ねこをお風呂に入れる時、シャンプーは何を使っていますか?
自分と同じシャンプーを使ったり、せっけんを使ったりしている方もいらっしゃるかもしれません。
本当にねこのシャンプーは人間用で代用してもいいのでしょうか。
また、ねこ用シャンプーを買う時は、何を基準にして選べば良いのでしょうか。
今回の記事では、ねこ用シャンプーについて徹底解説します。
皆さんは愛猫をどれくらいの頻度でシャンプーしているでしょうか。
こまめにしているという方もいらっしゃるでしょうし、逆に全くしていない方も少なくないのではないでしょうか。
全くしていない方は、「汚れてもいないし、嫌な臭いもしないからいいか」と思っているかもしれませんね。
実際、ねこの体臭はそれほどきつくありません。
ねこは獲物を待ち伏せして捕まえる肉食動物です。
体に臭いがあると獲物に気づかれてしまうため、こまめに全身を毛づくろいして、体を清潔に保つ習性があります。
そのため、基本的にはシャンプーは必要ありませんが、以下のようなケースでシャンプーが必要になることもあります。
上記のようなケースでは、飼い主がシャンプーをしてねこをケアしてあげる必要があります。
そのためには、目的に合ったシャンプーを選ぶことが重要になります。
急にねこを洗わなくてはならなくなった、でもシャンプーがない。
そのような場合は、他のシャンプーや石鹸で代用はできるのでしょうか。
人間用のシャンプーをねこに使うのはNGです。
その主な理由は以下の3つです。
【1】皮膚のpH値
まず、ねこと人間の皮膚はpHが異なります。
人間の肌のpH値は4.5~6.0程度の弱酸性です。
それに対し、ねこの皮膚はpH6.4程度の弱酸性で、人間よりも中性よりです。
人間のシャンプーは、もちろん人間の肌のpH値に合わせて作られていますので、ねこには合っていません。
【2】皮膚の厚さ
人間の表皮は10~15層からなっていますが、ねこは2~3層しかありません。
ねこの体が毛に覆われているのは、弱い皮膚を守るためでもあります。
人間用のシャンプーは厚い皮膚に対応して作られているため、ねこの薄く弱い皮膚には刺激が強過ぎます。
【3】添加物
人間のシャンプーには皮脂を取る、髪をサラサラにするなど、さまざまな機能が備わっており、添加物も多く含まれています。
それらはねこにとっては無用なものであるばかりか、かえって皮膚を傷めてしまう原因にもなります。
人間用の石鹸の中でも、無香料・天然素材のものであれば、ねこのシャンプーに使えないことはありません。
ただし、毛の油分を落とし過ぎてしまうため、毛がゴワゴワしてしまいます。
手触りが悪くなるだけではなく、毛が絡まりやすくなり、皮膚への負担にもつながります。
緊急事態でどうしてもねこを洗わないといけないけれど石鹸しかない、という場合であれば仕方ありませんが、日常的にねこに人間用のせっけんを使うのは避けた方が良いでしょう。
犬とねこを両方飼っている方は、シャンプーを兼用できれば便利なのに…と思われるかもしれません。
しかし、犬とねこでは皮膚やシャンプーをする目的が異なります。
犬の皮膚のpH値は6.2~7.8で弱酸性、ねこよりもさらに中性よりになっています。
そのため、犬のシャンプーはねこの皮膚には適していません。
さらに、犬は体臭が強いため、臭い消しのためにシャンプーに香料が含まれていることが多いようです。
ねこにとっては苦手な匂い場合もあり、ストレスになってしまう恐れがありますので、使用しないでください。
ねこがシャンプーをする目的としては、以下のようなものが挙げられます。
目的によって適したシャンプーが異なりますので、まずはシャンプーをする目的をはっきりさせるようにしましょう。
シャンプーをする一番の目的は「汚れを落とす」ことです。
ねこは自分で毛づくろいをして体を清潔にする動物です。
何らかのアクシデントで著しく汚れてしまったり、高齢や肥満、病気などで毛づくろいがうまくできなかったりという場合は、シャンプーをして汚れを落としてあげる必要があります。
特に長毛種のねこは、セルフグルーミングだけではうまく毛を整えられず、毛玉ができてしまうことがあります。
シャンプーをして無駄な毛を取り、毛流れを整えることで、本来の美しい毛並みを保つことができます。
コンディショナーを使うと毛がほつれにくくなり、毛玉ができづらくなるのでさらに効果的です。
ねこに多い皮膚病として挙げられるのが「挫瘡(ざそう)」です。
別名あごニキビ、ねこニキビとも呼ばれ、ねこのあごを中心に、唇や口角に黒い砂粒のようなものができるのが特徴です。
悪化するとかゆみや痛み、ただれを伴うこともありますので、初期段階でスキンケアを行うことが重要です。
