キリッとした見た目のアビシニアン(Abyssinian)は古代エジプトの時代にも生息していたという話があるほど歴史の古い猫種です。
しかし、そんな見た目にもかかわらず性格は甘えん坊なので昔から人気の高い猫種です。
今回は、そんな魅力たっぷりのアビシニアンの歴史や、一緒に暮らすための注意点などをご紹介していきます。
ねこの発祥はエジプトとされており、そのエジプトの壁画にアビシニアンによく似たねこが描かれていることもあり、歴史の古いねこだと言われています。
ただ、古代エジプトに生息していたねこが、アビシニアンであるという確証は資料などでも残っておらず正確に確認することはできません。
しかし一体どのようにして、アフリカ大陸からアビシニアンが世界に広まっていったのかはわかっています。
そこで、まずはそんなアビシニアンの歴史をご紹介していきます。
アビシニアンが古代エジプト時代から生息していたという話は、エジプト文明の壁画に登場するねこがアビシニアンにそっくりだからです。
この頃は現在の猫種として繁殖しているわけではなく、自然界にいるねこと一緒に暮らしていたので、猫種として確立していたわけではありません。
しかし、壁画を見る限りアビシニアンの姿に似ていることは事実であり、古代エジプトにおいて神として崇められていたのがアビシニアンである可能性は非常に高いでしょう。
アビシニアンが世界に広まった元となったねこは、エチオピア出身です。
古代エジプトに痕跡を残したアビシニアンですが、アフリカ大陸で広くその生存範囲を広めていたことが窺えます。
そして、アビシニアンという名前の意味は「アビシニアの人」「アビシニア出身」という意味です。
アビシニアとは現在のエチオピアにあった古い国であり、出身の地域の名前がそのままつけられたことになります。
もしエジプト出身であれば、アビシニアンではなくエジプシャンなどと呼ばれるようになっていたかもしれませんね。
アビシニアンがアフリカから出るきっかけとなったのは1800年代に起こった戦争で遠征していた1人のイギリス兵に始まります。
このイギリス兵がエジプトからイギリスに帰る際、アビシニアンの先祖に当たるねこを連れ帰ったことがきっかけでした。
その後、1870年頃に行われたキャットショーに出演することによって世間にアビシニアンが知られることとなり、GCCFで猫種として認められることとなりました。
さらに1930年代にはアメリカに渡ることによって、アビシニアンは世界中に広まり人気を獲得していったのです。
このことからわかるように、古くからアビシニアンとして存在し、さらに愛されてきたのですね。
古くからその存在感を出してきたアビシニアン。
筋肉質で見た目も凛々しく、クールなイメージを持たれるかもしれません。
しかし、アビシニアンはとっても可愛い性格の持ち主です。
アビシニアンの性格を知り、どんなねこなのかをさらに詳しくみていきましょう。
また、性格や特徴を知ることでどのように接すれば良いのかも見えてきます。
アビシニアンとさらに仲良くなるためにも、是非とも性格を覚えてください。
アビシニアンはクールというよりもどちらかと言えば好奇心旺盛なわんぱくなねこです。
とにかく遊んだり体を動かすことが大好きで、お気に入りのおもちゃを見ると一目散に向かってくる様子も見られます。
また、人見知りも少なく来客があった場合も少し時間が経てば寄ってくるケースもありますので、その可愛さは計り知れないものがあります。
とても賢い面もあり、ある程度の人間の言葉も理解できるほど優秀なねこなのです。
人見知りをしないねこではありますが、嫉妬が強いねこでもあります。
どのアビシニアンにも通じるわけではありませんし、合う合わないということもありますが、多頭飼いの場合は注意してください。
「自分の縄張りに違うねこがいる」「遊んでもらうのに他のやつが遊んでもらっている」などと嫉妬するケースがよく見られます。
