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ねこの病気
難治性口内炎はねこ特有の病気!症状や原因、治療法について解説

難治性口内炎はねこ特有の病気!症状や原因、治療法について解説

難治性口内炎は、その名のとおり治りにくく、慢性化しやすい口内炎です。ねこ特有の病気で、口の中に強い痛みを感じるため、ごはんが食べられなくなることもあります。

愛猫をこの病気から守るためには、どんなことに気をつければよいのでしょうか。

この記事では、難治性口内炎の症状や原因、治療法について詳しく解説します。

もくじ

1.難治性口内炎とは
2.難治性口内炎のサイン
3.難治性口内炎の原因
∟3-1.感染症
∟3-2.歯周病
∟3-3.腎臓病
∟3-4.腎臓病
4.難治性口内炎の治療法
∟4-1.内科的治療
∟4-2.外科的治療
5.難治性口内炎の予防法
∟5-1.ワクチンの接種
∟5-2.定期健診
∟5-3.デンタルケア
まとめ

1.難治性口内炎とは

難治性口内炎とは、ねこの口内炎の中でも特に重症で、広い範囲に症状が及び、長期的な治療が必要となる病気です。発生率には報告ごとに差がありますが、約5%ともいわれており、決して珍しい病気ではありません。

初期には、口の中の粘膜が赤く腫れたり充血したりすることから始まり、進行すると症状が口腔内全体に広がります。さらに悪化すると、舌や喉の奥にまで影響が及び、非常に強い痛みを伴うようになります。

その痛みは「燃えるよう」と表現されるほど激しく、食事ができなくなるケースもあります。結果として、体力の低下や脱水を引き起こし、最悪の場合は命を落としてしまうこともある、非常に深刻な病気です。

2.難治性口内炎のサイン

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難治性口内炎のねこには、口の中の症状だけでなく、食事や行動にもさまざまなサインが見られます。以下に代表的な例をご紹介します。

【ごはんを食べるときの様子】
・くちゃくちゃと口を動かしながら食べる
・痛そうに頭を振る
・前足で口をこする
・食欲がなくなる

【口の中の状態】
・よだれが多くなる
・よだれに血が混じる
・口の中から腐敗臭のようなにおいがする
・口の粘膜が真っ赤に腫れている
・舌も赤く腫れている

【その他の変化】
・毛づくろいをしなくなる
・体重が減る
・遊びやおやつに興味を示さなくなる

ねこの口内炎は、初期の段階であれば薬による治療で改善することもあります。
日頃から食事中の様子や口の中の状態を観察することで、早期発見・早期治療につながります。

3.難治性口内炎の原因

難治性口内炎の原因は、まだはっきりとはわかっていませんが、次のような要因が関係していると考えられています。また、複数の要因が重なって発症するケースも少なくありません。

  • 他の病気の影響
  • 免疫反応の異常(過剰な免疫反応)
  • 免疫力の低下
  • 栄養バランスの乱れ
  • ウイルスや細菌の感染
  • 毒物や異物の摂取

このような背景から、「難治性口内炎は、栄養状態や体調が悪く、免疫力が低下した野良ねこに多い病気」と思われることがあります。
ですが、実は健康そうな飼いねこにも見られることがあるため、油断は禁物です。

次の章では、難治性口内炎の原因となる具体的な病気について、詳しくご紹介します。


3-1.感染症

「猫ヘルペスウイルス」や「猫カリシウイルス」など、ウイルス性の感染症が原因で口内炎が引き起こされることがあります。
また、感染症にかかることで免疫力が低下し、口内炎の発症リスクが高まることもあります。


3-2.歯周病

歯周病は、歯のまわりにたまった歯垢や歯石に含まれる細菌によって、歯ぐきに炎症が起こる病気です。
進行すると歯が抜けてしまうこともあり、さらに悪化すると口腔内の環境が悪くなって難治性口内炎の引き金になることがあります。。
ねこは人間と比べて虫歯にはなりにくい一方で、歯周病にはかかりやすい傾向があるため、特に注意が必要です。


