ねこと一緒に暮らしている方に猫種を尋ねると、「うちは雑種だよ」と言われることがあります。
そもそも、猫種の中で雑種とは一体どんなねこなのでしょう。
また、「ミックスのねこと一緒に暮らしているよ」と言われることもあります。
雑種とミックスの違いは一体なんなのでしょうか。また、通常の猫種との違いは何かをご紹介します。
まず、雑種とミックス、さらには純血と雑種やミックスについての定義をご紹介します。
実は雑種とミックスについての定義は非常に曖昧です。
ただ、注意しなければならないのは「ミックスのねこと暮らしている」という方に、雑種と言うと不機嫌になる方もいらっしゃるので注意が必要です。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
その秘密は、その人が持っているミックス猫についての概念が大きなウエイトを占めています。
純血とミックスや雑種との違いは明確で、猫種として認められていれば純血、認められていなければ雑種となります。
世界にはねこに関する様々な団体があり、TICA、CFA、ICC、ACCのいずれかの団体が猫種として認めると純血として名乗ることができるようになります。
そのため、純血は紛れもない純血です。
ただし、純血も元々はミックスや雑種と変わらない歴史を持っています。
どこかの地方に住み着いていたねこだったり、純血を掛け合わせてその風貌を確立させていったねこが認められて純血となるので、元を辿れば同じです。
ねこ自体を見ると純血も他のねこも違いはありません。
純血と言っても、人間が勝手に決めていることなのです。
次にミックスと雑種に関して見ていきましょう。
現在、ミックスと呼ばれる猫種は「純血と他の猫種との子ども」だったり、「意図的に交配しているねこ」という定義があります。
純血と他の猫種とのこどもの場合は「ハーフねこ」と呼ばれ、ミックスと言われます。
また、意図的に交配しているケースの例をご紹介すると「アメリカンショートヘアの長毛種は絶対に可愛いので、アメリカンショートヘアとペルシャ猫を交配させる」といった感じです。
ちなみに、この例はすでにエキゾチックショートヘアとして認められていますが、このような形で「〇〇と××のハーフ」というのがミックスです。
そこからさらに様々な猫種の血が混ざると、雑種ということになります。
生まれてくるねこに関しては、雑種の場合どんなねこが生まれてくるかは全く予想できません。
これは、遺伝の法則により3:1で優勢遺伝子、劣勢遺伝子が現れるのに加えて、隔世遺伝などの存在もありますのでどんな遺伝子を受け継いでくるのか予想ができないのです。
ミックスとなれば、親は純血なのである程度どんな遺伝子を持って生まれてくるかは予測できます。
そのため、ブリーダーなどのねこの繁殖に携わる人たちは、どうしても純血やミックスに注目してしまいがちです。
なんだか純血やミックスに関しては、どうしても雑種より優位に立っている気がしてくるかもしれません。
もちろん、ねことしての違いはありませんが、「雑種」という響きはあまりよく聞こえません。
しかし、雑種が優れている点もあります。
どんな猫種の血を受け継いでいるのかにもよるので一概には言えませんが、雑種の優れた点に注目していきます。
雑種は病気にかかりにくかったり、病気に強いという話を聞くことがあります。
実は、純血と比較しても雑種は病気に強いと言えるのです。
純血のねこも個体差はありますが、同じ種類同士のねこを交配すると遺伝子が近くなってしまい、体のどこかに弱い部分が出てしまうことがあります。
さらに、純血のブリーダーでもねこの体調面を考慮して他の猫種と交配させることもあります。
例えば、足の短いことが特徴のマンチカンのブリーダーなどが特徴です。
足の短いマンチカンが生まれる確率は低く、多くは足の長いマンチカンが生まれます。
足の短いマンチカン同士を交配できれば足の短いマンチカンが生まれる可能性が高まりますが、流産の可能性が非常に高いため実現しない交配なのです。
また、純血の猫は遺伝性の病気も引き継いでしまうため、それを回避するために他の猫種との交配を行うブリーダーもいます。
このように、遺伝的な病気が低いことは雑種の優れている点と言えます。
