真ん丸で澄みきったねこの瞳。
見ているとなんだか吸い込まれそうなふしぎな魅力がありますよね。
ねこの目はきれいなだけではなく、自然のもとで生き抜くためのすばらしい機能がいっぱいです。
今回の記事では、そんなねこの目の不思議をご紹介します。
ねこの瞳の魅力といえば、なんといってもその美しい色です。
瞳の色が決まる要因や、珍しいねこの瞳の色について解説します。
ねこの「瞳の色」は、正確にいうと「虹彩(こうさい)の色」です。
虹彩とは目の中にある膜のようなもので、瞳孔の大きさを調節する機能を果たしています。
虹彩に含まれるメラニン色素の量によって、ねこの目の色は決まるのです。
また、メラニン色素は日光から目を守る働きがあります。
そのため、日差しが強い地域が原産のねこは目の色が濃く、日光の少ない寒冷地域のねこは目の色が薄い傾向にあります。
ねこの瞳の色は、大きく分けると以下の4種類です。
皆さんの愛猫の瞳はどんな色でしょうか。
瞳の色からルーツを考えるのも楽しいかもしれませんね。
メラニン色素が非常に少ないタイプです。
緑色の色素が目に含まれているわけではなく、微量のメラニン色素が短い波長の光(緑や青)を散乱させるため、グリーンに見えます。
このような現象を「レイリー散乱」といいます。
グリーンの目はベンガルやロシアンブルーのような洋猫に多く見られ、純粋な和猫にはグリーンの目はいないとされています。
グリーンよりはメラニン色素が多く、イエローとグリーンのグラデーションになっている瞳の色を指します。
基本的には瞳孔の周りが緑、外側が黄色になっている場合が多いですが、緑が薄く、ほとんど黄色に見えることもあります。
洋猫と和猫のミックスに良く見られる瞳の色です。
さらにメラニン色素が多くなると、瞳全体がイエローになります。
このような瞳の色を「アンバー(琥珀)」といいます。
アンバーの中でも薄い色を「イエロー」、濃い色を「ゴールド」と呼ぶこともあります。
4種類の瞳の中で最もメラニン色素が多いタイプです。
カッパーとは「銅色」を指し、はっきりとした濃いオレンジの瞳を指します。
洋猫ではボンベイやブリティッシュショートヘアに良く見られる色です。
また、和猫の中にもカッパーの瞳を持つねこが多く見られます。
晴れの日が多く、日光に富んだ日本の気候が要因であると考えられています。
上記の4種類に含まれない瞳の色もあります。
メラニン色素が極端に少ないため、グリーンの瞳と同じくレイリー散乱によりブルーに見えます。
ブルーの瞳が多い猫種としては、シャムやペルシャ、ヒマラヤンなどが挙げられます。
オッドアイとは、左右の瞳の色が違うねこのことです。
日本では「金目銀目」ともいわれており、神秘的な姿が目を引きます。
主な要因は遺伝ですが、事故や病気などで目の色が変わり、後天的にオッドアイになるケースもあります。
ひとつの目の中に複数の色が混在しているタイプです。
ヘーゼルのようなグラデーションではなく、はっきり目の中で色が分かれているのが大きな特徴です。
さまざまな色があるねこの瞳ですが、生まれて間もない子猫の瞳は基本的に青い色をしています。
これを「キトンブルー(子猫の青)」といいます。
先ほどご紹介した通り、ねこの瞳の色は虹彩に含まれるメラニン色素の量によって決まります。
しかし、子猫の目は未発達で、メラニン色素が沈着していません。
そのため青い色に見えるのです。
キトンブルーは目が開き始めた生後10日頃から、生後4週間頃まで見ることができます。
そこからだんだんと瞳の色が変わり、生後半年~1年程度でそのねこ本来の瞳の色になります。
夜中にねこがバタバタ運動会をして眠れない……。
ねこ飼いさんあるあるかもしれませんね。
ねこはなぜ、あのような暗い場所で走り回ることができるのでしょうか。
その秘密は、ねこの目の素晴らしい機能に隠されています。
ねこの瞳の特徴として挙げられるのが、「目の形がくるくる変わる」ということです。
正確には、目の中の瞳孔の大きさが変わっています。
瞳孔はカメラの絞りに当たる部分で、光量を調節する働きを持っています。
人間の瞳孔が丸く開閉するのに対し、ねこの瞳孔は縦長に開閉します。
この瞳孔の機能により、ねこは素早く、また大きく瞳孔を調節できるのです。
暗い場所では瞳孔を大きく開き、わずかな光でも効率良く取り込みます。
ねこの瞳には、ほかにも暗闇で行動するためのすばらしい機能が備わっています。
・タペタム層