3-3.腎臓病

腎臓病は、ねこが特にかかりやすい病気のひとつです。これは、ねこのおしっこの特徴と関係しています。

ねこは、もともと乾燥地帯に暮らしていた動物です。そのため、水分を無駄にしないように、できるだけ濃縮された少量のおしっこを排泄する体のしくみを持っています。
このしくみは腎臓に大きな負担がかかるため、腎臓病を発症しやすくなるといわれています。

腎臓病になると、本来は尿として排出されるはずの老廃物や毒素がうまく処理されず、血液中にたまりやすくなります。これらの物質が体に悪影響を及ぼし、口内炎の原因になる可能性があると考えられているのです。

 

ねこの腎臓病については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:ねこの腎臓はなぜ悪くなる

3-4.糖尿病

糖尿病も、口内炎の原因となる病気のひとつです。

糖尿病になると唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥しやすくなります。その結果、口の中の細菌バランスが崩れ、歯周病菌が増殖しやすい環境になります。

このような状態が続くと、歯ぐきや口腔粘膜に腫れやただれが生じることがあり、炎症が慢性化することで難治性口内炎へと進行してしまう可能性があります。

 

ねこの糖尿病については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:ねこの糖尿病は命に関わる病気!

4.難治性口内炎の治療

難治性口内炎の治療法は、大きく分けて2つあります。
ひとつは、飲み薬などを用いる「内科的治療」、もうひとつは、口腔内の手術を行う「外科的治療」です。

具体的な治療法は以下のとおりです。


4-1.内科的治療

内科的治療は基本的に対処療法として行われます。そのため治療中は症状がよくなるものの、治療をやめると再び悪化してしまうことも少なくありません。特に重症化した場合は、外科的治療と組み合わせる必要があります。

治療の種類 内容 特徴
抗生剤 口腔内の細菌を抑制し、二次感染を防ぐ ・主に補助的役割。単独では根本治療にならないことが多い
・耐性菌のリスクがあるため、長期使用には注意
ステロイド 炎症を強く抑える目的で投与する(経口薬、注射など) ・比較的安価で、即効性があることが多い
・長期使用により肝臓への負荷、糖尿病、免疫抑制、副作用リスクがある
インターフェロン 抗炎症作用、抗菌作用、免疫の補強作用により炎症を抑える。投与方法は薬と注射がある ・副作用が比較的少ないとされる

・劇的な効果は期待できないため、他の治療法と組み合わせる必要がある

鎮痛剤 痛みを軽減するために使用する 痛みコントロールができることで食欲改善やQOL向上につながる
漢方薬 東洋医学的アプローチで体質改善を図る ・科学的エビデンスは限定的
・補助療法として使われることが多い
脂肪酸サプリメント 抗炎症作用を補助する目的で用いられる ・劇的な効果は期待できないため、他の治療法と組み合わせる必要がある
歯石除去 歯石や歯垢を除去する ・難治性口内炎の治療法として高い効果がある

・全身麻酔が必要でねこの体への負担が大きい

・費用が高額になることがある(例:5~10万円程度)

※処方される薬や治療法は動物病院によって異なります。詳しくは獣医師にご相談ください。

※治療の効果や副作用には、ねこの年齢・体質・病気の進行具合などによって個体差があります。


4-2.外科的治療

投薬や歯石除去といった内科的治療で症状がよくならない場合は、外科的治療として抜歯手術が選択されることもあります。
歯を抜くことで、口腔内の細菌の温床となる歯周組織を減らすことができ、炎症の軽減が期待できます。

難治性口内炎の外科的治療では、ねこの症状に応じて「全臼歯抜歯」または「全顎抜歯」のいずれかを選ぶことが一般的です。

 

