
名前を呼んだらニャーンと鳴いて、トコトコ歩いてくる…
愛猫が名前を覚えてくれたら、とても嬉しいですよね。しかし、ねこは犬のように呼んだら来るようにしつけることはできるのでしょうか。また、名前を覚えてもらうためにはどうしたらいいのでしょうか。
今回の記事では、ねこに名前を覚えてもらう方法や、ねこが覚えやすい名前をご紹介します。

そもそもねこは名前を覚えられるのでしょうか。
犬であれば、名前を呼んだら走ってきたり、「お手」や「待て」といった命令を聞いたりすることもできます。しかし、ねこは話しかけても知らん顔。そっぽを向いてしまうこともあります。
ですが、ねこが自分の名前を理解できる(名前を呼ばれた時に反応する)ことは研究によって明らかになっています。
上智大学の齋藤慈子准教授らの実験では、自分の名前を呼ばれたとき、20匹中13匹のねこが特に大きな反応を示しました。飼い主以外の人に呼ばれても反応し、同居する他のねこの名前ともしっかり区別できることも同実験から分かりました。
一方、ねこカフェのねこで同じ実験をすると、自分の名前に反応したのは9匹中3匹だけでした。ねこカフェでは、他の名前に反応してもおやつがもらえることがあるため、名前を覚える必要性が低いのかもしれません。
このことから、ねこは名前を「いいことが起きる音」として覚えてはいるものの、「これは自分の名前だ」という意識まではないと考えられています。
それでも、名前を聞き分けて反応できることには変わりありません。つまり、「ねこは自分の名前を覚えられる」と言っていいでしょう。

ねこはある程度言葉を聞き分けることはできますが、音や長さによっては聞き取りづらい言葉もあります。これからねこに名前をつける場合、ねこが聞き取りやすい音を意識して名づけてることで、名前を覚えてもらいやすくなるかもしれません。
ねこが覚えやすい名前と、覚えにくい名前について詳しくご紹介します。
名前は2~4文字程度の短いものにすると、ねこが覚えやすくなります。
たとえば『すずのすけ』や『アレクサンドラ』のような長い名前も素敵ですが、呼びやすい愛称にアレンジすることで、ねこも認識しやすくなるでしょう。
ねこが聞き取りやすい音、聞き取りにくい音を考慮して名前をつけると、覚えやすくなるかもしれません。
ねこが聞き取りやすい言葉の特徴は以下の通りです。
【1】出だしの音が高い
出だしの音が高いと、ねこは聞き取りやすいといわれています。
たとえば、母音が「い」や「え」で始まる言葉や、か行・さ行・た行・は行の言葉は高めに聞こえます。
例)キキ、サラ、リン
【2】濁音が入っている
ねこは濁音が聞き取りやすいと考えられています。
濁音は音が良く通るため、遠くにいるねこにも届きやすい点がメリットです。
例)ムギ、ダイチ、ビビ
【3】「あ」もしくは「ん」で終わる
「あ」や「ん」で終わる音は特徴的に聞こえ、ねこの注意を引きやすいといわれています。
例)ミア、レオン、ラン
ねこは名前を音とアクセントで覚えます。家族や同居しているねこと似た名前をつけると、ねこが混乱してしまう恐れがあります。
たとえば、「タマ」と「ナナ」、「きなこ」と「みなこ」といった名前は、聞き分けが難しく、混乱の原因になるため避けたほうがよいでしょう。
また、母音やアクセントが似ている名前も注意が必要です。
例としては「メイ」と「けいこ」、「モモ」と「ともみ」などが挙げられます。
ねこに名前を付ける際は、家族の名前や呼び方と似ていないかを声を出して確認しましょう。

