ねこ好きさんはご存じと思いますが、ねこは高齢になると腎臓病を発症していまいます。
腎臓病は、ねこの宿命と言っても過言ではありません。
腎臓は一度機能が損なわれると回復しないので、長生きすればするほど、苦しむねこは少なくありません。
大切なねこには、もちろん長生きしてほしい。
そのためにはまずねこの腎臓について知る必要があります。
ねこの腎臓も、人間同様に尿を作る身体の一部になります。
他にも機能はありますが、その腎臓が上手く働かなくなることを腎臓病と言います。
ねこの腎臓病は2種類あり、慢性腎臓病(慢性腎不全)と急性腎臓病(急性腎不全)があります。
まずは慢性腎不全です。
慢性というだけあって長期にわたって続く病になります。
症状は、水分を大量に摂取して色素の薄い尿が出たり、嘔吐や体力低下です。
そして急性腎臓病は急性というだけあって、一気に体調が悪化します。
素早く行動に移さなければ手遅れになりますので、すぐに病院に連れていきましょう。
症状は意識混濁、嘔吐や呼吸が荒くなるなどです。
慢性腎不全の場合、出血・脱水・循環器系の異常などによって腎臓への血液供給が上手くいかなくなると発症するようです。
急性腎不全の場合は細菌感染・腎毒性がある食べ物の摂取が原因です。
さらに事故や病気で上手く尿を出すことができなくなると発症することがあります。
ねこは元々砂漠など水の少ない地域の動物だったためなかなか水分摂取ができなかった動物です。
そのため尿の排出は、あまりありませんでした。
しかし現在の、水分がしっかり摂取できる生活だと腎臓へ負担がかかり、それが原因ではないかと考えられています。
全体的に7歳以上になると腎臓病を発症する確率が上がります。
その中でも特に発症しやすい品種もあります。
それはシャム・アビシニアン・ペルシャ・露シアンブルーなどです。
遺伝的な要因でかかることもあるので、これらの品種は発症の確率が高いようです。
実に、他のねこの2倍の発症率になります。
そのためこれらの品種の、ねこを飼っている場合は特に注意してください。
ねこにとって、ユリは猛毒です。
ユリはとても綺麗なので、家に飾っている方も多いのではないでしょうか?
ユリ科の植物はよく見かけることが多く、チューリップやスイセンもユリ科の植物になります。
言われないとユリの仲間だとは分からないので気を付けなければいけません。
ではユリ中毒になるとどうなるのでしょうか?
ユリ中毒は数時間で発症し、まずは元気がなくなり、嘔吐や食欲不振といった症状が出ます。
そして腎障害を引き起こします。
さらにその腎障害が重症化すると慢性腎不全になり、最悪死に至ります。
しかしすぐにユリを摂取した可能性があると考え病院に行けば、軽い症状で済むことがほとんどです。
もしかして、という段階でも、病院に連れて行った下さい。
もしものことがなければ安心できますので、もしも行かずに最悪の事態になっていたら後悔しかありません。
ただしすでに腎不全を患っている場合は重症化しやすいため、治る確率が下がります。
なのでユリ科の植物を、ねこの目に触れる場所に置かないことが大切です。
腎臓病の予防は、大切なねこを守るために重要な課題です。
そこで気になるのが、腎臓病の予防方法はあるのでしょうか?
