
愛猫が自分の毛をなめたり噛んだりしてむしっている…気がついたら地肌が見えるくらい毛が薄くなり、驚いたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ねこが自分の毛をむしってしまうのは、ストレスや病気が原因である場合が多いです。原因を知り、正しく対処することで、ねこの健康とフワフワの毛を守れます。
今回の記事では、ねこが自分の毛をむしる原因や、対処法を解説します。愛猫の毛が薄くて悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。

ねこが毛をむしる主な原因は以下の4点です。
それぞれの原因について、詳しくお話していきましょう。
ねこが毛をむしる一つ目の理由として、退屈や空腹が挙げられます。ねこはこまめにグルーミング(毛づくろい)をおこなう動物です。時間や空腹を持てあましてグルーミングをし過ぎてしまい、結果として自分の毛をなめてむしってしまう場合があります。
また、抜けた毛を見て飼い主さんが驚いたり心配したりする様子を見て、「毛を抜けば構ってくれる」と学習するねこもいます。
そうなるとおなかがすいた時に、自分の毛をむしって飼い主にアピールするなど、困った癖がついてしまうこともあるようです。
ストレスや不安が原因となって、過剰にグルーミングをするケースも多いです。
ねこは気持ちを落ち着けたい時にグルーミングや爪とぎをします。これを「転移行動」といいます。
ストレスや不安の多い環境にいると、グルーミングの頻度が増えてしまい、毛が抜けて薄くなってしまうまで毛をなめてしまうことがあります。
ねこのストレスや不安の主な原因となるのが「環境の変化」です。特に以下のような変化はねこの負担になりやすいため注意が必要です。
1-3.皮膚のトラブル
皮膚にかゆみや痛みなどのトラブルがあると、ねこはなめて治そうとします。トラブルが起きている箇所ばかりを何度もなめるため、毛が薄くなってしまうのです。
ねこによく見られるのは、ノミやダニといった寄生虫、細菌、カビなどによる感染や、フードや花粉によるアレルギーです。いずれも強いかゆみを伴うため、なめて毛をむしってしまう原因になります。
ねこの皮膚病については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
皮膚病以外の病気が原因となるケースもあります。痛みや不快感があるため、気になってなめたりかんだりしているうちに、毛が抜けてしまいます。
ねこの過剰グルーミングの原因となる主な病気は以下の通りです。
| 病名 | 特徴 | 主な症状 | むしる・なめる箇所 |
| 腎臓病 | 腎機能が低下する病気。高齢のねこに多く見られる | ・多飲多尿
・食欲不振 ・体重減少 ・嘔吐 |
腰~背中回り |
| 尿路結石 | 尿に含まれる成分が結晶・結石化し、尿道や膀胱に詰まる。オスねこに多く見られる | ・血尿
・頻尿 ・排尿困難 ・排尿時の痛み |
下腹部・尿道付近 |
| 膀胱炎 | 膀胱の粘膜に炎症が起きる。細菌感染やストレスが主な原因 | ・血尿
・頻尿 ・排尿困難 ・排尿時の痛み |
下腹部 |
| 関節炎 | 関節が炎症を起こし、痛みを伴う。高齢のねこに生じやすい | ・活動の低下
・歩行異常 |
膝、肘の関節など |
| 糖尿病 | インスリンの分泌不足により血糖値が高い状態が続く | ・多飲多尿
・食欲亢進 ・体重の減少 ・元気消失 ・末端神経障害 |
足 |
| 甲状腺機能亢進症 | 代謝を調整するホルモンが出過ぎてしまう | ・過活動
・食欲旺盛なのにやせる ・嘔吐 ・下痢 |
不特定箇所 |
| 副腎皮質機能亢進症
(クッシング症候群) |
コルチゾール(副腎皮質から分泌されるホルモン)が過剰に分泌される | ・多飲多尿
・体重減少 ・脱毛 ・皮膚が薄くなる ※多くの場合、糖尿病を併発する |
不特定箇所 |
| 神経障害疼痛 | 神経の損傷や過敏化によって生じる慢性的な痛み | ・触られるのを痛がる
・過剰なグルーミング |
不特定箇所
(首や腰、しっぽのつけねなどに生じやすい) |
ねこが同じ場所の毛をなめたりむしったりしている時は、上記のような病気にかかっている恐れがあります。ねこの食欲や行動をよく観察して、他に症状が出ていないか確認しましょう。

