ふさふさの毛並みにポイントカラーを持つヒマラヤン(Himalayan)は、まるでぬいぐるみのような可愛さを持った猫種です。
しかし「ペルシャ猫と何が違うの?」という方がいるほど、ヒマラヤンの人気のわりにはあまり知られていない猫種です。
そこで今回は、ヒマラヤンとはいったいどんなねこなのかご紹介します。
ヒマラヤンはシャム猫とペルシャ猫のミックスとして、1920年から繁殖が行われてきたある程度は歴史のあるねこなのです。
しかし、ヒマラヤンという名前よりもペルシャ猫の一種として考えられることも多くあります。
歴史の浅いねこであれば、まだ地位を確立していないことによりそう呼ばれることもありますが、なぜヒマラヤンほど古いねこがそう呼ばれるのでしょうか。
それには、ヒマラヤンが誕生した歴史に原因があったのです。
ヒマラヤンが誕生した経緯は、「ペルシャ猫にポイントカラーがほしい」という理由で研究が始まったのです。
また、研究された地域はイギリスとアメリカ別々で行われました。
イギリスでは1920年代に交配が始まり、1955年にGCCFにてヒマラヤンが公認されました。
アメリカで交配が始まったのはイギリスより少し遅れて1930年代です。
そして、アメリカでも1957年にCFAとTICAからヒマラヤンとして公認を受けるのですが、ここで「ペルシャの一部として」という公認のされ方をしてしまいます。
現在はこの考えが先行してしまい、ペルシャ猫のポイントカラーを持った猫種がヒマラヤンであるという考えがメジャーとなっています。
ちなみに、ヒマラヤンという名前の由来はウサギのヒマラヤンという種類に似ていることから命名されました。
同じように丸みを帯びていて、ポイントカラーを持っていることからそのままヒマラヤンと名付けられたのです。
ヒマラヤン最大の特徴はポイントカラーです。
この柄はシャム猫の色合いが強く出ており、顔、足先、尾に濃い色が出ていることが特徴です。
毛の濃淡がはっきり出ているヒマラヤンは、まるで靴下を履いているような見た目ということもあり人気の一つとなっています。
また、顔の毛色が濃いことでペルシャ猫とはまた違った顔立ちに見えることも特徴であり、ペルシャ猫よりもヒマラヤンと暮らしたいという根強いファンも存在します。
一言でヒマラヤンと言っても、詳しくみていくと2種類の顔立ちがあります。
1つはエクストリームフェイスと呼ばれる、鼻が潰れている顔立ち。もう1つは鼻が高いドールフェイスです。
どちらもヒマラヤンとして認定されていますが、日本に多くいるのは鼻の高いドールフェイス。
鼻が高いと凛とした印象を受けますが、ヒマラヤンのような体の大きなねこに関しては鼻が低いことも愛らしく感じます。
個体差によっても顔つきはもちろん変わりますが、もしヒマラヤンと巡り合った際には、どちらの顔つきなのか注意してみてみるのも楽しみの一つになるかもしれませんね。
ヒマラヤンと暮らすことになった場合、どう接すれば良い関係性が構築できるのか気になるところですね。
ねこは猫種によって性格が全く違うため、接し方を間違えてしまうと仲良く慣れないケースもあることから、ねこの性格を知ることはとても重要なことなのです。
ペルシャ猫とシャム猫の血を受け継いでいるヒマラヤンは一体どのような性格をしているのでしょうか。
ヒマラヤンと暮らす際に注意しておきたいことと併せてご紹介していきます。
ヒマラヤンの性格は物静かでのんびりとしています。
あまり鳴くこともないので、集合住宅などで暮らす方にとっては一緒に暮らしやすい猫種です。
ねこと言えば警戒心が強く人見知りが激しいイメージかもしれませんが、ヒマラヤンは来客があってもそばに行くほど社交性があります。
人間に対して恐怖心もないため、仲良くなる際には激しく遊ぶというよりも、よってきた際にたくさん撫でてあげることで信頼関係を構築できると言えます。
