
ねこを飼う際に気をつけたいのが、騒音トラブルです。
ねこは犬と違って、大きな声で鳴くことが少なく、体も小さいため、大きな音は立てないと思われがちです。しかし実は、鳴き声や足音が意外と響くこともあります。
特に集合住宅では、音や振動が他の部屋に伝わりやすく、ご近所トラブルにつながるケースも少なくありません。
今回は、ねこの騒音トラブルの原因や、日常生活でできる対策についてご紹介します。
ねこを飼っている方や、これから飼おうと考えている方は、ぜひ最後までご覧いただき、参考にしてみてください。

ねこが立てる音で特にトラブルになりやすいのは、次の3つです。
以下に詳しくご紹介します。
ねこは犬のように吠えることはありませんが、大きな声を上げることがあります。
特に問題になりやすいのが、発情期の鳴き声です。ねこは発情期を迎えると、「ウワーオ、ウワーオ」といった大きな声で鳴くようになります。その声は赤ちゃんの泣き声に似ていて、不快に感じる方も少なくありません。
他にも、分離不安症や認知症が原因で、大きな声で鳴いてしまうことがあります。
また、健康なねこでも、ごはんや遊びをねだる「要求鳴き」の声が大きく、それが騒音トラブルにつながることもあります。
ねこの分離不安症や認知症については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
ねこは小さな体で静かに歩くイメージがありますが、実は足音が意外と響くことがあります。
特に、ねこが興奮して走り回っているときは要注意です。普段は「ふわっ」とした足取りでも、ダッシュした瞬間には「ドドドドド」といった重い音が床に響き、振動が伝わることもあります。
集合住宅では、このような音が階下や隣の部屋に響いてしまい、思わぬご近所トラブルにつながるケースもあるため、注意が必要です。
ねこが高い場所から飛び降りる音も、騒音トラブルの原因になることがあります。
ねこは上下運動が好きな動物で、キャットタワーや戸棚の上など、高い場所によくのぼります。そして、そこから飛び降りた際に「ドン!」という大きな音や振動が床に響くことがあります。
走る音のように長く続くわけではありませんが、突然響く衝撃音と揺れに驚いてしまう方も多いでしょう。

騒音対策の基本となるのは「遮音」と「吸音」です。簡単に違いをまとめると以下のようになります。
| 目的 | 軽減しやすい騒音 | 注意点 | |
| 遮音 | 音が外にもれないようにする | 歩く音、飛び降りる音 | 部屋の中では音が響きやすい |
| 吸音 | 音自体を小さくする | 鳴き声 | 設置場所や素材によって効果に差が出やすい |
このふたつを組み合わせることで、音が周囲に届きにくくなり、騒音トラブルを減らすことができます。
それぞれの特徴と、代表的な対策グッズを見ていきましょう。
2-1.遮音とは
遮音とは、室内の音が外にもれないようにするための対策です。
遮音材を使って音を跳ね返し、音や振動の伝わりを防ぐことで、騒音の拡散を抑えます。
特に、低音域の音を軽減しやすいため、ねこがドタバタと走る足音や、高い所から飛び降りたときの衝撃音などに効果的です。
ただし、遮音だけでは室内に音がこもって反響し、かえって響いてしまうこともあります。
吸音設備を併用することで、室内の音や振動をやわらげ、より快適な環境をつくることができます。
主な遮音グッズには、以下のようなものがあります。
| グッズの種類 | 特徴 |
| 遮音シート | 壁、床、天井などに貼る。軽くて扱いやすい |
| 遮音カーテン | カーテンとして壁にかけて使用する。保温効果もある。 |
| 遮音ボード | 壁やドアに設置する。シートより重量があり、遮音効果が高い。 |
| 隙間テープ | ドアや窓の隙間を埋めて音の漏れを減らす。遮音効果は高くないため、他のグッズの補助的役割として使うのが一般的。 |
吸音とは、空気中を伝わる音(空気伝播音)を吸収して、反響を抑えるための対策です。
スポンジ状の素材や、細かい穴のあいた「吸音材」が音を取り込み、そのエネルギーを拡散・吸収することで、音が響きにくくなります。
特に高音域の音を抑える効果が高いため、ねこの鳴き声による騒音対策に適しています。ただし、吸音材は設置場所や素材によって効果が大きく左右されるため、音が反響しやすい壁や天井などに適切に設置することが大切です。
主な吸音グッズには以下のようなものがあります。
| グッズの種類 | 特徴 |
| 吸音パネル | 壁や天井に取り付けて使用。パネルを組み合わせて貼るため手間はかかるが、安価に設置できる。 |
| 吸音カーペット | 床に敷いて使う。足音や飛び降りる音に特に有効。保温効果もある。 |
| 吸音カーテン | カーテンとして窓にかけて使用。保温効果を兼ね備えているものもある。 |

