3月22日はさくらねこの日という事はご存じでしょうか。
一人でも多くの方に知ってもらうため3月22日を「さくらニャンニャン」の語呂合わせで「さくらねこの日」と制定されています。
野良猫をよく見ていると、耳がカットされて桜の花びらの形をしているねこを、見たことはないでしょうか。
怪我などで耳が切れているのではなく、ましてやイタズラをされたわけではありません。
これは、ねこの殺処分ゼロを目指し、野良猫の不妊手術済みであるとを示す証です。
耳の形から、さくらねこと呼ばれています。
この運動が起こった原因は、野良猫問題に深く関わってくるのです。
野良猫に不妊手術を行い、さらに耳をカットすることに反対する方もいるかもしれません。
確かにねこ好きからすると、なぜそんな可哀そうなことを行うのかという疑問が生まれます。
ここで、現在野良猫が抱えている現状を知ると、不妊手術を行うことが、ねこが生きる道であるということも理解できるでしょう。
そこでまずはねこが抱えている現状からご紹介します。
2020年度に全国で殺処分された、ねこの数は19,705匹です。
単純計算しても、全国で1日に50匹以上が殺処分されてしまっています。
保健所のねこの譲渡会などに行っても、横に殺処分の慰霊碑があることに心を痛めた方もいらっしゃるかもしれません。
それでも、この数は以前に比べると激減しています。
2004年度(平成16年)ではなんと12倍以上の238,929匹ものねこが殺処分されていました。
2013年(平成25年)に正当な理由のない動物を自治体が拒否できる法律ができたことと、近年活発に譲渡会が行われること、さらには野良猫を保護する団体が増加したためです。
とはいえ、現在でもこれほど多くのねこが殺処分されている現状を忘れてはいけません。
殺処分される理由としては様々あります。
事故によって負傷したねこが保護されたは良いものの、行き場がなく殺処分されてしまうケース。
また、親ねこがご飯を探しに行っている間に人間の子供が子ねこを連れて帰ってきてしまって保護されるケース。
さらには夜中のケンカの鳴き声のクレームや、車などにねこが乗って傷がつく、糞尿などで汚される、畑が荒らされるなど、理由は様々です。
野良猫への餌やりでも、ねこ以外に鳩やカラスが餌を求めてやってきて、糞害や悪臭の元になっていることもあります。
飼い猫となっている場合でも、現在問題視されているねこの多頭飼育崩壊も問題です。
野良猫を飼い始めたまでは良いものの、避妊手術が行われずにどんどん増えてしまい、崩壊してしまっていることもあります。
多頭飼い崩壊ではなくても、ねこと一緒に暮らすといいながら、しばらく経って可愛くなくなった、飼うのが大変などといった身勝手な理由をつけて保健所へ連れて行く飼い主も後を絶ちません。
これらの理由により、ねこは殺処分されているのです。
人間の生活圏にねこが住んでいることにより起こる殺処分ですが、これを緩和させるためにさくらねこが生まれたのです。
これほど愛らしいねこにクレームをつけ、挙句殺処分にまで追い込んでしまう人間に身勝手さを覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、残念なことにそういう方々も少なくないことが現状です。
ねことの共存を現実化させるため、さくらねこは生まれたのです。
ゴミなどの食料になるものが溢れていることや、天敵のカラスや蛇の数が減っていることでねこが増加傾向にあります。
この先ねこが増えていくと、さらに殺処分が増えてしまい、問題は一向に解決しません。
そこで、不妊手術を行うことで、少しでもねこ増加を食い止めて殺処分を減らす目的があるのです。
耳の先端に切れ目が入っているねこを、耳が桜のに似ているこから「さくらねこ」と呼びますが、これには理由があるのです。
これは、野良猫の中でも不妊手術を受けている証になっているのですが、印があるのとないのとでは野良猫に対する負担も大きく変わります。
一見、人間の理由で耳を切ってしまうことにも疑問を持たれる方もいらっしゃいます。
しかし、これがあることでさくらねこのプロジェクトはスムーズに進むのです。
不妊手術を受けている印をつけておかなければいけない理由は、再び保護されて手術を受ける心配がないということです。
