近年、日本でも35度を超える酷暑と言われる日が増えています。
暑さに強いと思われがちなねこですが、実はそれほど暑さに強いわけではありません。
特に日本の夏のように多湿な気候は、ねこにとって大変辛いものです。
そこで、今回は暑い日本の夏を少しでも快適にすごせるよう、ねこの暑さ対策をご紹介します。
ねこの毛づくろいには体を清潔に保つだけでなく、体温を調節する目的もあります。
被毛を舐めて湿らせると、唾液中の水分が蒸発する際に体から熱を奪います。
この現象を利用して体温が上がりすぎないようにしているのです。
ねこの祖先であるリビアヤマネコが砂漠地帯で暮らしていたこともあり、ねこは暑さに強いと考えている人も多いかもしれません。
しかし、実はそれほど暑さに強いわけではないのです。
むしろ、湿度が高い日本の夏は、ねこにとっても過酷な季節だと考えたほうがよいでしょう。
というのは、湿度が高ければ濡らした被毛は乾きにくくなるため、効率よく体温を下げることができなくなるからです。
つまり、砂漠より気温は低くても湿度が高い日本の夏は、ねこにとっては過ごしやすい環境ではないということ。
だからこそ、適切な温度管理が必要なのです。
ねこが快適に過ごせるのは、気温20〜28度、湿度50〜60%の範囲と言われています。
一方、夏場の日本のほとんどの地域で、気温も湿度も快適な範囲を超えてしまっています。
と考えれば、今や暑さ対策なしでねこを飼うのは無謀でしかないのです。
ねこは汗腺のほとんどが足の裏にあるので、風を浴びても体を冷やすことができません。
つまり、扇風機では体温調節ができないのです。
そのため、エアコンを使って室温を下げるのがもっとも効果的な暑さ対策となります。
エアコンの温度設定は26度を目安に、暑くなりすぎないように調整します。
人間が快適だと感じる温度よりも2度ほど高く設定するのがおすすめです。
エアコンの風が直接当たるのを嫌がるねこも多いので、キャットタワーやお昼寝用のベッドといったお気に入りの場所には、風が当たらないようにしておきましょう。
また、ねこにお留守番をしてもらうときは、エアコンのリモコンを出しっぱなしにしないよう注意してください。
ねこが上に乗ったりおもちゃにしたりして、電源を切ってしまうことがあるからです。
こうしたトラブルを避けるには、リモコンを引き出しに隠すなどしてねこの手が届かないようにするのが確実です。
なお、ねこは居心地のよい場所(適温)を見つけるのが得意なので、寒すぎたりした場合に部屋を移動できるよう扉を開けておくようにしましょう。
直射日光が射しこむ部屋は室温が高くなりがちです。
そんな場合はカーテンを閉めておきましょう。
完全に閉めきらなくても直射日光をある程度さえぎるだけでも室温の上昇を抑える効果があります。
可能であれば、家具などを利用して、室内に日陰をつくっておくのもよいでしょう。
ねこのお気に入りの場所を少しでも快適にしてあげられるように工夫してみてください。
ねこは渇きに鈍感で、脱水状態になりやすい動物だと言われています。
脱水状態から熱中症を起こすこともありますし、その反対に熱中症から脱水状態になる場合もあります。
ですから、暑さ対策として、十分な量の新鮮な水をいつでも飲めるようにしておく必要があります。
また、同時に飲水量を増やす工夫もしておきましょう。
比較的簡単に飲水量を増やす方法をいくつか紹介します。
手っ取り早いのは水の器を増やす方法です。ねこがよく通る場所の中から何箇所か選んで水を入れた器を置きます。
好奇心が旺盛なねこなら、いつも使っているのと違う器を見つければ興味を持つでしょう。
通りすがりに飲んでくれる可能性があります。
流れる水が好きなねこには、自動給水器が効果的かもしれません。
清潔に保つための手入れは欠かせませんが、自動給水機を使うことで飲水量が増えたという飼い主さんからの声も多いので、試してみる価値はあるでしょう。
あまり水を飲まない場合は、ウエットフードを検討してみてください。
ドライフードに含まれる水分量は10%程度なのに対して、ウエットフードの水分量は75〜80%ほどです。
1日のうちの1食を置き換えたり、ドライフードと併用することで摂取する水分の量を増やせます。
また、ドライフードをふやかして与える方法もあります。
40度ほどのぬるま湯をドライフードがひたひたになるぐらいまで加え、15〜30分ほど置いて十分にふやかしてから与えます。
この方法で摂取できる水分の量はそれほど多くはありませんが、水を飲むのが好きではないねこに少しでも水分をとってもらうのには役立つはずです。
暑い夏にも快適に過ごせるようにと、長毛のねこの毛を刈る飼い主さんもいますが、ねこにとってはあまりおすすめできません。
上にも書きましたが、ねこは被毛を舐めることで体温調節をおこないます。
しかし、丸刈りにしてしまうと被毛がないため体温調節がうまくできなくなる可能性があるのです。
ねこは、換毛期があることで暑さ寒さに対応していますし、サマーカットにしたからといってエアコンでの室温調整が不要になるわけでもありません。
反対に、丸刈りにすることで以下のようなデメリットもあります。
毛を刈ることで多少は涼しく感じるかもしれませんが、大きな差はないという声もあります。サマーカットにする際は、よく検討することをおすすめします。
ねこの暑さ対策としてひんやりグッズを上手に取り入れるのもおすすめです。
アルミなどの金属や大理石は熱電導性が高く、体熱を効率よく逃がすことができます。
上に乗るだけでひんやりと心地よく感じられるため、夏場にねこのベッドや昼寝場所として愛用している飼い主さんも多いです。
丸洗いや水拭きもできるので、お手入れが簡単で衛生的なのもメリットです。
手軽さでは、水を入れて凍らせたペットボトルもおすすめ。
ねこがいつもくつろいでいる場所に置いておくだけでOKです。
ただし、直接触れると冷えすぎますし、結露の問題もありますので、タオルなどでくるんで使うようにしてください。
このほかにも、冷涼感のある素材を使ったベッドや、スマートフォンから操作できる冷暖対応のペットハウスといったハイテクアイテムもありますので、生活環境などにあわせて選びましょう。
ねこが快適に過ごせるのは、気温20〜28度、湿度50〜60%までとされています。
そのため、日本の高温多湿な夏は、ねこにとっても大変辛いものです。
ねこが快適にすごせるようにエアコン(設定温度は26度程度)を上手に活用しましょう。
また、脱水症や熱中症予防にいつでも新鮮な水が飲めるようにしておくことも重要です。
もし、ねこが「口を開けて荒い呼吸をしている、食欲がない、ウロウロと落ち着きがない」といった症状が現れたら熱中症の初期症状かもしれません。
また、「嘔吐下痢、ふらつき、高熱」といった様子がみられる場合は、熱中症を起こしている可能性があります。
その場合は、様子見などせず、すぐに動物病院を受診してください。