ふわふわ、サラサラの毛、暖かくていい匂いのする体…ねことのスキンシップは幸せがいっぱいです。しかし、スキンシップが苦手なねこにとっては、飼い主さんとの触れ合いがストレスになっていることもあります。
飼い主さんとねこが一緒に、幸せなスキンシップタイムを過ごすためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
今回の記事では、ねこが喜ぶスキンシップ方法や注意点についてお話しします。
ねことのスキンシップタイムは、飼い主さんにもねこにもたくさんのメリットがあります。
主なメリットを以下にご紹介します。
ねこにとって、相手をなめる(グルーミングする)のは愛情表現の一つです。舐めることでお互いのにおいをつけあえるため、安心感や満足感を得られます。
飼い主さんがなでることで、ねこは仲間にグルーミングされたように心が休まります。
その結果、飼い主さんのことがもっと好きになり、信頼関係が築かれるでしょう。
ねこと触れ合うことで、飼い主さんもねこもリラックスできます。その主な理由を2つご紹介します。
【1】スキンシップによって幸せホルモンが分泌されるから
ねこをなでると、「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。オキシトシンは心身の痛みを癒す効果がある、「幸せホルモン」の一種です。
なお、ねこも好きな人とスキンシップをとるとオキシトシンが分泌されます。触れ合うことで飼い主さんもねこも癒しあっているのです。
【2】ゴロゴロ音で癒されるから
ねこがのどをゴロゴロ鳴らす音を聞くと「セロトニン」というホルモンの分泌が促進されます。セロトニンも精神の安定や睡眠の質の向上に関わる「幸せホルモン」です。
また、ねこ自身もゴロゴロ音により骨折などのケガが治りやすいといわれています。
ねこの癒し効果については以下の記事でも詳しくご紹介しています。
ねこに直接触れることで、体の異常をいち早く発見できる点もスキンシップのメリットです。
ねこは体の不調を隠す習性があり、苦痛を訴えることはほとんどありません。飼い主さんが毎日ねこの健康チェックをして、ケガや病気を見つける必要があります。
スキンシップにより、痛みのある箇所や腫れ、しこり、傷に気づくことで、早期治療が可能になり、ねこの健康が守られます。
ねことのスキンシップにはたくさんのメリットがありますが、タイミングを間違えると、かえってねこのストレスになってしまう恐れがあります。ねことスキンシップをとるのに良いタイミングと悪いタイミングを以下にご紹介します。
スキンシップをとるのに最もよいタイミングは、ねこが甘えてきた時です。スリスリとすり寄ってきたり、ごろんと転がってお腹を見せてきたりしたら、「構って」の合図です。
ねこのおねだりに応えてあげることで、より信頼関係が深まります。ねこが甘えてきたら、すかさずスキンシップを取りましょう。
また、ねこがのんびりリラックスしている時もスキンシップチャンスです。ねこに優しく話しかけながら、そっとなでてあげましょう。
ねこが甘える時に取る行動については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
ねこが何らかの行動をしている時は、無理に構うと「邪魔された」と感じて機嫌が悪くなります。
食事やトイレをしている時や、おもちゃ遊びに夢中になっている時は構わないようにしましょう。
また、リラックス時のスキンシップはよいのですが、ぐっすり寝ている時はむやみに触れないようにしましょう。ねこをびっくりさせてしまいます。
機嫌の悪い時もスキンシップNGです。耳を下げていたり、しっぽを大きく振っていたりする時はご機嫌斜めです。そんな時に構うと、怒ったねこに攻撃されてしまう恐れがありますので、そっとしておきましょう。
たとえ甘えたいモードのねこでも、スキンシップの方法を間違うと怒ったり怖がったりしてしまいます。
ねこと楽しいスキンシップタイムを過ごすためには、ねこの様子や好みに合わせて触れ合うことが重要です。
特に気をつけたいポイントを以下にご紹介します。
ねこにとって、人間はとても大きな生き物です。なでようとしてパッと手を出すと、驚かせてしまう場合があるため注意が必要です。
なでる前に以下のような合図をすると、ねこも落ち着きます。そのうち合図を覚えて、スキンシップを楽しみにしてくれるようになるでしょう。