ねこの網膜の裏には、「タペタム層」と呼ばれる細胞の層があります。
タペタム層はわずかな光でもとらえ、視神経に伝えることができます。
それにより、ねこは暗いところでも物を見分けることができるのです。
カメラのフラッシュやライトの光などを当てるとねこの目が光るのは、このタペタム層が光を反射しているからです。
・網膜
網膜には光(明暗)を識別する「杆状体」と、色を識別する「錐状体」という2種類の視細胞があります。
ねこの瞳は人間と比べると圧倒的に「杆状体」が多く、暗い所でもしっかりと物を見ることができます。
素晴らしい性能を持つねこの瞳ですが、実は視力自体はあまり良くありません。
明るさを感知する能力が高い分、少しの光でも反応してしまい、ぼやけて見えてしまうためです。
また、網膜の杆状体は多いですが、錐状体は人間に比べると非常に少なく、色を判別するのが苦手です。
特に赤や緑ははっきりと識別することができないため、色鮮やかなキャットフードを見ても、特に「おいしそう」とは思わないでしょう。
しかし、夜の暗がりの中、待ち伏せをして近くを通った獲物を、捕らえるという生活をするねこにとっては、視力が悪くても、色が区別できなくても特に問題はありません。
ねこの目は、その生活に合うよう機能的に進化してきたのだといえるでしょう。
澄み切ったきれいなねこの瞳は、健康である証拠です。
瞳の色が変わっている、涙や目やになどが出ている時は、体の調子が悪いのかもしれません。
ねこの瞳の異常から考えられる主な病気をまとめると以下のようになります。
ねこの目をしっかり観察し、不安な点があれば獣医師に相談しましょう。
症状 | 考えられる病気 |
目が赤い |
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涙、目やにが出る |
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目が白くにごる |
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目が腫れる |
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瞳孔が開きっぱなしになっている |
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見えづらそうにしている |
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ねこの瞳から読み取れるのは、体の異常だけではありません。
ねこが今、どんな気持ちでいるかを知ることもできるのです。
ねこの瞳の様子と、その時の気持ちについて解説します。
ねこの瞳孔は周囲の明暗によって大きさが変わりますが、感情によっても変わります。
おもちゃで遊んでいる時、瞳孔がまん丸くなったら、「嬉しい!楽しい!面白い!」と思っている証拠です。
おもちゃを出してもいないのに、瞳孔がまん丸くなり、ワクワクした表情で見つめられたのであれば、飛びかかってくる合図かもしれませんので、気をつけましょう。
また、不安や怒り、恐怖を感じた時も瞳孔が丸くなります。
瞳孔が丸くなり、険しい顔をしている、毛が逆立っている、耳が寝ているという時はネガティブな感情になっています。
刺激しないようそっと見守りましょう。
ねこと目が合った時、ゆっくりまばたきを繰り返すのは「あなたに敵意はありません」という意味です。
ねこはケンカをする時には相手をしっかり見て威嚇します。
仲良しの相手の場合は、目をそらし、敵意がないことを示します。
ねこにとって、例え大好きな人でも、じっと見つめられるのはストレスになってしまうのです。
ねこのまばたきがかわいいからといって、目を見続けないようにしましょう。
穏やかな表情で半目にしているのであれば、くつろいでいる時、もしくは眠い時です。
飼い主さんにぴったりくっついて、このような表情をしていたら、「大好きな人のそばで嬉しい、安心できる」と感じている証拠です。
今回の記事では、ねこの瞳の秘密をご紹介しました。
色とりどりに輝くねこの瞳には、暗闇の中でも行動できるすばらしい機能が備えられています。
また、ねこの瞳を観察することで、ねこに隠された病気や感情を読み取ることもできます。
見つめ過ぎに気をつけながら、ねこの瞳をそっとのぞいてみてくださいね。