シャム猫の長毛種として存在するバリニーズ(Balinese)。
ポイントカラーが好きで長毛種が好きな方にとっては、唯一無二の存在です。
バリニーズはシャム猫という存在があったからこそ馴染みやすい面もありましたが、逆にシャム猫がいることでなかなか日の目を浴びなかったねこでもあります。
そんなバリニーズについて深く知り、さらに魅力を感じましょう。
シャム猫の長毛種と言えば誰しもイメージできるかと思いますが、世界に知れ渡った経緯はシャム猫とは大きく異なります。
タイのねこと言えばシャム猫というくらい圧倒的な存在感を持っているシャム猫に対し、そこから派生した猫種としか見られなかった時代もありました。
まずは、バリニーズがどのような経緯で生まれたのか、さらにはどんなねこなのかを知りましょう。
バリニーズがどのように生まれたのかは定かではありません。
シャム猫の子の中に突然変異で長毛種として生まれたという説と、第二次世界大戦によって激減したねこを増やそうとし、シャム猫と長毛種のねこを交配させたという説が有力です。
短毛種のねこの中に突然変異で長毛種が生まれることもありますし、第二次世界大戦後はさまざまなねこの後輩が行われていたのでどちらの説も可能性は高いです。
どちらにせよ、他の猫種のようにどこかのブリーダーが意図的に交配したという記録が残っているわけではありません。
1871年に作成されたイラストにバリニーズのようなねこが描かれてしますし、1928年にはCFFが長毛種のシャム猫がいるという記述を残しています。
このことから分かる通り、いつの間にかシャム猫の長毛種として存在していたわけですが、過去にはバリニーズはあまり歓迎されていませんでした。
キャットショーにおいて長毛のシャム猫はポイントが低いことから、あまり大切にされていなかったという歴史があるからです。
あまり大切にされていなかったバリニーズですが、アメリカで1人のブリーダーに注目されることによってその数を増やすこととなります。
ブリーダー界では避けられていたバリニーズを見て、一目惚れしたブリーダーはその後繁殖へと乗り出すのです。
しかし、周囲にいたシャム猫のブリーダーたちは長毛種の遺伝子が混ざってしまうことを恐れ、バリニーズの繁殖を行うことに反対しました。
それでも反対を押し切って繁殖に乗り出し、途中で別のブリーダーに譲渡することにはなったものの着実にバリニーズを繁殖させていったのです。
そして各協会から公式な猫種として認められていったわけですが、アメリカ最大の協会であるCFAからはなかなか認められませんでした。
それでも働きかけを続け、1967年にはCFAから一時的にキャットショーでバリニーズとして出演して良いとされ、1970年には正式に認可が降りたのです。
バリニーズという名前の由来は、動きを見ているとバリのダンサーを連想させることからその名が付けられました。
その長い毛としなやかな動きとバリの伝統的な踊りが非常に似ているのでこの名前が浮かんだとのこと。
ちなみに、バリニーズとは元々バリに暮らす人々を指す言葉です。
バリ出身ではありませんが、バリのダンスを知っている人であればバリニーズを見ているとバリの人のように見えるということなのです。
バリニーズは日本にまだ少ないながら、禁じられているわけではないので暮らすことは可能です。
そこで、もし一緒に住むとなるとバリのダンサーのように動くバリニーズとは一体どんな性格なのか気になるところです。
性格が分かれば接し方や一緒に暮らすための注意点も見えてくるので、信頼関係を構築するためには把握しておきたいところです。
バリニーズと仲良くなるために、最低限押さえておきたい性格と注意点をご紹介します。
バリニーズの性格を一言で表すと甘えん坊です。
人間が大好きという面があるので近づいてきて体を擦り寄せてきます。
また、体を動かすことが大好きで一緒に暮らす人と遊ぶことを楽しみに1日を過ごしています。
しばしばいたずらをしてしまうこともありますが、自分が注目されたいがために行う行動です。
もしいたずらを見かけた際には、目をかけることが少し足りなかったなと思い、たくさん甘えさせたり遊んであげてください。
甘えさせたり遊ぶことで信頼関係も構築されていくため、ねことたくさん接したいという人には一緒に住むのが非常に向いているねこと言えます。
甘えるのが好きなバリニーズは、逆を言えば寂しがり屋な面もあります。
そのため留守番が苦手なので、極力一緒にいることを心がけましょう。
どうしても家にいる時間が短い方に関しては、多頭飼いも一つの方法です。
多頭飼いで寂しさは紛れるかもしれませんが、人間が帰ってくると嫉妬もしてしまうのでその場合はうまく付き合っていきましょう。
先輩ねこを立てることによって良好な関係性を構築できるケースもありますので、工夫が必要なことも覚えておいてください。
注目されたいために行ういたずらの多くは、人間がいる目の前で起こすことが多いです。
これはストレスを抱えているケースもあり、やってほしくない壁での爪研ぎなどは要注意です。
いたずらが出る時は基本的にストレスを抱えていることが多いので、たくさん遊んであげることがおすすめです。
また、小さなものなど置いておくと誤飲の危険があるため部屋から排除しましょう。
どうしても置いておかなければならないものは、ねこが手の届かない場所に置いてください。
誤飲は程度にもよりますが、手術を伴う場合もあるので神経質だと思うくらい気をつけましょう。
バリニーズに限らず、ねこと暮らす際に注意したいのは病気です。
体調に異変が出ても元気に振る舞おうとするのがねこですので、普段から注意して過ごさなければなりません。
これは、ねこの病気のほとんどが自然治癒で治ることが少なく、さらには命に関わる病気であることが多いです。
そのため、ねこの寿命は一緒に暮らす人間次第と言っても過言ではありません。
そこで、バリニーズと暮らす際に健康面で注意したいことをおさえておきましょう。
バリニーズが遺伝性の病気にかかりやすいという症例は今のところ発表されていません。
とはいえ、遺伝性の病気が全く出ないわけでもないので、異常が見られた際には動物病院を受診することは必須です。
また、ねこがかかりやすい猫風邪や腎臓疾患、さらには糖尿病などの命に関わる病気には常に注意することが必要です。
ねこは特にストレスが病気に直接関係することも多いため、ストレスの溜まらない生活を送ってもらうことを心がけましょう。
長毛種であるバリニーズは毎日ブラッシングを行うことを心がけましょう。
ブラッシングを行うことで余計な毛が抜け落ちることはもちろん、古い角質なども落ちるので皮膚病の予防にもなります。
さらに、ねこは自分の舌で毛繕いを行いますが、その間に自分の毛を食べてしまいます。
長毛種の場合、大量に自分の毛を食べてしまうと胃の中に毛が溜まって消化不良を起こす毛球症となってしまうのです。
ブラッシングは健康を保つ際の必須事項となりますし、信頼関係構築の一つの方法だとも言えます。
人間と同様にねこも肥満に悩まされるケースが多いです。
肥満になると糖尿病リスクが増加したり、体の重さから関節に負担がかかり自由に歩き回れなくなるケースもあります。
体重は日常の生活習慣が大きなウエイトを占めます。
ごはんやおやつを与えすぎないことはもちろんですが、たくさん遊ぶことによってカロリー消費を目指しましょう。
最初はシャム猫の派生として生まれたバリニーズですが、長毛種でポイントカラーという特徴がある猫種はなかなかいません。
性格も人懐っこいことから、一緒に暮らした際には思い出をたくさん作れる猫種です。
人間とねこ、どちらにとっても幸せな生活となるよう、環境づくりなどに気を使い大切な時間をたくさん作りましょう。