せっかくねこがスキンシップを受け入れてくれても、なで方が悪いと嫌がられてしまいます。
基本的に、ねこはワシャワシャと強く触れるのは好みません。
指を立てると触り方が強くなってしまうので、指の腹や手の甲を使って優しく、ゆっくり触りましょう。
ねこが目を細めてうっとりしていたら喜んでいる証拠です。
また、ねこによっては痒い所を強めにこすったり、お尻を強くポンポンたたいたりすると喜ぶ場合もあります。どの部分をどう触れると喜ぶのか、ねこの反応を見ながら探っていきましょう。
さっきまで喜んでなでられていたのに、いきなり怒ってかみついてきた…そんな経験のある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
これは「愛撫誘発性攻撃行動」と呼ばれる現象です。その原因は明確には解明されていませんが、考えられている説をいくつかご紹介します。
スキンシップを取っている時、ねこが以下のような行動を取ったらなでるのをやめましょう。
愛猫とのスキンシップタイムを長く楽しみたいところですが、ねこ自身が嫌がっていては意味がありません。ねこがスキンシップをやめたがっているときは、ねこの気持ちを尊重して深追いしないようにしましょう。
ねこが慣れておらず、直接手で触れるのを嫌がる、引っかいたり噛みついたりしてくる危険があるという場合は、グッズを使うとよいでしょう。
身近で便利なグッズが「歯ブラシ」です。歯ブラシは長い柄がついているため、攻撃してくるねこともスキンシップを取れます。歯ブラシの触り心地はざらざらしており、ねこの舌に似ているため、比較的ねこが受け入れやすい点もメリットです。
他にも、棒の先に布を巻いたものでなでる、ミトンやグルーミンググローブをはめてなでるなどさまざまな方法があります。ねこが気持ちよく、飼い主さんは安全にスキンシップできるよう、適したグッズを探してみると良いでしょう。
最後に、ねこが触られて喜ぶとされる場所をご紹介します。
※ねこによって好みは異なりますので、ねこの反応を見ながら触るようにしてください。
ねこが特に触られて喜ぶのは顔の周辺です。特に耳の根本、頬、あご、額などをなでるとうっとりと目を閉じ、「もっと」というように手にすり寄ってくることが多いです。
このようにねこが顔をなでられて喜ぶのは、ねこにとって最も「グルーミングされて当たり前」の場所だからです。
顔は自分で舐めることができないため、親子や友達同士で舐め合うのが一般的です。顔を舐めることは、仲良し同士のあいさつであり、愛情表現でもあります。
さらに、顔はフェロモンが分泌される場所でもあります。ねこがあごやほほを物や人にすりつけるのは、自分のにおいをつけてマーキングするためです。顔周辺をなでられることで、人の手に自分の匂いを移せるため、猫は安心感を覚えると考えられています。
ねこは背中、特に背骨に沿った中心部分をなでられるのも好みます。背中の中心は自分ではグルーミングがしづらい部分であるためだと考えられています。
首の後ろから背中、しっぽのつけねまで、毛並みに沿って優しくなでてあげましょう。
しかし、横腹や腰は触らないように注意しましょう。多くのねこは、お腹や腰を触られるのを嫌がります。大事な内臓に近い、デリケートな部分だからです。
お尻回りは触られて喜ぶねこと嫌がるねこに大きく分かれる部分です。フェロモンの分泌腺があることと、神経が集まっていることから大変敏感になっているため、触る際には注意が必要です。
まずは指先で優しく押したり、手のひらでさすったりして反応を見てみましょう。ねこがお尻を上げたら、「気持ちいい」の合図です。トントンと強めにたたくとさらに喜ぶねこもいます。
反応がなかったり、嫌がったりする場合は無理に触らないようにしましょう。
ねこのお尻についてもっと知りたい方は、以下の記事も併せてお読みください。
ねことスキンシップをとるメリットや取り方について解説しました。かわいい愛猫との触れ合いは飼い主さんにとって至福の時間です。そして、それはねこも同じ。大好きな飼い主さんに優しく触られると気持ちよく、安心します。
しかし、ねこはとてもデリケートで気分屋です。触れるタイミングや触れ方を誤ると、機嫌が悪くなってしまいます。
スキンシップはお互いの気持ちがそろって初めて成り立つものです。ねこの反応を見ながら、ねこが喜ぶようななで方を探しましょう。