「遮音」と「吸音」に加えて、ねこが大きな音を立てないための工夫も取り入れましょう。
騒音を減らすには、音を抑えるだけでなく、音そのものを出さないようにすることも大切です。ここでは、日常でできる予防的な対策をご紹介します。
ねこは基本的に静かで、大きな声で鳴くことはあまりありません。
とはいえ、何らかの理由で鳴き声が大きくなることもあります。まずは、その理由を知り、適切に対処することが騒音トラブルを防ぐ第一歩です。
以下に、ねこが鳴く主な原因と、その対処法をご紹介します。
| ねこが鳴く原因 | 解決法 |
| 要求鳴き(ごはんがほしい、遊んでほしいなど) | ・ごはんや遊びの時間を決めて予測をつけやすくする
・鳴いても要求に応じず、静かにしているときにご褒美をあげる |
| 発情 | ・避妊手術、去勢手術を受けさせる
・発情期が長引かないよう、適切な交配計画を立てる |
| 同居ねことのけんか | ・部屋を分けて飼育する
・キャットタワーやケージなど逃げ場所・隠れ場所を増やす |
| 分離不安 | ・飼い主の外出に慣れさせる
・ねこが気づかないうちにそっと外出する |
| 体調不良
※甲状腺機能亢進症などになると、暴れたり、大きな声で鳴いたりする場合がある |
・病院で診察を受け、適切な治療を行う
・ねこが快適に過ごせる環境を整える |
| 認知症 | ・ゆっくり休める環境(気持ちの良い寝床や室温)を整える
・獣医師に相談する(サプリや鎮静剤などが処方される場合がある) |
ケージやタワーを壁に密着させて置いていると、猫が動いたときの揺れがそのまま壁に伝わります。壁を通った音は空気を伝わる音より響きやすいため、隣の部屋や上下階に思いのほか大きく伝わり、騒音トラブルにつながりやすくなります。
また、ケージやタワーが揺れると、壁に当たった部分が小さく振動して「ビリビリ」と響くような音が増幅されてしまうこともある点も問題です。
ケージやタワーは壁から10cmほど離して設置すると、音や振動をずいぶん抑えられます。どうしても壁に触れてしまう場合は、スポンジテープやフェルトなどを挟むと安心です。
ねこが音を立てる時間帯をずらす工夫も、騒音対策として効果的です。
特に、深夜から早朝にかけて音を立てないようにするだけでも、騒音トラブルを軽減できます。
たとえば、早朝に鳴いてごはんをねだるねこには、自動給餌器を使って決まった時間にごはんが出るようにしたり、寝る前に少し多めにフードを与えたりすることで、早朝の鳴き声を減らせることがあります。
また、日中にねことたっぷり遊び、しっかりと疲れさせておくことで、夜中に走り回る「ねこの運動会」を抑えることができるかもしれません。
どれだけ気をつけていても、ねこは鳴いたり歩いたりして、音を立ててしまうことがあります。
だからといって無理に静かにさせようと叱ったり、閉じ込めたりしてしまうと、ねこが大きなストレスを感じてしまうかもしれません。
ねこは自分の行動がまわりにどんな影響を与えているかを理解することができません。
飼い主のほうが状況を把握し、ねこに負担をかけずに騒音を抑える工夫をしていくことが大切です。
ねこをお迎えする前には、騒音だけでなく、臭いや爪とぎなど、ねこが引き起こす可能性のあるトラブルについても知っておきましょう。
そして、できる限りの対策を整えたうえで、ねことの暮らしをスタートさせることが理想です。
ねこの臭いトラブル対策については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
この記事では、ねこの騒音トラブルとその対策についてご紹介しました。
あまり鳴かず、静かに歩くと思われがちなねこですが、実際にはニャーニャーと大きな声で鳴いたり、ドタバタと走り回ったりすることもあります。
特にアパートやマンションなどの集合住宅では、音や振動が周囲に伝わりやすく、クレームやトラブルにつながることもあるため注意が必要です。
「遮音」と「吸音」それぞれの特徴を理解し、目的に合わせて対策を講じることが、防音効果を高めるポイントです。
また、鳴いたり走ったりする原因が病気やストレスであることもあるため、ねこの様子を観察し、気になることがあれば獣医師に相談することも大切です。
鳴くのも、走るのも、ねこが生きている証です。
動物を飼うということは、そうした困りごとやトラブルも含めて引き受ける責任があるということ。
ねこも、自分自身も、そして周囲の人たちも心地よく過ごせるように、できる対策をしっかり行っていきましょう。