治療法 内容 治療効果
全臼歯抜歯 奥歯(臼歯)を全て抜く 60~70%
全顎抜歯 全ての歯を抜く 70~95%

なお、飼いねこの場合、歯がなくても生活に大きな支障はありません。

ねこの歯は、もともと獲物をとらえたり、大きな肉をかみ切ったりするためのものですが、飼いねこはそのような必要がないため、歯がなくても問題なくごはんを食べることができます。

実際に、抜歯後のねこが以前より元気になり、食欲が戻るケースも多く見られます。

ただし、抜歯は全身麻酔を伴う外科手術であるため、心臓・腎臓などに持病がある場合や高齢ねこではリスクを伴うこともある点は注意が必要です。

また、抜歯後は一時的に痛みや腫れが出ることがあり、術後の痛み止めや抗生剤、経過観察が欠かせません。

抜歯の適応やリスクについては、ねこの全身状態をふまえて獣医師とよく相談することが大切です。

5.難治性口内炎の予防法

難治性口内炎は、原因がはっきりと解明されておらず、完全な予防が難しい病気です。

しかし、口内炎を引き起こす要因となる病気や環境をできるだけ防ぐことで、発症リスクを下げることは可能です。

以下に、難治性口内炎の予防につながる主な対策をご紹介します。


5-1.ワクチンの接種

先述のとおり、感染症が原因で難治性口内炎を引き起こすことがあります。また、感染症によって免疫力が低下することも、口内炎のリスクを高める一因になります。

感染症の予防には、ワクチン接種が効果的です。ワクチンの種類によって予防できる病気は異なります。

ワクチンの選択や接種スケジュールは、ねこの体調や生活環境によって異なります。どのワクチンが適切かは、獣医師と相談して決めるようにしましょう。

 

ワクチンの種類や接種時の注意点については以下の記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:絶対に必要!ねこの予防接種

5-2.定期健診

定期健診を受けることで、難治性口内炎をはじめ、さまざまな病気からねこを守ることができます。

全身の健康チェックや血液検査などによって、異常や病気を早期に発見できる可能性が高まります。

特に口腔ケアを専門とする獣医師であれば、口内炎のサインを見逃さず、より早い段階で適切な対応をしてくれるでしょう。

また、日常の健康チェックやケア方法についてもアドバイスを受けられるのが、定期健診の大きなメリットです。

健診の頻度は、ねこの年齢や体調によって異なりますが、若いうちは年1回、シニア期に入ったら年2回程度を目安にするとよいでしょう。詳細な頻度は、かかりつけの動物病院で相談して決めるのがおすすめです。


5-3.デンタルケア

難治性口内炎を防ぐためには、日ごろのデンタルケアも非常に重要です。

特に、歯周病を予防することで、口内炎のリスクを大きく下げることができます。

ただし、ねこは基本的に口の中を触られるのを嫌がる動物です。そのため、子ねこのうちから歯ブラシに慣れさせておくと、成長してからもスムーズに歯磨きができ、口腔内の健康維持につながります。

どうしても歯磨きが難しい場合は、歯磨き効果のあるフードやおやつ、口腔環境を整えるサプリメントなどを活用するのも一つの方法です。

どの方法が愛猫に合っているかは、性格や体質によっても異なります。無理に歯磨きを続けるよりも、獣医師と相談しながら、その子に合ったケア方法を見つけてあげましょう。

 

ねこのデンタルケアについては以下の記事でも詳しくご紹介しています。

関連記事:ねこの歯はケアした方がいいの?ねこの歯磨きについて

まとめ

本記事では、ねこの難治性口内炎について解説しました。

「たかが口内炎」と思われることもありますが、ねこの場合は炎症の範囲や重症度が非常に深刻で、命にかかわることもあります。

こうしたリスクを正しく理解したうえで、日ごろの健康チェックやデンタルケア、定期的な健診を行い、ねこの健康を守っていくことが大切です。

痛みなく、ごはんをおいしく食べられることは、ねこにとって何よりの幸せです。

その幸せを守るためにも、難治性口内炎を予防し、早期発見・早期治療を心がけましょう。


   
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