シャンプーをこまめに行って患部を清潔にすることで、症状を抑えられます。
また、フケが多い場合もシャンプーが有効です。フケは皮膚のターンオーバーが乱れることで増えますので、シャンプーをして皮膚を清潔にし、ターンオーバーを整えてあげる必要があります。
基本的にねこには体臭はありませんが、口臭が毛づくろいを経て体臭になったり、肛門腺のにおいが気になったりする場合もあります。消臭力の強いシャンプーを使うことで、ねこの体臭を除去できます。
※ねこの皮膚病や体臭に関しては、獣医師と相談しながら適切なケアを行うようにしてください。
ねこ用シャンプーは大きく分けて、水を使う普通のタイプ、ドライシャンプー、シャンプータオルの3種類があります。
それぞれの特徴やメリットは以下の通りです。
人が使うシャンプーと同じく、お風呂で使い、お湯で洗い流すタイプです。
用途に合わせてさまざまな種類のものが選べる点、洗浄力が高い点がメリットです。
ねこは体が濡れるのを非常に嫌がるので、心身の負担にならないように気をつけましょう。
泡や液体、粉状のシャンプーで、ねこの毛や皮膚に揉みこんだ後、タオルで拭きとるだけで体をきれいにできます。
寒い日にも使え、体力の落ちた老猫や病気のねこに負担がかからないといったメリットがあります。
ただし、洗浄力は普通のシャンプーに比べると劣ります。
不織布に洗浄成分をしみこませたものです。
ドライシャンプーとは異なり、タオルでの拭き取りもいらないため最も手間がかかりません。
足の裏やお尻の周りなど、汚れた部分だけをさっと拭ける手軽さも魅力です。
毛にツヤがでる効果が望めるものもあり、普段のお手入れに便利です。
ねこのシャンプーにはさまざまな種類があります。
ねこの毛質や皮膚の状態、シャンプーの目的によって、適したシャンプーは異なります。
シャンプーを選ぶ際、特に気をつけたい点について解説します。
先ほどご紹介した通り、ねこのシャンプーにはさまざまな目的があります。
とにかく汚れを落としたい、毛並みを整えたい、皮膚病の対策をしたいなど、目的を明確にし、それに適したシャンプーを選ぶようにしましょう。
特に皮膚病のねこのスキンケア目的でシャンプーをする場合には、獣医師に相談して決めると安心です。
ねこのシャンプーは人間とは成分が異なります。
ねこのシャンプーを成分ごとに分類すると、以下のようになります。
それぞれに特徴がありますので、愛猫に合ったものを選びましょう。
主な洗浄成分 | 特徴 | |
アミノ酸系 | ラウロイルサルコシンTEA
ラウロイルアスパラギン酸Na ココイルグルタミン酸TEA ココイルアラニンNa |
保湿力が高い
低刺激で被毛に優しい |
タウリン系 | ラウロイルメチルタウリンNa
ココイルメチルタウリンNa |
低刺激
洗浄力が高い しっとりと洗いあがる |
タンパク質系 | ウロイルシルクアミノ酸Na
ココイル加水分解コラーゲンNa |
毛並みを整え、ツヤを出す効果があるため長毛種向き |
高級アルコール系 | ラウリル硫酸Na
ラウレス硫酸Na |
洗浄力が高い
泡立ちが良い 刺激はやや強め |
ベタイン系 | コカミドプロピルベタイン
ラウラミドプロピルベタイン |
刺激が弱い
保湿力が高い 被毛のゴワつきを緩和できるため長毛種向き |
ねこの毛の長さによっても適したシャンプーは異なります。
特に長毛種の場合は、毛並みを整え、毛玉をできにくくする効果のあるシャンプーとコンディショナーを選ぶことが重要です。
ねこの皮膚はデリケートですが、中でも特に皮膚の弱いねこやアレルギーを持つねこもいます。
そのようなねこには、洗浄力は多少弱くても、界面活性剤や添加物を使用していない、低刺激性のものを選ぶと良いでしょう。
人間用のシャンプーと同じく、ねこのシャンプーにも匂いがついているものがあります。
しかし、その匂いは飼い主のためにあるもので、ねこにとっては不快である場合がほとんどです。
ねこ用シャンプーは無香料、もしくは微香料のものを選ぶようにしましょう。
また、ねこも匂いに好き嫌いがありますので、無香料のシャンプーでも、その匂い自体が気に入らないという場合もあります。
シャンプーの後、ねこが必要以上に毛づくろいをしている時は、体についている匂いを不快に思っている可能性がありますので、注意して見ておきましょう。
ねこのシャンプーの選び方についてご紹介しました。
ねこは毛づくろいを良くするため、汚れや体臭はあまり目立ちませんが、時々シャンプーをすることでより体を清潔に保つことができます。
ただし、ねこの皮膚や被毛はとてもデリケートなので、必ずねこ用のシャンプーを、目的やねこの体質によって選ぶようにしましょう。