ショートヘアと名前が付くねこと言えば、アメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘアを思い浮かべるかもしれません。
その先祖に当たるとも言われているヨーロピアンショートヘアをご存知でしょうか。
今回は、ショートヘアの起源とも言えるヨーロピアンショートヘアの魅力についてご紹介いたします。
ねこの名前は生まれた土地の名前が付けられることが多いので、ヨーロピアンショートヘアと聞くとヨーロッパ出身であることは予測がつくと思います。
しかし、アメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘア以上に古い歴史を持っていることを忘れてはいけません。
そこで、まずはヨーロピアンショートヘアがどのように世界中に伝わったかをご紹介していきます。
最も古いヨーロピアンショートヘアが存在していた記録は、ローマ帝国時代まで遡ります。
2000年以上も昔から生息しており、言わばヨーロッパ中で生活していた土着ねこがヨーロピアンショートヘアです。
しかしながら、起源はスウェーデンとされているヨーロピアンショートヘアは、その体の強さもあってヨーロッパ全土に生息範囲を広めていったのです。
ねこと言えばネズミ捕りが得意なイメージがありますが、ヨーロピアンショートヘアも運動能力が高く、よくネズミを捕っていたので農場では重宝されていました。
また別名「セルティックショートヘア」と呼ばれることもあります。
セルティックとはケルトの別名であり、紀元前後にはヨーロッパ全土にも広がっていたことから由来し、この名前で呼ばれることもあるのです。
ヨーロピアンショートヘアはその昔、ブリティッシュショートヘアの一種だと考えられていました。
しかし、本部がスイスにあるFIFeは、スカンディナヴィア半島で生まれたヨーロピアンショートヘアの純血を保存しようとして猫種の認定に動きます。
顔つきを見てもブリティッシュショートヘアとは少し異なりますので、外見の判別もつきやすかったのです。
このままではブリティッシュショートヘアとの混血が進んでしまい、純血のヨーロピアンショートヘアがいなくなることを恐れたのが最大の理由。
そこで、1980年代前半には個別のヨーロピアンショートヘアとして認められていますが、イギリスを拠点とするGCGFでは個別種として認めていないのが現状です。
現在猫種としてはどのだんたいからも非公認とされていますが、ヨーロピアンショートヘアの中に「ヨーロピアン・アルビノ」と呼ばれる種類がいます。
アルビノとは、先天的に色素が少ない、もしくは全くない状態で生まれてきた子を指します。
アルビノはねこに限らずほとんどの生物に起こりうる現象です。
遺伝子疾患と考えられることもあり、様々な面で注意しなければならない面があるために、猫種としては登録されていないようです。
猫種に登録されると、その猫種を増やそうとするブリーダーが出現しますので、弱い猫種を増やすというのは倫理的に問題があるのではないかと考えられることが理由としてあります。
古くからヨーロッパに住んでいるヨーロピアンショートヘアに惚れ込んでしまうと、一緒に住むことを考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ヨーロピアンショートヘアの性格は他の猫種と違って一筋縄ではいかないことも事実です。
そこで、ヨーロピアンショートヘアとうまく暮らしていくためにはどのようなことに注意すべきなのでしょうか。
掴みどころがなく、非常に難しい面もありますが大まかにどのような性格かを知り、一緒に暮らすねこに合わせていくように心がけましょう。
ヨーロピアンショートヘアの性格は、基本的に温厚であり遊びが大好きという傾向にあります。
遊びが大好きという点は、古来からネズミを捕まえたり自然界で生きてきたので筋肉量も多いことから疑う余地はありませんが、問題は温厚という性格です。
人間以外にも、犬でも仲良く暮らせるヨーロピアンショートヘアですが、スイッチが入ってしまうとケンカを始めることがあります。
