ねこを飼っていると、時々謎の行動が見られることがあります。
「なぜ、そんなことをするの?」とびっくりしてしまうかもしれません。
しかし、そのねこの行動にはちゃんと意味があるのです。
今回の記事では、ねこがする謎の行動とその理由を紐解いていきます。
まずは、ご飯やトイレの時にねこがする謎行動について解説します。
食事や排泄は動物にとって一番大事な行動です。
謎の行動には、ねこの本能に関わる重要な意味が隠されているのです。
ねこにご飯をあげたとき、手を出してカキカキと「エアー砂かけ」をすることがあります。
これは、野生のねこが獲物や食べ物を隠していた時の名残です。
飼いねこが出されたご飯をカキカキする時には、以下のような理由があると考えられています。
ねこがご飯をカキカキする時は、とりあえずそのご飯はもう食べないという場合が多いです。
他のご飯を出すか、十分に食べている場合はお皿を下げると良いでしょう。
せっかく新鮮な水を水入れに用意したのに、わざわざお風呂や花びん、流しの水を飲むねこもいます。
さまざまな理由がありますが、汲みたての水のカルキのにおいが気に入らない、流れている水が好きなど、ねこなりの理由があります。
しかし、お風呂に水を飲みにいっておぼれたり、花びんの水を飲んで中毒を起こしたりするおそれもありますので注意が必要です。
汲み置きの水をあげる、流れるタイプの給水機を買うなどしてねこが好む水を用意してあげましょう。
トイレを済ませた後、元気に走り回るねこもいます。
良く「トイレハイ」と呼ばれている行動です。
猫砂を蹴散らかすので困っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
この行動の理由ははっきりしていませんが、一説には緊張から開放されたためであるといわれています。
排泄は動物にとって無防備になる危険な時間です。
排泄を無事に済ませたことによる安心感とスッキリ感が、ねこをハイにさせているのかもしれません。
ねこは飼い主に対しても謎の行動を取ることがあります。
そんな謎行動から、ねこの本能や心理を読み解いていきましょう。
ねこを抱っこしてなでなで、ねこも目を細めてゴロゴロ……そんなねことのスキンシップタイムが、ねこの怒りによって急に打ち破られてしまうことがあります。
さっきまでご機嫌だったのにどうして?とびっくりしてしまうかもしれません。
このねこの行動は世界共通のようで、ちゃんと専門用語まで付いています。「愛撫誘発性攻撃行動」といいます。
急に怒り出す原因ははっきりしていませんが、以下のようなケースで起こりやすい傾向にあります。
ねこを撫でているときに、イカ耳(耳をぺたんと寝かす)や大きく尻尾を振るしぐさが見られたらイライラしている証拠です。
ねこは自分が望む時だけなでてほしい動物です。
撫でるのを嫌がるそぶりを見せた時は、すぐにやめてそっとしてあげましょう。
ねこが飼い主に噛みついた後、ペロペロとなめてくることがあります。
「噛んじゃってごめんね」と言っているようでホッコリしますが、実はまったく逆の心理が隠されているといわれています。
なんと、これは「獲物を捕まえた気持ちになっている」ようです。
獲物をしとめた後、それを味わっているというわけです。
獲物扱いされていると思うと、なんだか複雑な気持ちになってしまいますね。
本や新聞を読んでいると、ねこがわざわざその間に入ってきて座り込むことがあります。
もちろん視界がさえぎられてしまうので、本も新聞も読めなくなってしまいます。
ねこはしつこく構われるのは苦手ですが、無視されるのも嫌というワガママな動物です。
そのため飼い主が他の物に熱中していると、「私を見て」と割り込んでくるのです。
特に以前に同じ行動をして飼い主に構ってもらえた、という経験をしたねこは、あえて飼い主の邪魔をするようになります。
しかし、そのワガママなところもねこの魅力ですね。
特に外出をするねこは、鳥やネズミ、カエルのような生き物をくわえて帰る、いわゆる「おみやげ」を持ってくることがあります。
これは飼い主を「獲物も捕まえられない子ども」と考えているためといわれています。
また、子ねこを新しく迎え入れた時、先住猫が子ねこに対して「おみやげ」を持って帰ることもあります。
ねこはマイペースなようでいて、意外と世話焼きさんなのです。
家に帰ってドアを開けると、もうねこがそこにいてお出迎えしてくれるという経験をした方も多いのではないでしょうか。
なぜ帰る時間が分かるの?と不思議に思うかもしれません。
これはねこが超能力で飼い主の帰る時間を知っているから、ではもちろんありません。
その素晴らしい聴力で飼い主の足音を聞き分けているのです。
