愛猫にペロペロ舐められたり、カプカプと甘噛みされたりすると、「私のこと好きなのかな?」と嬉しくなります。
もちろん愛情表現でしていることもありますが、実はストレスを感じていたり、怖がっていたりしている場合もあります。ねこが舐める、もしくは甘噛みをするのはなぜなのでしょうか。また、やめさせたい時はどうすれば良いのでしょうか。詳しくご紹介していきましょう。
愛猫が幸せそうに目を細めてペロペロ舐めてくると、「大好きだよ」と言われているようで幸せな気持ちになります。しかし、そこにはねこの複雑な思いが隠されている場合もあります。ねこが舐めてくる主な理由をご紹介しましょう。
ねこがペロペロ舐めてくる一番の理由はやはり「愛情表現」です。ねこは親子や兄弟など仲良し同士でグルーミングをし合います。それと同じように、愛情表現として飼い主を舐めるのです。特に顔を舐めるのは心から信頼している証拠です。
また、ペットショップで「お見合い」をした時など、初めて会ったねこに舐められることもあります。この場合はニュアンスが多少違っており、「私は敵ではありません」と伝えていると考えられています。
好意を示す行動ですが、完全にリラックスしてはおらず、緊張したり怖がったりしている場合がありますので刺激しないように優しく接してあげましょう。
ねこをなでたり、ブラッシングしたりした時に舐められたら、それはねこからの「お礼」の気持ちです。ねこは他のねこからグルーミングされたら、お返しにグルーミングをやり返すことがあります。それと同様に、飼い主に対して「ありがとう」の気持ちで舐め返しているのです。
要求を示すために舐めてくることもあります。飼い主が寝ていたり、ねこの方を見ていなかったりした時に舐めてくる場合は、「構ってほしい」、「ごはんがほしい」というおねだりの気持ちを表していることが多いようです。
そこで飼い主がこたえてあげると、ねこは「舐めたら飼い主が構ってくれる」と学習して、さらに舐めるようになります。かわいいですが、寝ている時に舐めて起こされると、寝不足になってしまうかもしれませんね。
外出から帰宅して愛猫にあいさつしたら、けげんそうに手のにおいをかいで丹念にペロペロしてくる…このような時は、においが気になって消そうとしていると考えられます。
ねこは縄張り内にある大事なものにはスリスリします。これは臭腺から出るにおいをこすりつけて、じぶんのにおいを移して安心したいためです。
それと同じように、飼い主のにおいがいつもと違うと不安を感じ、なめてにおいを消すと同時に、自分のにおいをつけようとしているのです。
真剣な顔でしつこく同じ場所を舐めてくる場合は、飼い主のにおいに不安を感じている時かもしれません。心ゆくまで舐めさせてあげるか、声をかけて安心させてあげましょう。
ケガをしないようにカプカプと噛む「甘噛み」。あんなに鋭い牙を持っているねこが、優しく手加減して噛んでくれると、優しさや信頼を感じて嬉しくなります。
しかし、甘噛みにはストレスや生理的欲求が隠されている場合もあります。
甘噛みをする主な理由を以下にご紹介しましょう。
愛情表現のひとつとして甘噛みをするねこもいます。リラックスしている時に、ゴロゴロ喉を鳴らしながらごく弱く甘噛みしてきたら、愛情表現と思って良いでしょう。
これはお母さんねこのお乳を吸う行動の延長であると考えられています。そのため、特に早くからお母さんねこと引き離され、十分にお乳を吸えなかったねこは甘噛みを良くする傾向にあります。
舐めるのと同じく、何らかの要求があって甘噛みすることもあります。「お腹が空いた」、「遊んでほしい」、「起きてほしい」という要求を、甘噛みによって伝えているのです。また、最初は舐めて要求を伝えていたのに飼い主が応じない場合に甘噛みをすることもあります。放っておくとさらに強く噛んでくることもあるため注意が必要です。
愛猫とのまったりタイム、気持ち良さそうになでられていたのに急に怒り出して手を噛んできた…そのような経験があるねこ飼いさんも多いのではないでしょうか。このように、ねこはなでられるのに飽きた、なで方やなでる場所が悪かった場合、急にかみついてくることがあります。これを「愛撫誘発性攻撃行動」といいます。
ねこをなでている時に、しっぽを大きく揺らしたり、耳を倒して「イカ耳」になったりしたら、イライラしている証拠です。なでるのをやめ、落ち着くまでそっとしておいてあげましょう。
何らかの本能的、もしくは生理的欲求により「なにかに噛み付きたい時にたまたま飼い主の手があった」ために噛みついてくることもあります。主なケースとしては以下のようなものがあります。