これは、縄張り意識が強いため、間に触ることがあるとケンカをしてしまうのです。
また、嫉妬深い面も抱えています。
多頭飼いなどで複数のねこがいる場合、留守番中は仲良く寝ていますが人間が帰ってくると我先にと寄ってきて、構われない場合はいじけることもあるので注意が必要です。
そんな気難しいヨーロピアンショートヘアですが、なんだか気分屋で人間味もあることから、一緒に暮らすとハマってしまう方が続出してしまう傾向にあります。
ヨーロピアンショートヘアと暮らすために是非とも行いたいことが遊ぶことです。
長く野生で暮らしていたねこも多く、その血が濃く残っているため、体を動かすことが大好きです。
遊びに関しては目の色を変えて激しく遊びますし、遊んで欲しいときには催促もします。
遊ぶことによってストレス解消にもなるので、とことん遊んであげると楽しさから信頼関係も構築できるため、1日のうち少しでも遊んであげましょう。
遊ぶのが大好きな一面もありながら、甘えるのも大好きなヨーロピアンショートヘアです。
ソファーに座っていると横に座って撫でて欲しい催促をしたり、膝に乗ってくることもあります。
これは信頼関係がどの程度構築できているのかにもよりますが、他の猫種以上に撫でさせてくれる猫種でもあるのです。
遊びと甘えさせることによって信頼関係が構築できるヨーロピアンショートヘアは、一緒に暮らしているとねこの姿をした人間ではないかと錯覚してしまうくらい仲良くなれます。
ねことたくさん接したい方にとっては、とてもおすすめの猫種だと言えます。
猫種の中でも、平均寿命で見るとヨーロピアンショートヘアは長生きする傾向にあります。
これは、人間による意図的な交配ではなく自然界で生きてきたねこ特有の寿命の長さでもあり、さらにはヨーロッパで長きに渡り生き残ってきた強さでもあります。
遺伝性の病気はあまりないのですが、これはヨーロピアンショートヘアが長い歴史の中で強い遺伝子を残してきたという理由があるためです。
しかし、ねこ特有の病気には気をつけなければなりません。
そこで、ヨーロピアンショートヘアと暮らす際に注意したい病気をご紹介します。
肥大性結腸症とは、基本的に便秘がひどくなる状態です。
便秘と聞くと放っておいいても治りそうなイメージかもしれませんが、この場合は直腸が詰まってしまっているので食欲不振や腹痛の症状が出てきます。
原因としては、ストレスや運動不足による筋力低下があげられます。
もし、トイレに行って何も出ない姿なを見たときには、遊ぶ時間を増やしてあげると改善することもあるのです。
しかし、基本的には動物病院を受診することをおすすめします。
浣腸などですぐに症状が改善しますので、苦しい思いを少しでも短くできるのです。
ねこにも糖尿病がありその原因も様々ですが、肥満を回避することによって避けられることもあります。
症状としては人間と同様、多飲多食が見られているにもかかわらずどんどん痩せていくことが最も見分けのつきやすい症状です。
人間と同様にインスリン注射を定期的に打つことが治療となります。
遺伝性の場合もあるので一概には言えませんが、体重コントロールなどに気を配ることによって回避できる部分は回避しましょう。
ねこの寿命が飛躍的に伸びたことによって尿路結石を起こすねこが増えてきています。
ねこの先祖は砂漠で生まれ、あまり水を飲まなくても生きられる構造になっています。
ただし、それは代謝の良い若い頃の話です。
歳をとって代謝が悪くなってくると、尿路結石を発症してしまうケースが多くなってしまうのです。
対策方法は水をたくさん飲み、老廃物を出すことです。
水を飲ませるために、いたるところに水を設置してください。
水に気づく機会を増やすことにより、たくさん水を飲んでくれるようになります。
世界中を見てもヨーロッパを起源として世界中に広まった猫種は数多く存在します。
その多くは、他の地域に生息していたねこをヨーロッパで繁殖させて世界中に広めたという例です。
そんな中で、ヨーロピアンショートヘアは元々ヨーロッパのスタンダードなねことして存在していた猫種です。
もし一緒に暮らすことになった際には、たくさん触れ合ってたくさん仲良くなってください。