ヒマラヤンを一目見た時に最も印象に残るのは、ペルシャ猫ゆずりのフサフサとした毛だと思います。
長毛種に属すヒマラヤンですが、さらに毛の量も多いことが特徴です。そのため、ブラッシングはこまめに行わなければなりません。
ブラッシングを怠ってしまうと部屋中毛だらけになってしまうという心配もありますし、ねこにとってもあまり気持ちの良いものではありません。
抜けた毛が体に止まってしまうと皮膚トラブルが起こることもありますし、せっかくの綺麗な毛並みが傷んでしまいます。
ブラッシングを行うことはコミュニケーションの一環にもなりますので、習慣として必ず行いましょう。
丸々とした体格のヒマラヤンは、高いところに登るのが苦手です。
個体差はあるものの、あまり遊ぶことが得意ではなく、体を動かさせることに一苦労することもあります。
ねこにとって高いところに登るのは全身運動になるため、キャットタワーなど設置すると自ら運動をしてくれる猫種も多いのですが、ヒマラヤンはそうはいきません。
しかし、家で暮らしていると肥満の原因にもなるため、1日のうち少しで構いませんのでお気に入りのおもちゃで遊んであげましょう。
肥満は人間同様に万病の元になりますので、日頃の運動を工夫して行うことが大切です。
ヒマラヤンと仲良くなるための努力をする以上に大切なことは、体調を管理してあげることです。
ねこが病気にかかると、自然治癒で治ることはほとんどありません。
動物病院で正しい処方を受けることによって、体調は改善していきます。
また、大病を患うこともありますが、人間のように体調不良を訴えてくるわけではありません。
病気の苦しみを軽減させてあげられるのも、人間しかできないことなのです。
ねこ特有の病気に注意しなければならないのはもちろんですが、ヒマラヤンがかかりやすい病気について知り、日頃から対策を行う必要もあります。
では、ヒマラヤンがかかりやすい病気についてご紹介していきます。
ヒマラヤンはその長い毛から、熱中症に注意しなければなりません。
熱中症も人間と同様に、命に関わる病気であることと、人間の注意により回避できる病気なので気にしなければなりません。
夏に出かける際はエアコンを切らない、車の中に置いておかないなど、人間の子どもと同様の対策を行えば回避できます。
また、夏場に水を切らさないことと、万が一様子がおかしいようであればすぐに動物病院へ連れていきましょう。
ヒマラヤンを含め長毛種に起こりやすい病気として、流涙症があります。
先天的、後天的どちらのケースもありますが、涙が瞳にたまり、外に流れ出してしまう病気です。
目の下の毛が黒ずんでくると流涙症のサインですので、動物病院を受診しましょう。
涙が目やにとなり、細菌が溜まってしまうことで他の目の病気を併発してしまう可能性もあるため、早期治療が大切になります。
処方されるのは目薬が多く、点眼することに苦労するかもしれませんが定期的に点眼するとみるみる改善していくことがほとんどです。
ヒマラヤンの遺伝性の病気としては、多発性嚢胞腎が挙げられます。
腎臓に嚢胞ができてしまい、進行すると腎不全を起こしてしまう危険な病気です。
遺伝性の病気なので予防法はなく、両親のどちらかが多発性嚢胞腎の遺伝子を持っている場合、50%の確率で受け継がれてしまう病気です。
いつもと比較して過剰に水を飲んだり、おしっこの回数が増えた場合は一度動物病院を受診する必要があります。
根治することは難しいですが、治療により進行を遅らせることは可能なため、少しでも健康で一緒に暮らすためにも、必ず受診しましょう。
物静かなねこと一緒に暮らしたい方にとって、ヒマラヤンはとてもおすすめできる猫種です。
ペルシャ猫の一部とされていますが、ポイントカラーがあるだけで大きく印象が変わりますね。
一緒に暮らすにあたり、注意点さえ守ればとても幸せな時間を共有できるヒマラヤンですので、気になった方は是非実際にヒマラヤンを見てみましょう。