シャム猫(Siamese)を見ると、その第一印象は高貴であると感じる方が多いのではないでしょうか。
それもそのはず、古来は限られた人たちしか、シャム猫と一緒に住むことが許されなかった育ちの良いねこなのです。
また、性格はわがままでいたずらっ子というなんとも愛らしい性格をしています。
そんなシャム猫の魅力をご紹介します。
元々は一部の由緒正しい家でしか一緒に生活することができなかったシャム猫ですが、一体どのようにして世界中に広がっていったのでしょうか。
世界史の得意な方であれば、シャム猫の「シャム」と聞くとピンと来る方もいらっしゃるかもしれませんね。
今やメジャーとなったシャム猫ですが、一体どのような歴史を持っているのかに注目していきましょう。
シャム猫が確認できる最も古い文献は現在のタイにあります。
1300年代にタイでメジャーだったねここそ、シャム猫です。
当時タイにあった王国はシャム王国だったため、ここからシャム猫の名前がとられたということになります。
当時のタイでメジャーだったと言っても、一部の限られた家柄の家庭でしか一緒に暮らせなかったのがシャム猫です。
具体的には、王族や寺院の血筋でなければ、シャム猫と住むことがかないませんでした。
そのため高貴なねことして扱われていたことは間違いありません。
タイでは仏教が主流であり、寺院は王族にも並ぶほどの地位を誇っていたので、シャム猫と暮らすためには王族と同程度の家出身でなければならなかったということがわかります。
1300年代のタイでは、3種類の猫種が存在していました。
コラットの原型となるシ・サワット、バーミーズの原型となるスパラック、そしてシャム猫です。
コラットもバーミーズも、今となっては人気がある猫種です。
しかし、王朝の名前をそのままつけられたシャム猫はそれだけ特別だったということがわかります。
ねこ好きの方はご存知かもしれませんが、現在のコラットとバーミーズはシャム猫の血も混ざっているのです。
このことからわかるのが、シャム猫が純血とされて高級だと考えられていたことがわかります。
シャム猫が世界に広まったのは1884年のことです。
当時バンコクのイギリス領事館に勤めていたゴードンに対して、タイから特別にシャム猫が贈呈されました。
帰国したゴードンはシャム猫と暮らしていましたが、翌年開催されたキャットショーに参加することになりました。
そこでシャム猫は数々の賞を受賞し、一躍有名になったのです。
これがきっかけで、世界各国にシャム猫の知名度が広まり、大人気となったのです。
元々由緒正しい家でしか暮らすことの許されなかったシャム猫が瞬く間に大人気となったのは、それだけシャム猫の風貌が魅力的であったということですね。
高温多湿の地域で暮らしてきたシャム猫は、他のねこにはあまり見られない毛の生え方をしています。
通常ねこの毛は二層に分かれていますが、シャム猫はトップコートのみです。
そのため、他のねこより毛が少なく、お風呂なども不要でブラッシングケアがメインとなります。
しかし、毛が一層しかないことによって寒さに弱いことも気をつけなければなりません。
冬は暖房をつけっぱなしにするなど、寒さ対策が必要なこともシャム猫と暮らすためには欠かせない注意点です。
外見は気高さを感じさせるシャム猫ですが、一緒に暮らすとなると気になるのは性格です。
そこで、シャム猫がどんな性格をしていてどのように付き合うことが信頼関係を構築するために良いのかをご紹介していきます。
もしシャム猫の外見に魅了され、自分のライフスタイルやねことの接し方の理想に近いようでしたらシャム猫をお迎えするしかありませんね。
シャム猫はおしゃべりねことあだ名がつくくらいよく鳴きます。
ねこが鳴く際には遊んで欲しかったりご飯が欲しかったり、何かを訴えているときに鳴くことが多いです。
つまり、シャム猫は自分の意志を人間になんとか伝えようとして鳴きます。
また、ねこの中でもシャム猫はわがままの部類に含まれます。
