愛猫を病院に連れて行くとき、暴れて困る……そんなお悩みを持つ飼い主さんも多いのではないでしょうか。
ねこの病院嫌いを和らげるためには、普段から準備をしておくことが重要です。
今回の記事では、ねこが病院を嫌がる理由やその対処方法、ねこを病院に連れて行くときの注意点をご紹介します。
病院嫌いのねこは多く、車やキャリーバッグに入れた時、病院での診療を受ける時、怖がったり暴れたりする場合もあります。
では、なぜねこは病院に苦手意識を持つのでしょうか。
その主な理由をご紹介します。
ねこは縄張り意識が強く、自分が安心できる場所にいたがります。
そのため車やキャリーバッグなど、慣れていない所に入れられ、縄張りから離されることに恐怖を覚えます。
それに加え、ねこは五感が優れているため、車やキャリーバッグに入れられた時のにおいや音、振動を不快に感じることがあります。
ねこは記憶力も優れた動物です。
病院に行って知らない人に囲まれて怖かった、治療が痛かった、病院のにおいや音が気に入らないなど、病院に嫌な記憶があると、病院に連れて行かれるのを嫌がるようになります。
ねこが病気やケガをすると、飼い主は悲しんだりパニックになったりします。
ねこはその飼い主の変化を敏感に感じ取り、不安になります。
その不安と病院が結びつき、病院自体に恐怖を覚えるようになることもあります。
上記でご紹介したとおり、ねこは五感が鋭く、記憶力も良い動物です。
一度でも病院への移動や診療で不快な体験をすると、病院嫌いを克服するのは難しくなります。
しかし、飼い主の努力で病院嫌いを防止したり、ある程度和らげたりすることは可能です。
そのための対策をいくつかご紹介します。
まずはねこを病院に連れて行きやすくするため、車やキャリーバッグに慣らしておきましょう。
キャリーバッグは普段からねこの生活スペースに置いておき、自由に調べたり入ったりできるようにしておきます。
ねこがキャリーバッグに触れているうち、ねこ自身のにおいがつくため、見慣れた安心できる場所になります。
キャリーバッグに慣れたら、次は車に挑戦しましょう。
まずは停車している車にねこを入れたキャリーバッグを乗せ、車のにおいや雰囲気を覚えさせます。
それから少しずつ遠出ができるように練習すると、ねこに大きな負担をかけることなく車に慣らすことができます。
病気やケガなど不調な時にだけ病院へ行っていると「病院に行く=痛いことをされる」と学習してしまいます。
定期健診や体のケアなど、元気なうちから定期的に病院に行き、病院の雰囲気や医者、看護師に慣らしておきましょう。
病院から帰ってきたらおやつをあげたり、遊んであげたりすると「病院に行く=嬉しいことがある」と覚えてくれるため、病院への恐怖が和らぎます。
先ほどご紹介したとおり、ねこは飼い主の変化を敏感に感じ取ります。
心配のあまり泣いたり大きな声を出したりしてしまうと、ねこはより病院を怖がるようになります。
普段どおりの落ち着いた態度で接することで、ねこも落ち着いて診療を受けることができます。
たとえ病院嫌いを克服できても、やはりねこにとって縄張りである家を離れ、家族ではない人に見られるのは苦痛なものです。
ねこの負担を少しでも軽くするために、移動や診療時には以下の点に注意しましょう。
ねこを病院へ連れて行くときは、必ず専用のキャリーバッグに入れましょう。
抱っこしたり、人用のバッグに入れたりすると脱走の原因になります。
キャリーバッグにねこを入れる時は、まず洗濯ネットに入れるのがおすすめです。
ねこが暴れにくくなるため、ケガやキャリーバッグの破損を防げます。
ねこを病院に連れていく時には、以下のようなものを持って行くと病院での順番待ちや診療の際に役立ちます。
【1】ねこのにおいのついた毛布やタオル
病院の待合室で他の犬やねこを見てパニックになるねこもいます。
毛布やタオルでキャリーバッグを覆うと、視界が遮られるため落ち着きます。
ねこが普段使っているものであれば、自分のにおいがするためさらに安心するでしょう。
【2】ねこが出したもの
ねこが嘔吐や下痢をしている場合は、その出したものを一緒に持っていくと病気を特定できる場合があります。
吐しゃ物や便を扱う時は必ず手袋を使い、密閉できる袋や容器に入れるなどして、感染症には十分に気をつけてください。
【3】病状や治療の過程が分かるもの
病状を記したメモやこれまで受けた診察の結果、処方された薬の記録など、症状や治療の過程が分かるものを持っていくと診療の助けになります
診療を受ける時には病院のルールや獣医師の指示をきちんと守るようにしましょう。
そうすることで診療がスムーズに進み、ねこの負担を軽減できます。診療を受ける時の注意点をいくつかご紹介します。
診察室に呼ばれると、早くねこを見せないといけないと思ってすぐに洗濯ネットやバッグから出す飼い主もいます。
しかし、ねこからするといきなり知らない部屋に放り出されることになりますので、余計に警戒心を抱かせてしまいます。
また、症状によっては体の一部分だけ洗濯ネットから出して診察できる場合もあります。
獣医師の指示があるまでは、ねこを外に出さないようにしましょう。
ねこは見られることにストレスを感じる動物です。特に獣医師や看護師など、見慣れない人が並ぶ診察室は恐怖でしかありません。
獣医師の方にねこの顔を向けさせようとする飼い主もいますが、獣医師の指示がない限りは不要です。
むしろ、診察に支障がないように気をつけつつ、自分がねこの視界に入るようにした方が良いでしょう。
大好きな飼い主がそばにいると分かるとねこも落ち着きます。
ねこの診察中、心配のあまり大きな声を出したり、ねこに絶えず声をかけ続けたりしてしまうかもしれません。
しかし、飼い主のそうした行動はねこを不安にさせます。
普段と変わらない態度でねこに接し、必要に応じて、穏やかな声でねこに話しかけて安心させてあげてください。
ねこを病院へ連れて行くときの注意点について解説しました。
病院に行くのを嫌がるねこは多いですが、それは裏返すと「おうちや飼い主が大好き」という気持ちの表れでもあります。
大好きだからこそ、普段と違う場所や違う様子の飼い主を怖がるのです。
大好きな飼い主が落ち着いていれば、ねこも安心して病院に行くことができます。
その結果診療がスムーズに進み、ねこの負担も軽減できます。
ねこが安心して病院に行けるよう、普段からしっかり準備しておきましょう。