野良猫などをよく見ると、毛の長さや体つきに一定の特徴があることに気づくかもしれません。
日本では古くから、「日本猫」という猫種が存在していました。
古くは平安時代の絵にも登場するほどの日本猫ですが、日本猫の定義は「古くから日本に住んでいる猫」という定義です。
日本にブリーダーがいたわけではなく、放し飼い状態だったにも関わらず、日本猫の毛の長さや体格はどのねこも同じような特徴があります。
これは、ねこ自身がその土地の環境に合わせて最も住みやすい身体的特徴を身につけてきたからです。
日本以外でも、現在猫種として登録されているサイベリアンは長い毛を蓄え、さらには水の中の獲物を捕らえられるように水を怖がらなくなりました。
現在サイベリアンは猫種として登録されていますが、その前まではシベリアに住んでいた野良猫がサイベリアンだったのです。
このように環境に合わせた身体的特徴を持っているのは、初めは様々な特徴を持った猫種がいたかもしれないにもかかわらず、環境に合った遺伝子が優勢として残っていったからに他なりません。
様々な血を受け継いだ雑種は、環境に合わせて進化していると言っても過言ではないでしょう。
最も価値のある雑種と言われるのが三毛猫です。
日本で三毛猫と言えば立派な猫種に思われるかもしれませんが、猫種として認定を受けているわけではありません。
白、茶、黒の毛を纏った三毛猫ですが、両親を三毛猫に持つ子が三毛猫になるわけではありません。
様々な先祖の遺伝子が毛に現れ、一代限りで生まれるのが三毛猫です。
ごく稀に野良猫の中に三毛猫を見たこともあるかもしれませんが、そのほとんどが女の子であることはご存知でしょうか。
三毛猫として生まれた中で、男の子として生まれる確率はなんと3万分の1なのです。
実は、男の子の三毛猫は染色体異常が起こった時にしか生まれてないという、とても低確率で生まれてきます。
ペットショップに持ち込むと、100万円の値段がつけられたり1,000万円で売られていたということもテレビで取り上げられていたこともありました。
価格でねこの価値は決まるわけではありませんが、雑種として純血を凌ぐケースもあるのです。
病気を避けるために交配されたミックス猫や雑種であっても、生き物である以上病気にかかることはあります。
そこで、もしねこと一緒に暮らしている場合は病気の苦しみから救ってあげられるのは人間だけであるという意識を持ってください。
遺伝的な病気もミックス猫や雑種だからといってかからないわけではありませんが、ねこならではの病気に気をつけることも重要です。
そこで、日頃から注意すべきねこがかかりやすい病気をご紹介します。
ねこの病気で最も気をつけなければいけない病気は尿に関わる病気です。
膀胱炎や尿路結石、腎臓病にかかるねこが最も多いと言えます。
歳をとると発症率が飛躍的に向上し、どのねこもかかる病気だと言えます。
尿に血液が混じったり、トイレで悲鳴のような鳴き声が聞こえる、必要以上にお腹を触ると起こる等が見られた場合、動物病院を受診してください。
年齢によっては完治することも難しいかもしれませんが、辛さを少しでも取り除いてあげましょう。
また、日頃から水を多く飲む機会を用意することも大切となりますので、意識して環境づくりを整えましょう。
尿関連の病気以外にも、糖尿病や腸炎、心筋症など多くの病気があります。
さらには結膜炎や猫風邪など、ウイルス性の病気もあり、命にかかわらないまでも生活の質を落としてしまう病気にも注意が必要です。
大切なのは、ねこに異変があればすぐに動物病院を受診することです。
嫌がるねこもいるかもしれませんが、病気が治ることは見込めませんので辛い思いをさせてしまったり、場合によっては命の危険すらあります。
ねこの生活、ねこの命を守るのも人間の役目であることを意識して過ごしましょう。
現在純血と呼ばれている猫種であっても元を辿ればミックスや雑種です。
そのため、もし一緒に暮らすねこを探しているときに気になった場合、猫種に関わらず是非家にお迎えしてあげてください。
猫種の好みは人それぞれかもしれませんが、ねことの出会いは人との出会いと同じです。
ピンときたねこが、その人にとって最も相性の良いねこであることは間違いありません!