残念ながら、みなさんが知りたい予防法、これをやれば絶対に大丈夫!という方法はありません。
人間と違って、ねこは規則正しい生活を送っていても、腎臓病は発症してしまいます。
しかも腎臓は悪くなってしまうと元通りになることはないのです。
急性腎不全の場合はすぐに死に至ることもありますが、適切な治療を受ければ回復することもあります。
ただし慢性腎不全は少しずつ悪くなっていくので、治ることはありません。
しかし、早くに病気が見つかれば進行を遅らせることはできるようです。
なので定期的に健診に行くことが一番の予防方法になります。
最近、ねこの腎不全の治療薬が、研究開発されていると話題になっていることはご存じでしょうか。
研究費不足のため、一時は研究が中断しましたが、クラウドファンディングで2億円以上の集まり再開されました。
ねこは腎臓の機能の問題で、老猫と呼ばれるようになる年齢になると、腎不全になってしまうのですが、若いうちから治療薬を接種することで、腎臓病になりづらくなるそうです。
また、腎臓の働きを助ける成分が入ったキャットフードも販売が開始され、今後は注射なども開発が予定されています。
この、ねこの宿命ともいえる腎不全が予防できるようになれば、今後、ねこの平均寿命はさらに延びていくと考えられます。
基本的な治療は食餌療法です。
これは治すというよりも脱水症状などを緩和するための食事管理になります。
少しでも楽になるような治療です。
ただしねこは、食事を突然変えたりするのを嫌がる動物です。
なので好みに合った腎臓病専用の食事を探してあげないといけません。
そして重要なのは食事の量が減らないようにすることです。
嘔吐や脱水の症状も出てくるので、なるべく食べてもらわないと、ますます体重減少や体力低下を招いてしまいます。
そして、慢性腎不全は治らないため、進行を遅らせるための薬を一生使い続けます。
嫌がるねこに薬を与えるのは、大変で辛いですが、どうにかして薬を飲んでもらわないといけません。
点滴は、腎臓病になると体重減少・脱水症状の傾向にあるのでそれを緩和するためのものです。
人間の場合、腎臓病の治療は透析や移植があります。
ではねこには同じ治療はできないのでしょうか?
答えはできます。
しかし人間ほど簡単にこの治療をしよう、とは言えないのです。
まずはお金の問題があります。
そして病院探しにドナーの問題です。
人間にも同様の問題は出てきますが、人間のほうが治療できる確率は高いです。
人間と違って病院の数も少ないので探すのは困難ですし、病院が見つかってもドナーがいないと移植はできない。
そして治療のお金、動物は人間の保険が使えるわけではないため大変高額になります。
今ではペット保険がありますが、もし入っていなければなかなか治療を受けさせるのは厳しいです。
治療は難しい上に治ることもありません。
しかし現在、研究のおかげで腎臓病の治療薬ができる希望が見えてきています。
その治療薬は、ねこが腎臓病になる確率を下げてくれる薬になります。
ねこの腎臓病は、高齢になると発症することがほとんどです。
そのため、若い頃からその薬を使い、腎臓病を発症する確率はぐんと下げることが期待されています。
また、その治療薬を作る過程で、ねこが他の動物よりも腎臓病になりやすい原因も分かってきているようです。
この夢のような治療薬が世に出てきたら、ねこも飼い主ももっと安心して暮らせるようになりますね。
慢性腎不全になり病気が進行してしまうと自力で生活することが難しくなります。
さらに嘔吐・食欲不振・体重減少など身体全体に症状が現れてくるため見ているだけでこちらも苦しくなってきますが、大切なねこのために飼い主が介護をするしかありません。
ねこの介護も、人間の介護とそう変わりません。
定期的に病院に行って治療を受けたり、食事や汚物の処理などの世話をします。
いつもと変わらないように思いますが、病院に行く頻度も増えます。
さらに食事も腎臓病専用の食事に切り替えたり水分を多く摂らせたりなど工夫が大事です。
見ているだけで辛いのに介護までとなると苦しいですが、やはり最期まで看ないわけにはいきません。
ねこは大切な家族ですから。
ねこが腎臓病になったら、まずは病院に行って適切な治療を受けましょう。
自分でなんとかできる病気ではありません。
病院に行かなければ最悪死に至ることもありますが、急性であれば治療を受ければ治る見込みもあります。
何かあれば迷わずに病院に行く、何もなくても定期的に病院に行くということを、心掛けてください。
大切な家族を守るために、大切な命を守るために自分にできることを行っていきましょう。