「ねこにマタタビ」は有名ですが、他にも身近な植物で、ねこが好きなものはたくさんあります。そういった植物を上手に使うことで、ねこのストレス解消や元気回復が望めます。しかし、あげ方を間違うと、かえって体に悪い影響を与えてしまうことにもなりかねません。今回は、またたび以外にねこが好きな植物と、ねこにあげる時の注意点をご紹介します。
人が普通に食べている野菜や果物の中にも、ねこが大好きなものはいくつかあります。特に手に入りやすく、ねこが好むものをご紹介します。
独特の苦味があり、サラダやスープにアクセントを添えてくれるセロリ。実は、ねこも大好きな野菜です。マタタビと同じように匂いに反応してじゃれついたり、スリスリしたりすることがあるため、マタタビと似た成分が含まれているのではないかと考えられています。
セロリには利尿作用や解熱作用があり、高血圧や目まいの症状があるねこに少量与えると効能があるといわれています。あげる場合は、生ではなくさっと湯通しして、ごはんやスープに入れると良いそうです。
しかし、セロリにはシュウ酸カルシウムが多く含まれており、摂り過ぎると尿路結石の原因になりえます。食べさせ過ぎないよう気をつけましょう。
キウイはマタタビ科の植物で、マタタビと同じくネコ科の動物を酔わせる力があります。
キウイはビタミンCやE、カリウム、食物繊維が豊富で、ねこにあげることで胃腸や腎臓、心臓の調子が整う効果が期待できます。
ねこにキウイをあげるときは、必ず皮をむいてあげましょう。また、あげ過ぎると胃腸障害や下痢の原因になりますので注意が必要です。
ねこはオリーブが大好きで、マタタビと同じくにおいを嗅ぐとクネクネ、ゴロゴロするねこもいます。中にはマタタビには反応しないけれど、オリーブには反応するねこまでいるようです。
実はもちろんのこと、観葉植物として植えている葉まで食べてしまうこともあります。
オリーブを食べて大丈夫?と心配になるかもしれませんが、オリーブは実も葉もねこへの害はありません。オリーブ栽培が盛んなイタリアでは、ねこにおやつとしてオリーブの実をあげているほどです。
オリーブにはビタミンEや鉄分、カルシウムなど、ねこの体にも良い成分が含まれています。また、オリーブオイルを少量あげると便秘改善も期待できます。
とはいえ、食べすぎはカロリーや食物繊維のとり過ぎになりますので注意が必要です。
続いて、ねこが好きなハーブをご紹介します。マタタビよりも効果が穏やかで、商品化されているものも多いため、うまく取り入れることでねこのストレス解消やトレーニングに活用できます。
キャットニップはハーブの一種で、別名を「セイヨウマタタビ」ともいいます。キャットニップ(ねこが噛む)という名前通り、ねこにとても好まれます。キャットニップの中にはネペタラクトンという成分があり、ねこが摂取すると多幸感やストレス解消、元気回復といった効果があります。マタタビに含まれる成分とはまた異なるため、マタタビに反応しないねこにも効く可能性があります。
キャットミントは本来キャットニップの英名ですが、日本ではネペタ・セーファニーという植物を指し、キャットニップとは別の種です。「ネペタ」、「イヌハッカ」という名前で呼ばれることもあります。
紫色の小さな花が連なって咲くそのようすは大変可憐で、ガーデニングでも人気があります。
キャットニップよりネペタラクトンの濃度は低く、効き目は非常にマイルドです。シナモンのような甘い香りがするので、どちらかと人間のリラックスハーブとしての効果の方が高いかもしれません。
バレリアンは和名をセイヨウカノコソウといい、鎮静作用や元気回復の効果があるといわれるハーブの一種です。
独特の強い香りがするため敬遠する人もいますが、ねこにはマタタビのような効果があります。根に含まれる「アクチニジン」という物質がねこを刺激し、酔わせる働きがあるようです。マタタビやキャットニップよりもマイルドなため、おもちゃに使われることもあります。
ガーデニングで庭に植えている木や花の中にも、ねこが好きなものはいくつかあります。特に放し飼いをしているねこは、庭を荒らしてしまったり、好きな植物を食べ過ぎてしまったりすることがあるため注意が必要です。
キダチアミガサソウはトウダイグサ科の植物で、東南アジアに広く分布しています。日本では主に沖縄で見ることができます。特に根の部分にねこを酔わせる働きがあるようで、根っこごと抜いてねこにあげると、クネクネ、ゴロゴロして喜びます。
効果はキャットニップより強いので、あげ過ぎないよう気をつけましょう。
濃い緑の葉にピンク色の鮮やかな花が映えるアカバナヒョウタンボクは、スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木です。暑さ・寒さに強く丈夫なため、ガーデニングのグリーンとしても人気があります。枝の部分にねこを酔わせる成分が含まれているようですが、はっきりしたことは分かりません。
初夏に赤いかわいい実をつけますが、毒がありますのでねこが食べてしまわないように気をつけましょう。
ねこが好きな植物をうまく使えば、ねこのストレス解消や元気回復に役立ちます。また、お留守番や爪きりなど嫌なことをがんばったときのごほうびにもなります。しかし、あげ方を間違えると、ねこの健康を損ねてしまう場合もありますので注意が必要です。
ねこが好きな植物をねこにあげるときの注意点をご紹介します。
植物に限らず、ねこに初めての食べ物をあげる時は少量ずつから始めましょう。一般的にねこにあげて良いとされるものでも、ねこによってはアレルギーを起こしたり、お腹を壊してしまったりすることもあるためです。
ねこは体が小さいので、人間の「ほんの一口」でもかなり大量になります。オリーブオイルやセロリなら小さじ半分から、ハーブであれば指に乗るくらいのごく少量から試してみると良いでしょう。
基本的に、ねこはキャットフードだけで生きていける動物です。どれだけねこが好きでも、またねこの健康に良くても、フード以外の食べ物をあげ過ぎるとかえって体の調子を悪くしてしまいます。ねこの好きな植物をあげるのは、週に数回程度に留めておきましょう。
セロリは生だとシュウ酸カルシウムが多過ぎますので、さっと湯がいてあげましょう。また、人のために作られた加工品の中には、ねこの体に良くないものが含まれていることがあります。
ねこが喜ぶからといって、オリーブの精油や、キャットニップやバレリアンなどがブレンドされたハーブティーなどをあげたりするのは絶対にやめましょう。
ねこが好きな野菜やハーブをあげる時は、必ず飼い主の目が行き届くところで、適量をあげるようにしましょう。
特に注意したいのが、あげるつもりがない野菜をねこが食べてしまうことです。セロリやキウイなどを置きっぱなしにしているとねこが食べ過ぎてしまい、体調を崩してしまうこともあります。ねこが好きな野菜は、ねこの手の届かないところにしまうようにしましょう。
また、キャットニップやバレリアンといったハーブは、ねこによって効き目が違います。中には効果があり過ぎて攻撃的になるねこもいますので、あげる時は目を離さないようにしましょう。
マタタビ以外にも、ねこを酔わせたり夢中にさせたりする植物はたくさんあります。中にはねこ用のおもちゃやおやつに配合されており、ねこのストレス解消やご褒美、トレーニングに活用できるものもあります。
しかし、置きっぱなしの野菜を食べてしまった、庭の花や木を荒らしてしまった…とトラブルも起こりえます。あげ方や扱い方には十分に気をつけましょう。