ねこの感染症には、ワクチンの予防接種を受けることで防ぐことができるものがあります。
感染症と聞くと完全室内飼いのねこの場合は、必要とないと思うかもしれません。
もちろん室外飼いに比べれば、感染症にり患するリスクは少ないのですが、0ではないのです。
そもそも予防接種の目的とは、ウイルスを無毒化、弱毒化したものを身体に接種して、感染症に対する免疫力をつけることです。
定期的に予防接種を受けさせることで、飼っているねこに病気への抵抗力を身に付させてあげましょう。
今回は、ねこの予防接種について解説してきます。
予防接種は、ねこの感染症を予防することが目的です。
子猫の時は母親の母乳からウイルスや細菌から守るための免疫抗体をもらいます。
この抗体は徐々に少なくなり、生後50-60日後からは、感染症にかかる恐れがあります。
そのため、ねこの成長に伴い、ワクチンの接種での免疫抗体が必要になってくるのです。
また、ねこの感染症には人にも感染する病気があり、ねこの予防接種は飼い主さんの健康を守ることにも繋がります。
子猫のときに予防接種を1回受けさせていれば効果は、一生続くと考えている方もいますが、これは誤解です。
予防接種は1回で終了ではなく、生後2~3ヶ月ぐらいで1回目の予防接種を受けます。
1回目から1ヶ月後に2回目の接種を行い、その後は成猫になってから、年に1回の追加接種が良いとされています。
ただ、ねこの健康状態や育った環境・地域によって必要なワクチンが変わってくるため、動物病院に接種時期や種類について相談してください。
室内飼育していれば、ねこに予防接種を受けさせなくても大丈夫という誤解をしている人もいます。
完全室内飼育のねこにも、予防接種を受けさせる必要があります。
これは、飼い主が外出先から帰宅した際、手や服、靴に付いたウイルスから感染する恐れがあるためです。
普段家の中で生活しているねこでも、必ず予防接種を受けさせましょう。
子ねこのうちから予防接種や健康診断に通うことで、かかりつけの動物病院をつくることができるというメリットもあります。
健康なうちから動物病院や獣医さんに慣れさせておくことで、もし病気になって受診するときでも、ねこや飼い主が慌てずにすむのです。
ねこの普段の様子を獣医さんに知ってもらっていれば、獣医さんとねことのコミュニケーションがスムーズになり、治療にも役立ちます。
予防接種を行うと、摂取したワクチンの種類や時期について動物病院から証明書を出してもらえます。
証明書を保管しておき、いざという時のために何のワクチンをいつ接種させたのか把握しておくと安心です。
また、ねこをペットホテルなどに預けるときやペット保険に加入するときにワクチン接種証明書を求められる場合があります。
予防接種せずにワクチンで予防できる病気にかかっても、ペット保険の補償の対象外となる場合もあるため注意しましょう。
ここからはねこの予防接種について、ワクチンで予防できる感染症やワクチンの種類、予防接種の注意点について解説していきます。
ワクチンの種類や接種時期については、かかりつけの動物病院に相談して選ぶことができます。
また、現在治療中の病気などがある場合も、かかりつけの動物病院によく相談をして、予防接種の時期を決めることが大切です。
ねこ用ワクチンで予防できる感染症には次のようなものがあります。
これらの病気は感染力が強く、命にかかわる病気のため注意が必要です。
また、予防接種の回数は動物病院によって違うため、まずはかかりつけの動物病院に相談してみましょう。
ねこ用ワクチンには、次のような種類があります。
上記のように数種類のワクチンが混ぜ合わせてある、混合ワクチンによって一度に複数の病気を予防する方法が一般的です。
ねこの感染症の発生率は、地域によって違います。
そのため、動物病院に相談して効果の高いものを選びましょう。
ワクチン接種は、無毒化や弱毒化したとはいえ病原体を身体に入れるということです。
そのため、予防接種はねこが健康なときに受けさせましょう。
ねこが予防接種を受けた後は、ワクチンの副反応によって軽い発熱や食欲不振が見られることがあります。
予防接種を受けた日は、念のためねこに外出や激しい運動はさせないようにしましょう。
まれに、アナフィラキシー反応とよばれるアレルギー症状を起こすこともあります。
予防接種後のねこに、激しい体調不良が見られた場合は、すぐに予防接種を受けた動物病院に連れていってください。
接種後の体調不良に備えて、予防接種後も動物病院の受付時間に間に合うように、午前中に予防接種の時間を設定しておく方法もおすすめです。
多頭飼育している場合や環境が変わったねこは、予防接種を定期的に受けさせましょう。
ねこを多頭飼いしている場合は、一匹がウイルスに感染しているとすぐに他のねこにも感染してしまうため、飼っているねこ全てに予防接種が必要です。
また、環境の変化が原因でストレスによって、ねこの免疫力が低下し、感染しているウイルスが活性化する場合もあります。
ねこが元気そうに見えていても、ワクチンの免疫力で発症を抑えていることもあるのです。
ねこを多頭飼育しており、猫白血病ウイルス陽性が出てしまったねこがいるなら、他のすべてのねこにも猫白血病ウイルスワクチンの接種が必要です。
また、母ねこがウイルスに感染していた場合、生まれた子ねこにも母乳から感染する場合があります。
かかりつけの動物病院で、不安のあるウイルスに対しての抗体を測ってもらい、それぞれのねこに接種させるワクチンについて相談すると良いでしょう。
外で生まれた子ねこを保護した場合、猫カリシウイルスや猫ヘルペスウイルスに感染している可能性が高いといわれています。
「保護したときに結膜炎や鼻水まみれだった」というねこは、これらのウイルスに感染しているためであることが多いようです。
保護猫団体でも、予防接種を受けさせることを里親の条件としている場合が多くあります。
捨て猫や弱っているねこを保護した、保護猫の里親になりたいと考えている人は予防接種についても念頭に置いておきましょう。
「ワクチンが必要なのは子ねこだけ」と誤解している飼い主さんもいますが、シニア猫になっても予防接種は大切です。
ねこは加齢で免疫力が下がってしまいやすく、感染症の発症リスクが高くなります。
最近目やにが多くなったり、くしゃみをする回数が増えたと感じたら、それはねこが年を取ったからではなく、感染していたウイルスが活性化している可能性があるのです。
ただ、高齢のねこへの予防接種は身体に負担がかかると心配する飼い主さんもいます。
ねこの健康状態を考え、予防接種するかどうかについても、かかりつけの動物病院に相談すると良いでしょう。
また、ねこはストレスによっても免疫力が下がってしまいます。
新しいねこが来たり、引っ越しするなどの環境の変化は、ねこにとって大きなストレスです。
そのため、ウイルスに感染しているねこは、環境が変わったとたん感染症を発症してしまうという場合があります。
ねこの健康管理のためには定期的な予防接種のほか、ねこをストレスのない環境で飼うことが大切であると考えておきましょう。
感染症の予防には室内飼育という方法がありますが、完全には予防できるというわけではありません。
そのため、完全室内飼育のねこにも予防接種を定期的に受けさせましょう。
予防接種を受けさせることで、感染症から飼いねこを守ってあげられるのは飼い主さんだけです。
予防接種について気になることがあったら、かかりつけの動物病院にしっかり相談してください。