けんかの際にも有利になるというのも理由のようです。
とはいえ、ぽっちゃりしたメスねこは顔も大きく、スリムなオスねこは顔が細いこともあるため、顔だけで区別するのは難しいかもしれません。
人間と同じく、オスねこの方が大きくなります。
猫種や個体差による違いはありますが、例えばオス・メスの兄弟で飼っている場合、成長とともに体格差がはっきりしてくる場合が多いようです。
オスは骨格がしっかりしており、体つきもがっちりしています。
それに対し、メスねこは体つきがきゃしゃで、抱いた時にオスねこより柔らかく感じます。
これは骨格がオスより細いのに加え、子宮や卵巣などの生殖器を守るため、皮下脂肪が厚くなる傾向にあるためです。
行動でオスとメスを見分ける方法もあります。
しっぽを上げて柱や壁などにおしっこをかける行動が見られたら、ほぼオスであると考えても良いでしょう。
これは「スプレー」といい、自分の縄張りを誇示するために行う行動です。
しかし、メスの中にもスプレーをするねこがいますので、100%確実な方法とはいえません。
ねこは生後6ヶ月~1歳頃に性成熟し、発情行動が見られるようになります。
オスとメスでは発情時の様子がまったく違いますので、どのような変化があるかを押さえておきましょう。
また、繁殖を望まない場合は去勢手術、避妊手術をする必要があります。
オス、メスそれぞれの手術の方法と、術後の変化についても解説します。
発情するとオス、メスともに落ち着きがなくなり、怒りっぽくなります。
また、大きな声で鳴いたり、外に出たがったりするようになります。発情期の行動を見極め、脱走や望まない妊娠などを防止するようにしましょう。
オス、メスの発情の仕方や性別ごとの発情行動についてご紹介します。
【1】オスの場合
オスは決まった発情期はなく、発情したメスの泣き声や気配に反応して発情を起こします。発情したオスねこは以下のような行動を取るようになります。
【2】メスの場合
メスは1年に2~3回、春~秋頃に発情期を迎えます。発情期には以下のような行動を取ります。
繁殖を望まないのであれば、去勢手術、避妊手術をした方が、ねこも飼い主もストレスが少なくて済みます。
また、後ほどご紹介する、生殖器に関係する病気の予防にもなります。
避妊手術の方法やかかる時間、費用もオス、メスで異なりますので、違いを理解しておきましょう。
【1】オスの去勢手術
オスねこは大体6ヶ月頃を目安に去勢手術を行います。
施術内容は陰嚢から睾丸を摘出するというもので、開腹手術を伴わないため体への負担も小さく、ほとんどの場合手術当日に退院できます。
費用は病院によってさまざまですが、10,000円~15,000円程度と考えておくと良いでしょう。
【2】メスの避妊手術
メスねこは6~8ヶ月を目安に避妊手術を行います。オスとは異なり全身麻酔をして開腹し、卵巣と子宮を摘出します。
手術自体は麻酔も含めて1時間程度で済みますが、病院によっては、手術後の経過観察のために1泊程度の入院が伴う場合もあります。
オスより大がかりなため費用も高く、15,000円~30,000円程度が相場です。
手術を行うと、オス、メスともに肥りやすくなります。これはホルモンバランスが変化することや、生殖器の機能を維持するためのエネルギーが不要になり、以前と同じ食事だとカロリーオーバーになることが原因と考えられています。
それに加え、行動や性格に以下のような変化が起こる場合がります。
【1】オスの場合
オスねこの場合、去勢手術により発情行動やスプレーの回数が減ったり、性格がおとなしくなってけんかもあまりしなくなったりといった変化が見られます。
しかし、去勢手術後の変化には個体差が大きく、行動がほとんど変わらないねこもいます。
特にスプレー行動を一度覚えたねこは、手術後も変わらずスプレー行動をすることも多いようです。
【2】メスの場合
避妊手術を行ったメスねこは発情行動が起こらなくなり、発情期独特の大きな鳴き声も収まります。
また、オスねこと同じく、性格が穏やかになるメスねこもいます。
性別による重要な違いとして、特定の病気へのかかりやすさがあります。病気の予防や早期発見のためにも、自分のねこがどのような病気にかかりやすいかを知っておきましょう。
【1】オスの場合
オスねこの特有の病気としては、精巣腫瘍や前立腺疾患など、生殖器官に関係する病気が挙げられます。去勢手術をすることで予防可能です。
また、オスねこはメスねこと比較すると尿道が細いため、尿道結石や猫下部泌尿器疾患(FLUID)といった泌尿器系の病気になりやすい傾向にあります。
糖尿病もオスねこに出現しやすい病気です。糖尿病のねこのうち、60~70%がオスねこともいわれています。人間の糖尿病と同様に肥満から起こるケースが多いので、食事の与え方には気をつけましょう。
【2】メスの場合
メスもオス同様、生殖器に関する病気があります。特に多いのは子宮蓄膿症や乳腺腫瘍などです。こちらも避妊手術によって予防可能です。
また、メスの尿道はオスよりも太く短くなっています。そのため尿道結石は起こりにくいですが、細菌が侵入しやすく膀胱炎になりやすい傾向にあります。
細菌性の膀胱炎ははっきりした症状が見られないことも多いため、病院で尿を調べる必要があります。定期健診時などに尿検査を行うと早期発見につながります。
ねこのオス、メスでは出やすい毛色に違いがあります。
例えば、「三毛猫はほとんどメス」というのは有名な話です。
また、茶色と黒がまだらになっている「サビ猫」もほとんどがメスです。
とはいえ、ごく稀にオスの三毛やサビトラもいます。非常にレアで、3~4万分の1の確率といわれています。
ただ三毛猫だからメスと思い込んでいると、避妊手術の時などにトラブルになる危険性もありますので、性別確認はきちんとしておきましょう。
また、茶トラ(濃いオレンジのしま模様)はかなり高い確率でオスねこです。
茶トラねこの8割はオスねこで、メスの茶トラはオスの三毛猫ほどではないにせよなかなかレアといえるでしょう。
オスねことメスねこでは、性格にも違いがあるといわれています。
もちろん個体差はありますが、傾向としては以下の通りです。
【1】オスの場合
【2】メスの場合
上記でご紹介したとおり、メスねこはおとなしく、オスねこは甘えん坊でやんちゃな傾向にあります。
またオスねこの方が、体が大きく力も強いため、いたずらの程度も激しくなる可能性があります。
そのような点から考えると、初めてねこを飼う場合はメスの方が飼いやすいといえるかもしれません。
とはいえ、上記でご紹介した性格の差は単なる傾向に過ぎません。活発なメスねこもいますし、物静かなオスねこもいます。
ねこをお迎えする時は性別ではなく、「この子と暮らしたい!」というインスピレーションに従って決める方が良いかもしれません。
飼いやすくても、飼いにくくても、一度一緒に暮らせば、そのねこはもうかわいい「うちの子」になるはずです。
ねこのオスとメスの違いについて解説しました。オスとメスでは発情期の行動やかかりやすい病気が異なりますので、性別による違いを把握し、適切な対処ができるよう準備しておくことが重要です。
他にも顔つきや体格、性格にも違いは見られますが、個体差が大きいため一概に「オスだから、メスだから」とはいえません。
間違いなくいえるのは、オス、メスに関わらずねこは「かわいい」ということです。
ねこの性別の違いを押さえつつも、そのねこ自身の個性を大切にして、「うちの子」との生活を楽しんでください。