ねこが毛をむしっている場合、上記でご紹介したような病気にかかっている危険性があります。原因を見極めるためには、ねこの様子をよく確認する必要があります。
ねこが毛をむしっている時のチェックポイントは以下の通りです。
2-1.どこの毛をむしっている?
ねこが毛をなめたりむしったりしている部位から、原因が分かる場合があります。
部位ごとに考えられる主な原因を表にまとめると以下のようになります。
| 背中から腰、しっぽのつけねにかけて | ・ノミアレルギー性皮膚炎
・ノミ・ダニによるかゆみ ・食物アレルギー |
| おなか、内股、足の内側 | ・ストレス
・真菌症 (下腹をなめる場合) ・腎臓病 ・尿路結石 ・膀胱炎 |
| 首~肩 | ・食物アレルギー
・ノミアレルギー性皮膚炎 ・ノミ・ダニによるかゆみ ・首輪の刺激 |
| 前足・後ろ足 | ・食物アレルギー
・ノミ・ダニによるかゆみ ・関節炎 ・爪が折れている ・ストレス |
| 全身 | ・ストレス
・内部疾患 ・糖尿病 ・甲状腺機能亢進症 |
※あくまで一般的な傾向をまとめたもので、病気を特定するものではありません。心配になる症状がある場合は獣医師にご相談ください。
ねこが毛をむしり始めた時期を把握することも重要です。同じタイミングで引っ越しや新しいねこのお迎えといった変化があった場合、その変化がストレスとなって毛をむしっている可能性があります。
また、決まった季節に毛むしりをするのであれば、花粉アレルギーやノミ・ダニが原因になっている場合があります。
毛むしりが見られるようになった時期や頻度・なめ方の変化などをメモしておくと、診察を受ける際に説明がスムーズです。
ねこが毛をなめたりむしったりすることで生じた脱毛部分が左右対称である場合は、以下のような原因が考えられます。
このように左右対称の脱毛は内分泌系の異常によるものもあるため、血液検査やアレルギーテスト、ホルモン検査などを行い、原因を特定することが必要です。
ねこの様子をよく見て、他に気になる点はないか確認しましょう。特に以下のような行動や症状が見られた場合は、病気が原因となっている可能性があります。
上記のような不調が出ている場合は、獣医師の診察を受けましょう。気になる症状と症状が見られ始めた時期をメモしておくと、状況を正確に伝えられます。

ねこが毛をむしり続けると、それが原因となりさらなる皮膚病を引き起こす危険性があります。また、毛を過剰に飲み込んでしまい、胃や腸に詰まることもあります。
ねこが毛をむしる時は、その原因を突き止め、適切なケアをしてあげましょう。
具体策を以下にご紹介します。
他に重篤な症状が出ていない場合は、ねこの体調を整えることで毛むしりが改善する可能性があります。
上記のような工夫をすることで、ノミやダニ、アレルギー皮膚炎が原因となっている毛むしりは改善できるでしょう。
しかし、毛むしりがひどい場合や、他に症状が出ている場合は獣医師に相談してケア方法についてアドバイスを受けることをお勧めします。
ストレスや退屈で毛を抜いている場合は、飼い主さんのケアで改善する可能性が高いです。
まずはストレスの原因を取り除きましょう。
同居しているねこや家族がストレスになっているのであれば、ねこが1匹で静かに過ごせる場所を用意します。
また、来客や留守番が多くてストレスになっている場合は、その要因を少しでも減らすよう工夫しましょう。
加えて、ねこが不安や退屈を感じないよう、遊びやスキンシップをしっかり取るようにすることも重要です。
穏やかな気持ちで過ごせるようになれば、グルーミングの頻度は自然と正常になるでしょう。
ねこが毛むしりや過剰なグルーミングをしても、止めてはいけません。ねこによっては「毛をむしると構ってもらえる」と学習し、より毛むしりがひどくなることもあるためです。
とくに退屈や空腹が原因になっている場合は、飼い主さんに「遊んでほしい」、「ごはんがほしい」という欲求を伝えるために自分の毛をむしってしまうことがあります。
その場でやめさせようとするより、毛むしりをする原因や他の症状をチェックして、根本から解決させることが重要です。
毛をむしる原因が分からない時や、他にも症状が出ている時は獣医師に相談しましょう。毛をむしる原因が内部疾患であった場合、飼い主さんだけでどのような病気になっているか判断することは困難です。病院で診察や検査を受けることで、病気をいち早く見つけられます。
獣医師に相談する際には、先ほどのチェックポイントをあらかじめメモにまとめておくと診察がスムーズです。毛をむしっていたり、なめていたりするところを動画に撮って見せるのもよい方法です。
ねこが毛をむしったり、過剰なグルーミングをしたりする原因と、その対策について解説しました。
ねこはとても繊細です。退屈や嫌な思いをしてストレスがたまると、自分の気持ちを落ち着けるために自分の毛をむしったり、なめて抜いてしまったりすることがあります。
まずはねこがどのような点にストレスを抱えているかを見極め、ストレスの原因を取り除いてあげることが大切です。
また、皮膚病や内部疾患が原因で毛むしりをしていることもあります。他に症状がないかチェックし、獣医師に相談することで、病気の早期発見、早期治療が可能になります。
毛むしりはねこからの「SOS」です。しっかり受け取って、適切なケアをしてあげましょう。