ねこには「名前」という概念がないため、名前を覚えてもらうには意識的に呼びかける必要があります。ねこの名前を覚えてもらう方法を以下にご紹介します。
ねこに名前を覚えてもらうためには、ごはんや遊びなど「嬉しいこと」と関連づけることが重要です。おやつや遊びの時に名前を呼ぶことで、「この音を聞いた時に嬉しいことがある」とねこに覚えさせましょう。
すると、ねこは名前を呼ばれると嬉しそうに鳴いたり、飼い主さんを見つめたりするようになります。
トレーニングが難しい場合は、「おはよう」や「おやすみ」のあいさつの時に名前を呼ぶだけでも、ねこは名前を学習します。こまめにねこに話しかけて、自然に名前の音を耳に入れるようにしましょう。
逆に、叱る時は名前を呼ぶのは避けましょう。そうすると、「嫌な時に聞こえてくる音」と学習してしまいます。叱る時は「ダメ」、「ノー」など、専用の言葉を使いましょう。
おやつをあげて名前を覚えさせる際には、「0.5秒前ルール」を意識することが大切です。
おやつをねこに差し出し、ねこが口を近づけて食べようとする0.5秒前に名前を呼んであげましょう。
この0.5秒前というのは、ねこにごほうびを与えて特定の行動を促す「オペラント条件づけ」をするために最も効果が高いタイミングであるといわれています。
ねこの目を見て名前を呼ぶことも大切です。
目を合わせることは動物にとって重要な意味を持っているからです。犬はアイコンタクトで飼い主の命令を理解しますが、人に飼われているねこも、人の視線を見て状況を判断できます。
ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学における研究では、ねこが人の視線を頼りに隠された食べ物を探せることが明らかになっています。
飼い主さんに目を見られながら名前を呼ばれることで、ねこは「この音には特別な意味がある」と感じやすくなるでしょう。
ただし、目をじっと見つめることは敵意と受け取られる場合があるため、強くにらまないように注意しましょう。
家族で呼び方が異なるとねこは混乱します。たとえば、「ミルク」という名前のねこを、家族で「ミルク」、「ミーちゃん」、「ミルすけ」などと呼び分けると、ねこは自分の名前を覚えにくくなります。
ねこに名前を覚えてもらいたい時は、家族内で呼び方を統一させるようにしましょう。

名前を呼んだら「ニャーン」と返事をして近づいてくるのが理想ですが、ねこは気まぐれな動物です。呼ばれていると分かっていてもはっきりした返事をしないことがあります。
しかし、それでも大好きな飼い主さんに呼ばれたのが嬉しくて、ちょっとしたリアクションをすることもあります。
名前を呼ばれた時のねこの反応を以下にご紹介します。
ねこが鳴いて返事をするのは、名前を覚えて反応している証拠です。
なぜなら、ねこは本来ほとんど鳴かない動物であるためです。野生のねこが鳴くのは、子ねこの時、母ねこが子ねこを呼ぶ時、けんかや発情期の時などに限られます。
飼いねこがよく鳴くのは、飼い主さんに合わせて声をコミュニケーションの手段にしているためです。普段からよく話しかけられているねこは、鳴いて返事をすることが多いようです。
ただし、中には生まれつき無口なねこもいますので、愛猫が鳴いて返事をしなくても気にする必要はありません。
名前を呼んだら嬉しそうに近寄ってくるねこもいます。飼い主さんにとっても、とても嬉しく、ねこをより愛しく思う瞬間でしょう。
名前を呼んだら近づいてくるよう習慣づけられれば、迷子になった時にも役立ちます。
おやつを使って楽しみながらトレーニングを行うと、ねこもポジティブに学ぶことができ、絆も深まります。
名前を呼んでも鳴かず、近寄って来ない場合でも、こちらを見つめながら壁や家具にスリスリするならば、ねこはちゃんと呼ばれたことを理解していると考えてよいでしょう。
ねこが物にスリスリするのは主にマーキング(におい付け)のためですが、飼い主さんに構ってほしいという愛情表現も含まれます。
ストレートに甘えるのが苦手な、大人しいねこやクールなねこがよく行う動作です。飼い主さんから近づいて、優しくなでてあげましょう。
ねこのスリスリについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。
鳴かないし近づかないしスリスリもしない、ただ知らんぷり…そんな時も諦めてはいけません。ねこのしっぽをチェックしましょう、しっぽの先がパタン、パタンと動いている場合は、「聞いているよ」の合図です。遊んでいたり、うとうとしたりしていて返事をするのがちょっとめんどくさい時によく見られる仕草です。
しかし、返事をしてくれて嬉しいからといって何度も呼ぶと、しっぽの揺れが大きくなるかもしれません。しっぽを根元から大きく振るのは、ねこがイライラしている証拠です。あまりしつこく呼び過ぎないようにしましょう。
ねこに名前を覚えてもらう方法や、ねこが覚えやすい名づけのコツをご紹介しました。ねこは気まぐれな動物ですが、実は結構人の言うことを聞いています。自分の名前もちゃんと覚えて、呼ばれると返事をしたり、近づいてきたりするねこもいます。
しかし、はっきりした反応がなくてもがっかりする必要はありません。壁にスリスリしたり、しっぽをパタパタと振ったりしてちゃんと返事をしています。その仕草はねこの「聞こえているよ」、「大好きだよ」というメッセージなのです。