元に、野良猫に不妊手術を行うために確保を行い、その中ですでに不妊手術を済ませていたねこは大量にいます。
捕まることでのストレスや、お腹を一度開かなければいけないという身体的負担を考えると、最初から印がついていたほうがねこの体力的にも負担は少ないのです。
耳のカット以外にも、首輪やピアスをつけることも考えられますが、それらは落ちてしまうことが多いのです。
また、基本的に野良猫の不妊手術は善意や募金によって賄われています。
一度手術を受けているねこに再度手術を行うことは無駄にあたり、一匹でも多くのねこに不妊手術を行うことを目的とするのであれば、印をつけるのは合理的といえます。
耳に切れ目を入れることは痛みを伴ったり、感染症の原因にもなるという心配があります。
しかし、耳をカットするのは不妊手術の麻酔が効いている間に行われます。
さらに止血も行い、衛生面でも安心できる状態になってから自然界へ戻されます。
ねこについても不安のない状態で耳がカットされているのです。
理由なくねこを傷つける行為は許されるものではありませんが、ねこの殺処分を減らすという目標がある上で行われていることなのです。
耳をカットすることによって、より多くの野良猫に不妊手術を行えるようになったという現状もあります。
ねこの殺処分を減らすために、私たちができることもあります。
生き物を殺すことはいけないことというのはもちろんですが、私たちの生活が脅かされる事態となると避けられないこともあります。
ねこが好きな人もいれば嫌いな人もいますし、さらに実害を被った方に関しては尚更問題視するでしょう。
色々な人が生きている世の中で、ねこと共存していくために必要なことを探す必要があります。
また、ねこ自身の伝染病蔓延も防止するという観点から、さくらねこを増やすことは必須条件なのです。
ねこの伝染病として、現在恐れなければならないのは猫エイズです。
もちろん、キャリアと診断を受けた場合でも、正しい治療を定期的に受けることによって通常のねこの寿命まで生きることは可能です。
しかし、免疫力が低下してしまうこの病気は、野良猫が感染すると寿命を大きく縮めてしまいます。
母子感染の可能性は高いため、生まれてくる子ねこが猫エイズのキャリアとなるケースも多くなるのです。
生まれながらにして短命であるねこを減らすためにも、さくらねこを増やすことは必要になります。
感染の原因は性交渉やねこ同士の喧嘩で起こります。
不妊手術を行うと怪我をするまでの喧嘩も少なくなることから、猫エイズを防止するために有効な方法だと言えるのです。
さくらねこを増やすプロジェクトを支援するという中で、当然資金が必要になります。
多くが募金によって行われているので、私たちが支援を行うことも可能です。
私たちがねこを保護し、不妊手術を行なって再び自然界に帰すのには限界があります。
野良猫の避妊手術を行う場合、地域のねこを一斉に確保しなければなりません。
これは、ねこが生きていくためには十分過ごしやすい環境が整っているため、不妊手術を行なっていないねこがすぐに増えてしまいます。
手術してないねこが増えてしまうと、結果として全く効果のない状態になってしまうため、全体的に手術を行わなければならないのです。
これを実現させるため、ある一定の団体が資金を集めて、一気に行う必要があるのです。
ねこの殺処分を少しでも減らすため、私たちにできることは募金だけではありません。
できるだけ多くのねこを保護するという働きも大切です。
住居の広さやねこと一緒に暮らせる環境の問題で限界はあるものの、保護して責任を持って暮らしていくことでねこが寿命を全うできます。
部屋の狭さがストレスとならないか、世話できるキャパシティーを超えないか、ずっと一緒に暮らせるかなどの確認事項は必要です。
ただ、野良猫の保護団体にも限界があります。
これは、運営できるキャパシティーの問題です。
これらを解消するためにも、もしねこと一緒に暮らせる環境であれば、積極的に受け入れるのも問題解決の一つです。
野良猫と人間の共存は一筋縄ではいきません。
環境変化により天敵が減り、食料が簡単に手に入ることで、野良猫が増えてしまうことによります。
私たちのできることは野良猫の殺処分ではなく、さくらねこを増やすことと、少しでも多くのねこを保護することです。
生まれてきたねこが幸せに生きるためにも、さくらねこを増やすことが大切なのです。