ストレスになってしまうと体調の変化にも現れてしまうため、もし多頭飼いを行う際には十分注意する必要があります。
合わない場合は多頭飼いを避けることも必要かもしれませんが、最低限手順を踏む必要があります。
アビシニアンが先輩ねこの場合は
「先輩の方が優遇される」ということをしっかり守って生活する必要がありそうです。
アビシニアンは見た目通り筋肉質なねこです。
そのため、遊びとなると自慢の運動能力から、予想以上の動きを見せてくれる動きを見せてくれることも特徴です。
ねこは獲物を追う際に、後先考えずに動くという習性があります。
ここで怖いことが、自分が安全に止まれるか、飛んだ際に着地ポイントがどうなっているかなどは一切考えることなく獲物に突っ込んでいきます。
ねこと遊ぶ際には、ある程度広い場所を用意するかねこに危険のないような場所でおもちゃのアクションを起こすようにしてください。
思わぬ怪我の回避となります。
また、ねこは上下運動を行うことが運動不足解消に最も良いとされています。
そのため、キャットタワーやキャットウォークを設置することにより、普段から運動できる環境づくりを行うことも大切です。
いくらねこと仲良くなったとしても、ねこの健康面に注意して生活していなければ良い生活とは呼べません。
自分の体調不良を隠す傾向にあるねこと暮らすことは、常に健康面にも人間が注意しながら生活を送る義務があります。
いつもと違う様子が見られた際には動物病院を受診することはもちろんですが、特にアビシニアンと暮らすために意識しておきたい病気と症状についてご紹介します。
ねこの健康に留意しながら生活することによって、長く健康で過ごせる時間が大きく変わりますので手は抜けません。
元々は気温の高い地域に住み、体を確立させていったアビシニアンは寒さに弱いです。
ヨーロッパに渡る前のアビシニアンを考えると、氷点下の気温など体験したことはありませんでした。
体の進化は子孫がその環境に合わせて進化していくのではなく、環境に適応した特徴を持っている種類が生き残っていくのです。
もし突然寒くなった場合、親より子どものほうが寒さに強いということではなく、寒さに強いねこが生き残っていくというイメージです。
アビシニアンは人間の保護下で繁殖していますので、寒い環境に強くなっていくわけではありません。
そのため、冬は一定の気温を保ったり、留守の間もねこ用の暖房を準備するなどの対策を行いましょう。
アビシニアンは短毛種ですので気を抜いてしまい、ブラッシングを忘れてしまいがちです。
確かに長毛種と比較すると抜け毛はそこまで気にならないかもしれませんが、被毛はダブルコートであることを忘れてはいけません。
ダブルコートとは、毛が二層になっている構造であり、毛量が多いのです。
そのため、毛が抜ける量は必然的に多くなってしまいます。
また、ねこをお風呂に入れるという行為は極力避けて、日々のブラッシングで補えるようにしましょう。
多くのねこは水を怖がったり、自分の毛が濡れることを嫌がってストレスに感じてしまいます。
こまめにブラッシングすることで皮膚トラブルも避けることができるため、毛の手入れは習慣にしましょう。
ねこに発症することは少ない病気ですが、アミロイドーシス症の発症例が他の猫種と比較してアビシニアンは多い傾向があります。
遺伝的な原因で、アミロイドという繊維状のタンパク質が細胞の間で詰まってしまい、臓器機能を低下させる病気です。
臓器機能が低下することによって、元気がなくなったり痩せていく症状が見られます。
遺伝性であれば根治は難しいですが、獣医さんと相談しながら治療していくことによって生活を改善させることもできますので、動物病院を受診しましょう。
一見するとクールですが、実際はイタズラするほど活発なアビシニアン。
古くから存在し、人間からも古くから愛されている猫種です。
もし、ねこと遊んだりたくさんの思い出を作りたい方にとってはもってこいの猫種だと言えます。
気になった方は、是非ともアビシニアンを実際に見て、触れ合ってみましょう。