シャム猫がよく鳴く理由は、それだけ自分の欲求が強いということがわかります。
猫種によってはあまり鳴かないねこもいますが、もしねこによく話しかけたりすることが多い方にはシャム猫はお勧めかもしれません。
シャム猫と暮らす中で、まるで会話しているように生活することを想像すると、より生活も楽しくなりそうですね。
スラっとした外見のイメージ通り、シャム猫は活発的に行動する姿がよく見られます。
活発的なねこはあまり運動できない環境だとストレスを感じてしまうケースが多く見られるため注意が必要です。
一定の広い場所を確保したり、上下運動が行えるようにキャットタワーなどの高低差のついた部屋にするなどの工夫を行うことで解消されます。
また、頻繁に遊んであげることが最も良い運動不足解消につながります。
ねこが気に入るおもちゃを探すことはもちろんですが、遊び方も工夫することによってねことのスキンシップを取ることができるのです。
このことが信頼関係にもつながるので、シャム猫と仲良く暮らすためには欠かせない生活習慣と言えます。
活発で自分の主張は激しいシャム猫ですが、実は警戒心が強いねこです。
初めての場所に慣れるには時間がかかったり、来客があると出てこないケースを多く見受けられます。
この時に、無理に表に出そうとすると嫌がり、信頼関係が崩れる可能性が高いのでそっとしておきましょう。
無理に出すと、暴れて人間が怪我をしてしまったり、結果的にどこかに隠れてしまいますので良いことはありません。
ねこ自身が納得できる安全確認をしながら徐々に表に出てきます。
しかしながら、安心できるとはんだんするまでの時間はねこによって様々ですので気を長くして待っていてください。
場所、人に徐々に慣れてくるといつものようにおしゃべりを始めます。しゃべりはじめて活発に動く様子を確認できたら、慣れたと判断して問題ありません。
ねこに限らず、動物と一緒に生活するにあたって最も気をつけたいことは病気です。
ねこは自分の不調を訴えることはあまりありませんので、人間が気づいて対処する必要があります。
人間と同様にねこの病気も早期発見、早期治療が大切です。そのため、病気の異変に気づいて治療を行うことで、ねこの寿命も長くなります。
シャム猫も純血であるが故に、遺伝性の病気が発症する可能性が高くなります。
発症率の高い病気をご紹介しますので、異変を見つけたらすぐに動物病院で診察を受けてください。
進行性網膜萎縮症とは、眼球にある網膜が徐々に小さくなってしまう病気です。
視界が狭くなっていき、病気が進行すると失明してしまう恐ろしい病気です。
ねこは人間ほど視覚に頼って生活していないため、失明してもある程度の生活を送ることができます。
音や匂い、空気の流れをひげで察知するなど、人間と比較すると視覚が占める空間把握能力は小さいです。
しかし、目の前のものを見ることができないのは少なからず生活の質を下げてしまいます。
一緒に暮らしている中で、つまづくことが多い場合はこの病気が疑われますので動物病院を受診しましょう。
同じく網膜に関わる病気ですが、進行性網膜変性症は網膜が徐々に薄くなり、視力が低下する病気です。
視力が低下して最も支障が出るのは、暗闇での行動です。
本来ねこは瞳孔も大きく、暗闇でもある程度の視力を保っていますが、進行性網膜変性症を患うと、物が見えなくなってしまいます。
視力が低下すると遊ばなくなったり、暗闇で家具や物にぶつかったりすることがあるので、その書状が見られた際に疑うべき病気です。
通常は活発なシャム猫なので、変化はすぐに気づくことができると思います。
病気が進行してしまう前に、しっかりと治療を受けられるように私たちが気にしながら生活する必要があります。
恵まれた環境で育った過去があるからこそ、わがままで活発なシャム猫と言われて納得するかもしれません。
ただし、一緒に暮らしているとどこか人間と暮らしているような感覚に陥ってしまう魅力があるのもシャム猫の特徴です。
一緒に暮らすと、シャム猫でしか味わえない思い出を作れることは間違いありません。