また、歩きの時は玄関から、車の時は勝手口から帰るというように移動手段によって帰る場所が違う場合も、ちゃんと聞き分けて正しい場所で待っています。
お出迎えしてくれるねこはかわいいですが、脱走のチャンスを狙っていることもありますので注意が必要です。
ねこは寝たりぼーっとしたりするのが大好き。
そんなくつろぎタイムでも、驚くような行動を取ることがあります。
くつろぎタイムにねこがする謎の行動と、その理由をご紹介します。
毛布やぬいぐるみ、また人の手を吸ったりもんだりするねこもいます。
これは子ねこのような気分になっている時です。
子ねこはお母さんねこのお乳の周りを両手でもみながらお乳を吸います。
そうすることで、母乳が出やすくなるからです。
その行動の名残が残っていて、お母さんのお乳を連想させるような柔らかいものに触れると、吸ったりもんだりしてしまうのです。
眠い時や甘えたい時などに出る行動です。
ボーッとしていたねこが、急に口を開けて「カカカカカ」と鳴くことがあります。
痙攣かも?とびっくりしてしまいますが、その視線をたどると鳥や虫がいることが多いです。
これは「クラッキング」といわれる行動で、獲物を見て興奮した時に行われます。
また、獲物を捕まえられないじれったさを表現しているともいわれています。
ねこは何かをかいだあと、とろんとした目つきになってボーッと口を開ける行動を取ることがあります。
これは「フレーメン反応」といって、フェロモンをかぎつけた時に行われます。
鼻の奥にあるフェロモン感知器官「ヤコブソン器官」にフェロモンを届けるためであるといわれています。
人の汗にはねこのフェロモンに似た成分が含まれているため、飼い主の足や靴下のにおいをかいでフレーメン反応を起こすことが多いです。
決して「臭い」と思っているわけではないのでご安心ください。
さっきまでのんびりしていた、もしくは遊んでいたねこが、急に一点をじーっと見つめることがあります。
その様子はまるで見えてはいけないものを見ているようで、ちょっと背筋が寒くなります。
しかし、ねこからするとごく自然な行動です。
ねこの感覚は人間より遥かに鋭敏であるため、人間には感じられない音やにおいを感じ取り、その方向に注意を払うのです。
また、ねこは紫外線を見ることができるとも言われています。
人間には何もない一点をじっと見ているように見えますが、ねこはごく普通に紫外線を見ているだけかもしれません。
最後にご紹介するのはねこが何かに乗る、入る時の謎行動です。
なぜそんなところに?というような場所に乗ったり入ったりして満足そうな表情をしている様子はなんともいえずユーモラスです。
しかし、その行動には自分の身を守ろうというねこの生存本能が現れています。
乗る・入る謎行動の理由を読み解いていきましょう。
ねこは狭いところが大好きです。箱やかごを置いておくと、どう考えても入れないだろう、というような小さいものでも無理やり入ります。
この行動は、ねこの2つの本能に関係しているといわれています。
【1】狩猟本能
ねこは犬のように獲物を追いかけるのではなく、物陰に隠れて獲物を待ち、一撃でしとめるという方法で狩をします。
そのため狭いところを見ると狩猟本能がかき立てられ、好んで入るのだと考えられています。
【2】敵から身を守る
ねこは獲物を狩る動物ですが、狩られる動物でもあります。
そのため外敵が来ても身を守れるよう、狭い場所で眠る習性があります。
その本能が現代の飼いねこにも受け継がれているのです。
以前、「ねこ転送装置」という遊びが話題になりました。
床にテープで円を描いたり、紐を円状にして置いたりすると、ねこがその中に入るというものです。
箱やかごならまだ分かるのですが、なぜ円の中に入るのでしょうか。
その理由は確かになっていませんが、ねこは目が悪くはっきり見えていないため、新しいものを見つけると確認しようとするためという説があります。
とりあえず円の中に入り、居心地も悪くないためそこに留まっているのかもしれません。
床に紙が1枚落ちていると、大体のねこはその上に乗ります。
床と大して変わらないのになぜ?と思うかもしれませんが、ねこにとっては大きな違いがあります。
ねこは寒がりの動物なので、少しでも暖かい場所にいたがります。
たとえ薄い紙でも、床よりは暖かいため好んで乗りたがるのです。
また、感触や匂いを好んで紙の上に乗るねこもいるようです。
ねこがする謎の行動についてご紹介しました。
人間からするとなんで?と思うような行動にも、ねこなりの意味が隠されています。
ねこの行動から本能や心理を知れば、もっとねこと仲良くなれるかもしれません。