ねこが興奮して噛みついてくる場合、狩猟本能が刺激されている可能性があります。ねこは動くものを見ると本能的に飛びつきたくなります。人の手や足は絶えず動くうえ、捕まえやすいサイズのため、獲物に見立ててじゃれつき、噛みついてしまうのです。
ねこが噛み付いてくるのをそのままにしてしまうと、「人の手や足は噛んで良いもの」と認識してしまいます。おもちゃで遊ぶなどして、狩猟本能を満足させてあげましょう。
生後3~7ヶ月の子ねこが飼い主の手を噛むようになった場合は、歯が生え変わっている可能性があります。ねこの口の中を見て犬歯が2本ずつ(乳歯と永久歯)並んで生えていたり、出血したりしていたら、生え変わりが始まっていると考えて良いでしょう。
生え変わりの時期は歯や歯ぐきがかゆくなるため、飼い主の手やおもちゃ、スリッパなどを噛むようになります。
子ねこが順調に成長している証拠ではありますが、自由に手を噛ませていると、そのまま噛み癖のあるねこになってしまうかもしれません。
おもちゃやねこ用の歯固めを与えて、人の手を噛まないようにしつけましょう。
去勢していないオスねこが噛んでくるのであれば、「ネックグリップ」をしているのかもしれません。ネックグリップとは、交尾をする際、オスねこがめすねこの首を噛んでおとなしくさせることをいいます。
本能による行動のため止めさせるのは困難ですが、去勢手術をすれば収まるケースがほとんどです。
ねこが舐めたり甘噛みしたりするのは愛情表現のひとつですが、あまりにしつこくされると困ってしまいます。やめさせるにはどうしたら良いでしょうか。以下に詳しくご紹介しましょう。
ねこの舌はざらざらしているため、同じところをずっと舐められていると痛くなったり、皮膚が荒れたりしてしまいます。
しかし、ねこが飼い主を舐めるのは愛情表現やお礼がほとんど。「せっかくしてくれているのに止めさせるのは悪いな」と思ってしまうかもしれません。
そこでおすすめなのが、楽しいことをして気をそらせることです。遊びやおやつなど、ねこの好きなことをしてあげれば、ねこの気を悪くさせることなく舐めるのをやめさせられます。
また、「お礼」としてなで返してあげたり、ブラッシングをしてあげたりするのも良い方法です。ねこにとってグルーミングのお返しをもらうのはごく自然なことなので、喜んで受け入れてくれるでしょう。
甘噛みは度を越すとケガの原因になります。また、「パスツレラ症」や「ねこ引っかき病」といった感染症を引き起こす恐れもあるため注意が必要です。
甘噛みをする原因が分かっている場合は、まず原因を取り除きましょう。例えば、歯がかゆい、もしくは、狩りや遊びの目的で手を噛んでくる場合は、噛んで遊べるおもちゃをあげます。ストレスがたまっているようであれば、一緒に遊んだり、ひとりでのんびりできる環境を作ってあげたりすると甘噛みの頻度を減らせるかもしれません。
要求があって噛んでくる場合、その都度要求に応えていると、「噛めば何でもしてくれる」と学習してしまいます。以下のような方法で、「噛んでも良いことはない」とねこに思わせましょう。
お母さんねこは、子ねこがふざけて強く噛みついてきた時に、叫び声を上げたり噛み付き返したりします。そうすることで子ねこは「さっきのは痛かったんだ」、「痛いことをすると怒られるんだ」と理解し、強く噛むのをやめるようになります。
それと同じように、甘噛みされた際に「痛い!」と大きな声を出すことで、加減を覚えさせるというわけです。
ねこに噛まれた時に手を引くと、ねこは「獲物が逃げた!」と感じて余計に興奮してしまいます。噛まれた時は逆にねこの口の中に手を押し込みましょう。予想外の行動を取られたねこはびっくりして、噛むのをやめるかもしれません。
ただし、強く押し込み過ぎるとねこも飼い主もケガをしてしまいますので、軽く押すようにしましょう。
甘噛みに飼い主が反応すると、ねこはおもしろがってまた噛んできます。このような場合は、無視が効果的です。ねこが落ち着いたら一緒に遊んだり、要求を満たしたりしてあげましょう。そうすることで、ねこは「噛んだら相手してもらえない」、「噛まなかったら良いことがある」と学習します。
愛猫が舐めてくる、もしくは甘噛みしてくるのは、ほとんどが愛情表現です。
しかし中には要求や不安、生理的欲求が原因となっているケースもあります。
放置しているとしつこく舐めたり噛んだりを繰り返し、癖になってしまうこともありますので、正しく原因をしって対処することが重要です。