ねこが頻繁にトイレに行く、血尿が出ている、おしっこのときに鳴いているといったことはないでしょうか?もし、これらの様子が見られたら膀胱炎かもしれません。
ねこにとって膀胱炎は、下部尿路疾患の60%を閉めると言われているくらい、ポピュラーな病気です。
今回は、そんなねこの膀胱炎の種類と原因、治療法、再発防止方法について解説しています。
膀胱炎には細菌感染が原因の「細菌性膀胱炎」と原因不明の「特発性膀胱炎」があります。
それぞれどのうような病気なのでしょうか。
細菌性膀胱炎とは、膀胱内に侵入したブドウ球菌や大腸菌などの細菌により膀胱に炎症が起こる感染症です。
以下のようなねこはとくに注意が必要です。
高齢のねこはくり返し細菌性膀胱炎を起こしたり、放置することで腎盂腎炎から腎不全に至ることもあるため、日頃から排尿の様子を注意深く観察するようにしましょう。
ねこの下部尿路疾患(結石や膀胱炎などの膀胱から尿道で起こる病気の総称)の60%が特発性膀胱炎です。
無菌性の膀胱炎で、人間の間質性膀胱炎と似ていると言われることもあります。
特発性膀胱炎は、10歳以下の比較的若いねこに多く、ストレスのほか膀胱粘膜の異常が原因で尿中の有毒物質が膀胱に染みこんでしまうことが発症の要因と考えられています。
ほとんどは何もしなくても、1週間ほどでよくなると言われていますが、1年以内に40〜50%のねこが再発すると言われています。
特発性膀胱炎には「急性」のほか、定期的に再発をくり返す「再発性」、症状が持続する「慢性」があり、再発性と慢性の場合は根治は望めません。
膀胱炎の症状にはどのようなものがあるのでしょうか?
血尿やおしっこの量などはわかりやすいですが、「何回トイレに行ったら頻尿なの?」という飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
健康なねこの1日の排尿回数は平均2〜3回。多くても4回と言われています。
ねこによって個体差があるため、何回以上からが頻尿とはっきりしたことは言えませんが、いつもよりも回数が多いなと感じたら注意しましょう。
逆に、おしっこが出なくなることもあります。日頃からおしっこの回数や量をチェックし、健康な状態を把握しておくことが重要です。
とくに、オスの特発性膀胱炎では、尿道炎や尿道閉塞を起こす可能性があります。
治療が遅れると命にかかわるとこともありますので、おしっこが出ていないと気づいたらすぐに動物病院を受診しましょう。
ねこの膀胱炎の症状は多岐に渡りますが、頻尿のみといった場合もあります。
たとえば、我が家のねこですが、半年に1度くらいの間隔で特発性膀胱炎の再発をくりかえしています。
症状は頻尿のみで、いつもより1〜2回おしっこの回数が多くなる以外に目立った症状はありません。
おしっこの回数が多いといというだけでも、なんらかの異常が起きている可能性があります。
ねこは体の痛みや異常を隠しますので、愛猫の様子が「いつもと違う」と感じたら注意深く観察をしてください。
膀胱炎とひとくちに言っても、種類によって治療方法が異なります。
それぞれどのように治療するのかを知っておきましょう。
細菌感染が原因の場合は、抗菌薬を処方されることが多いです。
投薬が難しいねこには、注射で投与することもできますので相談しましょう。
そのほか、止血剤や消炎剤などが処方されることもあります。
また、排尿を促すために、点滴を行う場合もあります。
特発性膀胱炎は無菌性で、何もしなくても1週間以内に自然治癒するケースがほとんどです。
抗菌薬や抗炎症薬、止血剤が処方されることも多いようですが、これらの薬に特発性膀胱炎の症状を緩和する効果はありません。
一方、排尿時に痛みがあるねこには鎮静剤を、強い不安やストレスがある場合は抗うつ剤を投薬することは効果があるとされているようです。
また、特発膀胱炎の治療ではストレスの原因を排除することが重要です。動物行動学に基づいた対応が有功だとされています。
獣医師と相談しながら、原因を探りストレスを軽減するように努めましょう。
とはいえ、ストレスの原因を特定するのは困難ですし、すべてを排除するのは現実的ではありません。
そのため、ねこのストレス軽減に効果のあるサプリメントや療法食を使用する場合もあります。
膀胱結石が原因の場合は、結石症用の療法食で膀胱内の結石を溶かす治療をおこなうのが一般的です。
療法食を与えている間は、自己判断でやめたり、療法食以外の食べものを与えないようにしましょう。
療法食で改善しないときは、手術で膀胱内の結石を摘出します。
膀胱炎の検査のひとつに尿検査があります。
採尿は病院でもできますが、おしっこがある程度たまっていないと採尿することができません。
また、自宅で採尿ができると、動物病院にねこを連れていかずに、いつでも尿検査が可能になります。
ねこのストレス軽減は膀胱炎対策としても有功なので、ぜひ自宅で採尿できるようになりましょう。
自宅での採尿方法は以下の3つです。
ウロキャッチャーは、棒の先に特殊なスポンジがついている採尿専用のアイテムです。
動物病院やネットショップで購入することができ、1本100円くらいで買えますので、定期的に尿検査をするなら持っておくとよいでしょう。
1と2の方法は、ねこがおしっこをしている最中に後ろからおたまやウロキャッチャーを差し入れて直接おしっこをキャッチします。
慣れていないと上手く採尿ができないこともあります。
また、神経質なねこの場合は嫌がられるかもしれません。
ただし、慣れると簡単に採尿ができるようになります。
3のシステムトイレを使う方法は、日頃から崩れない猫砂とシステムトイレを使っている場合はとても簡単で確実な採尿方法です。
トイレシーツを裏向きにセットし、ねこがおしっこをしたらトイレシーツに貯まったおしっこを採ります。
ねこは、いつもどおりトイレを使うだけなので1番ストレスのない方法です。
膀胱炎は再発に注意が必要な病気です。
原因によって対策は異なるのですが、日頃から以下の点に注意することで、膀胱炎の頻度を減らすことができると考えられます。
水分補給や快適なトイレ環境は、膀胱炎だけではなく下部尿路疾患の予防にもなります。
愛猫の健康をまもるためにも日頃から注意しましょう。
ねこはトイレが気に入らないとおしっこを我慢し、膀胱炎の原因になることがあります。
トイレの大きさや猫砂はねこの好みを優先しましょう。
また、トイレはねこの食事の場所や寝床から2m以上離れた静な場所に設置します。
特発性膀胱炎の予防は治療と同様に、ストレスの原因を見つけ排除することです。
また、ねこのストレスを軽減するサプリメントや療法食、不安を軽減させるフェリウェイを活用するのもおすすめです。
使用するさいは、かならず獣医師に相談しましょう。
また、定期的に尿検査をすることで、膀胱炎の兆候に気づき早期治療につなげることができます。
ねこは膀胱炎を含む下部尿路疾患にかかりやすい動物です。
実に5頭に1頭のねこがなんらかの下部尿路疾患にかかっていると言われています。
しかも、再発率が高く、慢性化してしまうねこも少なくありません。
そんな下部尿路疾患の60%ほどが特発性膀胱炎だと言われており、40〜50%のねこが1年以内に膀胱炎を再発すると言います。
日頃から水分補給、快適なトイレ環境、ストレスのない暮らしを心がけ愛猫を膀胱炎から守ってあげましょう。