「ねこは死期が近づくといなくなる」というお話がありますが、本当にそうなのでしょうか。
かわいいねことお別れをするなんて考えたくないですが、その時が来たらしっかり見送ってあげたいものです。
今回の記事では、ねこの死ぬ直前の症状と、飼い主にできることについて解説します。
「ねこは死期が近づくといなくなる」という話を聞いたことがある方も多いと思います。
これは本当のことなのでしょうか。
ねこは病気やけがなどで体の調子が悪くなると、外敵に狙われない静かな場所に身を隠し、体力の回復を待ちます。
しかし、状態が悪化してそのまま亡くなってしまうこともあります。
その様子から、「ねこは死期が近づくといなくなる」といわれるようになったのです。
ねこが行方をくらますのは、安全な場所で体を回復させようという「生きる信念」からなされる行動なのです。
それでは、実際にねこに死期が近づくと、どのような行動を取るのでしょうか。
よく見られるサインをいくつかご紹介します。
ただし、以下に挙げた行動を取っている=死期が近いというわけではありません。
また、普段と変わらない状態のまま死を迎えるねこもいます。
ねこの状態を良く観察し、心配な場合は獣医師に相談するようにしましょう。
死期が近づくと、消化器官が衰えるため食欲がなくなります。
食が異常に細くなった、好物でも食べたがらないという場合は死期が近づいているかもしれません。
ねこが好きな、消化の良い食べ物を用意していつでも食べられるようにしてあげると良いでしょう。
また、状況によってはシリンジなどで給餌する必要があります。獣医師と相談しながら決めましょう。
ねこは体の調子が悪くなると姿を隠す、とご紹介しましたが、飼い猫は逆に飼い主に甘えることが多いといわれています。
飼われているねこはいつまでも子猫のような感覚でいるため、不安なときは親代わりである飼い主を頼りたくなるのかもしれません。
いつも以上に甘えている、甘え方がいつもと違うという場合は死期が近いのかもしれません。
できるだけそばにいて安心させてあげましょう。
死期が近づくと今まで出したことのないような大声で鳴くねこもいます。
理由は不明ですが、不安を感じている可能性があります。
また、認知症のねこも大声で鳴くことがありますので、いつもと鳴き方が違うと思ったら獣医師に相談すると良いでしょう。
死期が近づき、体調が悪くなると、トイレまで行くことができず粗相をしてしまうことがあります。
トイレに行こうとする気力がある場合は、普段ねこがいる場所の近くにトイレを置いて、使いやすいようにしてあげましょう。
ねこはもともと睡眠時間の長い動物ですが、年を取ったり、体調が悪かったりするとさらに良く眠るようになります。
ウトウトしている時間が長くなり、活動している時間が目に見えて少なくなったら、死期が近づいているというサインかもしれません。
高齢や体調不良といった原因で毛に栄養が行き届かなくなると、毛がパサパサして張りがなくなります。
さらに死期が近づくと、自分の体に注意を払わなくなり、毛づくろいもしなくなるため、一層毛づやが悪くなります。
死期を迎え、臓器が機能しにくくなると、体内に老廃物がたまるため悪臭がするようになります。
ねこの体や息から今までしなかったような臭い、匂いがしてきたら、死期が近いサインかもしれません。
亡くなる前には、目の様子も変わります。
目に力が入っていない、目の焦点が合わない、目やにがたくさん出てくるなどの症状が見られることもあります。
目が見えづらくて不安がっている場合は、声をかけたりなでてあげたりして安心させてあげましょう。
先ほどご紹介したとおり、ねこは体調が悪いと静かな場所で回復を待つという行動を取ります。
人が入らない部屋や家具の下、お風呂などにいたがるようになるねこもいます。
バイタルサイン(生命兆候)とは、生き物が生きていることを示す指標のことで、心拍、呼吸、体温などが挙げられます。
死期が近づくと、バイタルサインに以下のような変化が起こります。
専門的な機器がなくても、ねこの胸に手を当てて心拍を数える、肉球をにぎってみて冷たくないか確認するなどして、バイタルサインの変化を把握することができます。
異常が見られた場合は獣医師に相談しましょう。
ねこが死ぬ直前の症状を見せたら、悲しくて混乱してしまう飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
しかし、ねこが少しでも快適な環境の中で、安心して旅立てるようにしてあげるのが飼い主の最後の仕事です。
ねこの最期の時間をより良いものにするために、飼い主がすべきことをご紹介します。
上記でご紹介したようなサインがでたからといって、死期が近いとは限りません。
病院で処置を受けることで持ち直す場合もあります。
特に、シニアのねこがなりやすい慢性腎臓病や下部尿路症、糖尿病、がんなどは治療によって症状を改善できる可能性が十分にあります。
まずは動物病院に連れて行き、獣医師に相談しましょう。
また、本当に死期を迎えている場合も、必要なケアについて獣医師からアドバイスをもらうことで、ねこの苦痛や不安を和らげ、快適に過ごす助けになります。
死期を迎えると、ねこは一日の多くを同じ場所で過ごすようになります。
ねこが落ち着いて快適に過ごせるよう、柔らかく暖かな寝床を用意しましょう。
普段からベッドを使っている場合は、同じもので構いません。おそそうをするようであれば、交換しやすいタオルやペットシーツを敷き、頻繁に交換して清潔な状態を保ちましょう。
ねこの様子を観察して、体のケアをしてあげましょう。
体が汚れている場合は負担にならない程度に優しく拭き、脱水症状が見られるようであれば水を飲ませたり、必要があれば病院で点滴をしてもらったりすることも必要です。
また、ねこが痛みを感じているかどうかもチェックしましょう。
ねこは我慢強い動物で、痛みを隠す傾向にあります。
体を触ったり、呼吸や行動を注意深く観察したりして、ねこが苦痛を感じていないかどうかを見極め、必要に応じて診察を受けるようにしましょう。
死期を迎えると、体の自由がきかなくなってきます。
ねこが食事や排泄をしたいのにうまくできないときは、介助をしてあげましょう。
また、甘えてくる場合はなるべくそばにいて、思い切り甘えさせてあげましょう。
また、中には死期を迎えると、ひとりでいたがるようになるねこもいます。
最後になって自分を頼ってくれないというのは寂しいですが、ねこの気持ちを尊重してあげるのも飼い主の愛情です。
ねこが死期を迎えた際、一番大切なことはその死を受け入れることです。
愛するものと別れる時、泣いたり動揺したりするのは当然のことであり、決して悪いことではありません。
しかし、悲しみの中にあっても愛猫とのお別れが近いことを受け入れ、旅立ちが穏やかなものになるよう手を尽くしてあげてください。
それができるのは、長い間家族としてねこと一緒に過ごしてきた飼い主だけです。
ねこの死期のサインと、飼い主ができることについてご紹介しました。
大切なねこと別れる時がくるなんて考えるだけでも辛いですが、生き物はいつか必ず死を迎えます。
ねこの様子をしっかりチェックし、死期のサインが見られたら、獣医師と相談しながら適切なケアをしてあげてください。
そうすれば、ねこは大好きな飼い主の愛情を感じながら、安らかに最期の時を迎えることができるでしょう。